夢を実現するためのパートナー
日経スペシャル「ガイアの夜明け」で、3月末にオープンした「ザ・リッツ・カールトン東京」の究極のサービスを取材していました。リッツは、全世界に60あまりある高級ホテル。日本では、大阪についで2番目の誕生です。私も、東京での誕生を心待ちにしていました。仕事がなかったら、東京の親友Sとオープニングシーズンの宿泊予約をしたかったくらい。リッツのサービスの素晴らしさには定評があります。質の高いサービスに加え、それを実行する気品ある人材。今回の取材の中でも、スタッフ全員が、ラテン語で「志」とか「信条」「約束」を意味する『クレド(CREDO)』を書いた小さなカードを携帯しているそうです。そこには、リッツ独自の様々なサービスの基本精神が書かれてあり、スタッフたちは、常にその精神と向き合い、毎朝のミーティングで、その日のテーマを議論し、情報共有をし、顧客一人ひとりのニーズを事前に察知して、サプライズと感動を与えるサービスを提供しようという精神を身につけ、自主的に実行できるように教育され、日々の業務に活かしていくそうです。クレドは、マネジメントにおける企業理念を表す言葉として定着していますが、それを組織内外にうまく浸透させ、経営の武器として、全スタッフが活用している企業は意外と少ないのですが、このリッツは違う。クレドを、単にお飾り的な企業理念ではなく、社員一人ひとりの意識付けとして、活用している点には、さすがリッツです。リッツ・カールトンの誕生は、創始者のセザール・リッツに始まります。スイスの羊飼いの13番目の息子として生まれた彼は、15歳からウェイターとして働き、有名ホテルでホテルマンとしてのキャリアを積みながら、ヨーロッパの上流階級の人々を観察し、趣味や傾向を学びとったといわれています。その学びから得たきめ細やかで、完璧なサービスは、多くの王族や大富豪から絶賛と信頼を寄せられて、多くの一流ホテルが彼をマネージャーとして招いたそうです。そんな中で、リッツは、運命の出会いを経験します。料理人オーギュスト・エスコフィエ。彼らは、ホテルのサービスや料理に対する考えが一致していて、質の良いホテルに素晴らしい料理は欠かせないと考えるリッツにとって、オーギュストは、夢を実現するのに欠かせない存在でした。まさに、「夢を実現するためのパートナー」との出会いでした。人生において、このようなパートナーと出会える確率は少ないかもしれないけれど、夢を実現するために努力を重ね、常に自己研鑽に励んできた者だけが味わえる醍醐味なのかもしれません。夢の実現に向かって走り続ける自分と、それに共鳴して、信頼し、一緒に走ってくれるパートナー。そして、そこから発するオーラに魅了されて数々の役割を担ってくれるスタッフや、繁栄や存続を願って支えてくれる人たち。全ての心が一致すると、きっと素晴らしいモノづくりができるに違いない。それにはやはり、高い志と揺るぎない信念、そして、愛に満ちあふれた自分が存在しなければならないと思う。今回の番組の中で、クレドを、「私は信じる」という意味だとされていました。仕事をしていく中で、また、人生を送っていく中で、様々なトラブルが発生して、不安に苛まれることもあります。でも、「私は何を信じるか」と自問自答したときに、すぐに心に浮かぶ「モノ」「ヒト」「コト」が、新たな自分へと導いてくれるはず。リッツのクレドの中には、リッツ独自の基本精神が書かれてあるとされていましたが、私が思うには、その背後には、きっと、スタッフ全員が一致して、信じて止まない「セザール・リッツ」の名前が刻まれているのだと思いたい。クレドがどんなに素晴らしくても、トップを支えるスタッフ、そしてステークホルダーである顧客や株主、取引先など、その企業の繁栄や存続を支える人たちに伝わっていないのでは、無意味なものになってしまいます。。。そんなことをふと思いながら、今の自分の仕事はどうか、人生はどうかと、自問自答の日々です。夢を実現するためのパートナーとの出会いを願いながら。。