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カテゴリ:日常をめぐる冒険
通勤電車に揺られていると、携帯電話に着信があった。
父親からだった。誰か死んだのかと思った。 次の駅で降りて、電話を掛け直した。 「なんでもねえよ」と父親は言った。 「今、ラーメンのどんぶりが割れたから、お母さんがお前に電話しろって 言ったんだ」 確かに、生まれてから一度も、 ラーメンのどんぶりが割れるのを見たことがない。 遠く離れた場所に暮らしているからか。 「目に映るすべてのものはメッセージ」と口ずさむことがよくあるけれど、 それが解読できないことは多い。 ラーメンのどんぶりが割れた瞬間、 母はあるいは、何十年後かに出会うはずだった異国の友人、 今はまだ未知であるその誰か、 一人の遙かなる友達を失ったのかも知れない。 が、そんなことは判らない。 判らないことは実に多い。 仕事が捌けたら、そういうことを考えよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 3, 2005 11:42:59 PM
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