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テーマ:暮らしを楽しむ(388153)
カテゴリ:ふるさと筑豊、原風景と人
15年前にいただいたままの未開封の
一升瓶泡盛をついに開けた。 著名な写真家のオリジナルラベルで 大変稀少なものだったから なかなか開けるタイミングがないまま 時は過ぎ去り・・・ ついに! 何の前触れもなく、本能の赴くままに。 しかし、後から考えると しみじみ絶妙のタイミングで 開栓が叶った。 しかも! これ以上ない最高の組み合わせで 味わうことができた。 イエーイ ロックで乾杯!おめでとう!! 歓喜のレポートとしてここに記しておくことにします。 その魅惑の飲み物について 思いつきで名前を唱えるなら ポレポレバラバラグレープ泡盛ロック(東中野産) ある方に勇んで写メで知らせたら 「風香堂ならぬ泡香堂だね!」 といつもながら膝を打つ返しを頂戴しました。 泡香=ほうこう=芳香 まさに、得も言われぬ香りが最高であり なるほど相応しいネーミングです。 一瞬くらっと来そうな泡盛独特の香りに あいまって それこそワインのようなさわやかな 葡萄の香りが 絶妙に溶け合ってしまったのです。 その飲み口たるや優しく甘くマイルドで 普通のパンチが効いた泡盛も好きだけど うんうん、これは!!という 全く新しい味が完成してしまいました。 さらっと言ってしまえば、ただ単に 15年ものの泡盛に 東京・東中野産!?のナイアガラという 品種の葡萄の実を3房分ほど 1週間漬けただけなのです。 何がこんなに私を興奮させたかって それはもう、稀有なる ストーリーの力と言えるでしょう。 15年前の泡盛と 2020年産の東中野産の葡萄。 その稀有の贈り物をくださった方は たまたま同一人物で これまた稀有な偉人なのですから。 故郷筑豊つながりでかれこれ 20年近くご縁をいただいている 写真家で映画監督でもある本橋成一さん。 東京・東中野にポレポレタイムス社 という会社があります。 先日久しぶりに再会が叶いました。 今年なんと80歳になられたそうですが ちっともお変わりなく 相変わらずダンガリーシャツの似合う ダンディな紳士でいらっしゃいました。 春日市のクローバープラザで今月末まで 写真展が開かれており、その準備のため 前日から初日に来福されました。 本橋成一さんといえば 日本初のユネスコ世界記憶遺産に選ばれた わが故郷が誇る炭坑絵師 山本作兵衛さんのそれは素敵な笑顔の プロフィール写真の撮影者としても 知られています。 今回の春日市での展示は そんな作兵衛さんの絵仕事と 筑豊を原点として その写真家人生をスタートさせた 本橋さんの仕事 そしてその2つを結びつけた 文化拠点・筑豊文庫のことまでわかる 大変稀有な贅沢な内容です。 特に作兵衛さんの絵は 世界遺産認定以降、地元田川市や 石炭歴史博物館によって 厳しく管理がなされているため 今では気軽に原画を見ることが できなくなりました。 (私が子供の頃には、普通に町の文化祭などあちこちで目にしていました) 今回の春日市での展示では 筑豊文庫が独自に所有している 見るも鮮やかで胸を打つ 原画の数々が惜しげもなく並んでいます。 これは、筑豊文庫の設立者である 記録作家、故上野英信さんのご長男 朱さんのご尽力。 ただ、子や孫に炭鉱の仕事や 当時の暮らしを絵で伝えたかったから という想いだけで 60歳を過ぎてから絵筆をとり 周りの人にもたくさんの絵を プレゼントしてきた作兵衛さんの 純粋な想いを胸に 上野朱さんは筑豊文庫に残っていた絵を 独自に大切に保管され こうした機会には積極的に 協力されています。 左 本橋成一さん 右 上野朱さん 本橋さんの目が切り取る モノクロ世界なのに温かい人間模様と 作兵衛さんの真っすぐで 生き生きとした色鮮やかな原画が 見事に対となった圧巻の眺めです。 今月末まで春日市クローバープラザで 開催されていますので ご興味ある方は是非お運びください。 で、そんな本橋さんと久しぶりに お目にかかり、朱さんや東京から 来られた展示スタッフの方々と もつ鍋をつつきながらお話していて 東中野のオフィスビルの屋上で ぐんぐんと育っている葡萄のことを 知りました。 日よけにと軽い気持ちで育てていたら 今年びっくりするくらい たくさんの実をつけたのだとか。 葡萄といえば、袋掛けとか お世話が大変なイメージですが ほとんどほったらかしで育ったそうです。 目を丸くして驚いていると ほんとに甘くておいしいよ 帰ったら送ってあげるよ とさらりとおっしゃり、その数週間後 本当に送られてきました。 綺麗なグリーン色の小ぶりの葡萄が 和紙とプチプチにくるまれていましたが まだ日差しが強い時期でもあったので ほとんどの実が軸から外れ バラバラになって少し潰れて 発酵しかけているものもありました。 が、その甘い香りはまさに ワインのそれでした。 お酒が大好きな私は(特に日本酒) その豪快な飲みっぷりから 朱さんより「西のおんな作兵衛」という 光栄なあだ名をいただいています。 まさか、作兵衛さんの偉業のこと ではなくて、作兵衛さんも無類の 日本酒好きで湯呑でがぶがぶ 一升瓶をすぐに空にしていたから ということでした。 ちなみに「西の」とつくのは 西日本でということで 実は東にもそのような女傑?が いらっしゃるそうです。 朱さんはいつか東西対決をと 言っておられますが いまだ私はその方と 酒杯を酌み交わしたことはなく いつの日かを楽しみにしている次第です。 話は横道にそれましたが そんなわけでお酒の匂いには 敏感なわたくし。 これは!!と思い、すぐさま バラバラ葡萄を洗って 酒につけようと思い立ちました。 しかしながら、適当な酒がない。 梅酒ならば、焼酎に氷砂糖ですが 適当な焼酎がない!とうろうろしていて はたと、収納棚を開け これだ!と取り出したるは 「老人と海」というタイトルで 与那国島の漁師の顔写真がラベルとなった 一升瓶の泡盛。 平成18年製造のもので ラベルの写真を撮られた本橋さんが その昔、わざわざ贈ってくださった ものでした。 偶然にも平成18年は 私が独自の筆仕事をやろうと 風香堂をつくった年でした。 これはもう最高の祝い酒ができると思い、 迷うことなくすぐさま実行しました。 キッチン台において毎日楽しみに眺め 一週間。透明だった泡盛が琥珀色に変わってきました。待ちきれず、瓶を開けた途端 ふわりと芳醇な香り。 ロックでぐびり。こりゃたまらん。 泡香堂の命名は、もちろん朱さん。 葡萄の包みに同封されていた 本橋さん撮影のカードに記されていた 言葉をご紹介します。 「ぶどうはバラバラ、人間もばらバラ」 ルドルフ・ブドチェンコ 人類皆兄弟なんて嘘だ。 世界はひとつになんかなれない。 それぞれがバラバラに 暮らしや営みがあって バラバラだからこそ面白くって バラバラを認め合うのが人生だ。 無理やりひとつになんてなれないよ。 これぞ 東中野産ポレポレバラバラグレープ 泡盛ロックの真骨頂。 すっかり悦に入り 毎晩の私だけの秘密の祝酒が しばらく続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年10月21日 13時42分13秒
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