幸福な遊戯 角田 光代
友人からすすめられて角田光代の「まどろむ夜のUFO」を読んだが、全くのめり込めなかった。友人曰く初角田本としては選択がよくなかったとのことだったので、では、もう1冊だけ読んでみようと「幸福な遊戯」を購入。どうやらこの本は角田光代のデビュー作らしい。友人は初期のものよりも最近のものを読んだ本がいいと言っていたので、またしても失敗か~と恐る恐る読み始めた。ところが…予想に反してよかった。…といってもストーリーがよかったわけではない。この本には「幸福な遊戯」「無愁天使」「銭湯」の3作がおさめられている。「幸福な遊戯」男2人と女1人の共同生活を描いた作品。温室のような共同生活からひとり…ふたりと抜けていって私だけが取り残される。「無愁天使」母の死後、買い物依存症になった家族、そのなかの私「銭湯」自分の思うとおりに自由に生きたいと思いながらも不安に耐えきれず普通に就職してしまった私3作ともに共通しているのが、誰でもが持っているだろう人間の弱さが描かれている。鬱のときに読むとちょっとつらい作品かも…。ただ、この作品を読んで感動したのは角田 光代は表現がうまいということだ。日常の何でもないことをここまで特別なことのようにうまい表現ができるものかと感動した。