『ビタミンF』 重松 清 / 五輪中だって冬ソナ
『ビタミンF』 重松 清/★★★☆☆家族をテーマにした7作の短編集。Family,Father,Friend,Fight,Fragle,Fortune…など「F」で始まる言葉がキーワードとなっている。どの作品も30代後半から40歳くらいの世間でいう中年の父親が主人公。ドラマの主人公になるようなかっこいい中年じゃない。出世街道をまっしぐら…というわけでもない普通のオジサンたちだ。家族が起こす事件をきっかけに家族を見直し、自分を見直し…している。7作のなかでは『セッちゃん』が一番よかった。一人娘の加奈子は中学2年生。明るくて積極的で小学生のころからクラスのリーダー格だった。会社の同僚からもうらやましがられるくらい加奈子は学校でのできごとをなんでも親に話した。そんな加奈子から聞かされる「セッちゃん」の話。セッちゃんは最近転校してきてクラスのみんなから嫌われ、いじめにあっているのだという。加奈子に来なくていいと言われた運動会にこっそり出かけていった両親はセッちゃんの秘密を知るのだった。必死に明るく振る舞う娘と見守る親の苦悩、愛情が切なくも暖かく描かれている。さだまさしの『解夏』の読後感になんとなく似ている。派手さはないが、心にじんわりとしみてくる作品。***********************************************先日(5月22日)の小泉首相の北朝鮮訪問時に冬ソナが放送中止になったときクレームが殺到したため、今度は五輪中も中止せず放送するらしい。8月14日の柔道決勝の日は五輪放送のあとなんと夜中の2時からの放送らしい。夜型の私としては夜中の2時なんてどうってことはないけどヨン様ファンのおばさまたちにはつらい時間帯(?)