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語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

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2022年04月26日
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敬愛する奥田民生さんのうたに、こんな歌詞がある。
クッキーをくれたから聴かせてあげる〜♫ってやつ。弾けるギター、自信に満ちた民生節、セクシーでかっこいいお気に入りのうた。

先日、思いがけず心のこもった手作りクッキーが届いたので、つい嬉しくて鼻歌歌いながら、一つ一つ勿体ぶって大切に味わい、とうとう各種あと3つになってしまった。寂しい。


元来、左党な私は、甘いものやスイーツは特になくても大丈夫なタチだが、この方の手作りクッキーを知ってからというもの、その自然な味わいの虜だ。
市販の甘ったるいクッキーとはまるで違い、いくらでも食べられる。

贈り主は、以前このうずまきにも書いたことがあるけど、元パティシエでもあり、そのほか多様な経験に基づく特殊技術を持たれる文筆家の上野朱さんだ。

90年代後半、番組制作に関わったご縁から親しくさせていただいている。
出会った当時、40代の古書店主であった朱さんも今や白髪が自然な60代半ば。そして私はまもなく50代に入ろうとしている。

こんなことを書くときは必ず時の流れの早さに驚く的な言葉に繋がりそうだが、今の私の気持ちは、ただ誇らしいの一言だ。

環境の変化目まぐるしい昨今、人のこころや付き合い方も否応なしに変わっていく。
こうして長年続いていくこと自体がありがたく、大袈裟でなく、生きていてよかったという人生の醍醐味に行き着く。

特に落ち着きない私などは、この間どれだけ引っ越しをし、離婚をし、仕事も様々で、先方を呆れさせていただろうかと思うが、それでも、20年前とほとんど変わらない佇まいの包みや手紙がこうして予告なしに届けられることに、しみじみと手を合わせたい気持ちだ。

いつ見ても変わりない朱さんの手書き文字の温かさにホッとするが、古書店主としての朱さんは実はもういない。
思い出がありすぎてうまく言葉になりそうもなかったから、前もって書けなかったのだが、筑豊文庫を解体したのちの朱さんが、その流れをくむ蔵書をはじめ、ジャンルを問わない様々な本を迎え入れ、20年以上にわたって宗像市で営んでいた古本アクスは、2022年2月末で閉店した。

博多駅から鹿児島本線を下り、教育大前駅で降り、赤間宿の風情漂う道を少し下ると右手に見える店先。写真家本橋成一さん撮影のポスターが貼られた入り口。

本の壁の奥の朱さんがにこやかに入れてくれるインスタントコーヒーとタバコの煙。
小さな空間なのに、本が一緒に呼吸をしているためかちっとも煙たくなく、圧迫感もなく。
近くの酒蔵が蔵開きとなる春先には、新酒を持ち込み酒盛りまで。楽しかった。


いつまでも変わらずそこにいて欲しい
楽しい日々が少しでも長く続いて欲しい
ずっとずっとそばに。

ありきたりな歌の歌詞がいくらでも浮かぶ。

そう願いながらもそう簡単にはいかないからこそ歌うしかないのだよね。
持続可能ななんちゃらなんてものも、歌と一緒でそう言っていたら安心するからなんだろう。

クッキーをもらったから
そんなことを考えました

朱さんありがとうございました
朱さんの次なるステージに幸多かれと願っています。





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最終更新日  2022年04月26日 10時13分28秒
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