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祝祭男の恋人

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Apr 5, 2005
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カテゴリ:小説をめぐる冒険
 桜は、もうどのくらい咲いたのか。

 今日と明日と、久しぶりの休暇だから、これからちょいと
 上野公園まで出掛けてみよう。
 芝生が雨露で濡れてなかったら、
 そこに寝転んで『イタリア人』をしようと思い、
 スプリングコートの内ポケットにワインの小瓶を入れてみたが
 右肩がずり下がって具合が悪い。
 鞄を持つのも億劫だから、置いていこう。

 昨夜は不思議と、熱っぽく、しかし、寝付かれなかった。
 コチさんの日記に触発されて、手に取った
 車谷長吉の『白痴群』を読み終えた。
 ちょうど映画の制作発表が行われた頃、
 『赤目四十八瀧心中未遂』を読み、「これはすごい小説だ!」と
 興奮、戦慄した記憶があったが、それから以後は手に取ることもなかった。

 『あッと思った』という言葉を合図に、自分の業を曝し、
 人のあざとさを発見していく筆の滑りにゾクゾクする。
 『白痴群』はなかなか怖い小説で、時折あまりに怖いから、
 その数行をいったんは読み飛ばし、あとからやっぱり、と恐る恐る
 読み返す。その時には開き直り、むしろその卑劣な裸形をじっくり
 味わってやろうという気で、ゆっくりと読む。
 怖い、と言えば、『赤目四十八瀧心中未遂』の方が、
 思い出すと、陰影が濃い。

 今日はワインの代わりに『鹽壺の匙』をポケットに入れていく。
 





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Last updated  Apr 5, 2005 01:42:33 PM
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