|
カテゴリ:日常をめぐる冒険
少しだけ仕事が忙しくなって、時が矢のように逝く。
去年も一昨年も、休日が来れば池袋の本屋をうろつき、 映画を見て、ビールを飲む、楽しき泡の日々。 この春から、知らない街へ行こうと決めた。 黄金週間にはシチリアを夢見ていたが、 ひとまず計画は遠のいた。 その頃も旅をしていた。 開高健の『夏の闇』は、そんな風に始まる。 先日『ラストタンゴ・イン・パリ』を見て、『夏の闇』を思い出した。 「緯度の高い国の峻烈」を石の中から切り出してくる、冴えた眼と耳。 映画は少し退屈だった。 下腹を撃ち抜かれたマーロン・ブランドの瞬後の顔。 あの一瞬が見られたから、 画面上空に破れ目ができて、風が吹き降りてくるような爽快があった。 シチリア行きを見送ってから、気分だけでも、 とビールを葡萄酒に切り替える。 マーチン・スコセッシの『私のイタリア映画旅行』 を寝る前のベッドの中で見るともなく眺める。 ロベルト・ロッセリーニの軌跡を辿っている。彼を「偉大なる父」 と呼んだフェリーニが早く出てこないかな、と待っているうちに、眠る。 昨夜、池袋を歩いていると、新しいベトナム料理屋ができていた。 開高がサイゴンの裏町でしゃぶり付いた、「鳩」は食べられるのだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日常をめぐる冒険] カテゴリの最新記事
|
|