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カテゴリ:小説をめぐる冒険
桜は、もうどのくらい咲いたのか。
今日と明日と、久しぶりの休暇だから、これからちょいと 上野公園まで出掛けてみよう。 芝生が雨露で濡れてなかったら、 そこに寝転んで『イタリア人』をしようと思い、 スプリングコートの内ポケットにワインの小瓶を入れてみたが 右肩がずり下がって具合が悪い。 鞄を持つのも億劫だから、置いていこう。 昨夜は不思議と、熱っぽく、しかし、寝付かれなかった。 コチさんの日記に触発されて、手に取った 車谷長吉の『白痴群』を読み終えた。 ちょうど映画の制作発表が行われた頃、 『赤目四十八瀧心中未遂』を読み、「これはすごい小説だ!」と 興奮、戦慄した記憶があったが、それから以後は手に取ることもなかった。 『あッと思った』という言葉を合図に、自分の業を曝し、 人のあざとさを発見していく筆の滑りにゾクゾクする。 『白痴群』はなかなか怖い小説で、時折あまりに怖いから、 その数行をいったんは読み飛ばし、あとからやっぱり、と恐る恐る 読み返す。その時には開き直り、むしろその卑劣な裸形をじっくり 味わってやろうという気で、ゆっくりと読む。 怖い、と言えば、『赤目四十八瀧心中未遂』の方が、 思い出すと、陰影が濃い。 今日はワインの代わりに『鹽壺の匙』をポケットに入れていく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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