あれからばったり来なくなったまりか。
そうこうしているうちにロケットも完成し、そして、花火大会も迫ってきていました。
ーーー花火大会。
日本で一番大きな打ち上げ花火。
それを彼女にみせるため、あのロケット・オリオン2号の特等席で彼女にみせるため、高野は、まりかが寝ている屋敷の2階に忍び込むのでした。
ひっきりなしに続く咳にうなされながらも、突然の訪問を喜ぶまりか。
そんな彼女に、高野は楽しそうに花火のことを語り出しました。
しかし、そこへまりかの父が、有無を言わさず平手打ちを打ってくるのでした。
さらに彼女の父親は、高野の胸ぐらをつかみ、罵声をあびせかかりました。
止めに入る、まりか。
あまりの衝撃的なことに、発作が起こり、ひどい吐血を・・・
・・・
花火大会当日。
自分の部屋で無気力に寝ころんでいた高野の家に、まりかの父が訪ねてきました。
「娘が・・・・・ 家にいないんです
娘は生まれつき身体が弱く
ひとりで外出できるような子ではありません
そちらのお子さんにどこか心当たりでもあればと思いまして------
実は娘をしばらくの間
スイスの療養所に移すことに決めました
明日一番の飛行機で 日本を発つ予定です」
もう会えなくなる---
そう思うやいなや、高野はこっそり部屋を抜け出し、一目散にオリオン2号のもとへと走り出していました。
・・・
オリオン2号。
その前に倒れていたまりか。
身体を少し触れただけで、すごく熱があることも分かりました。
すぐさまおぶって連れ出そうとする高野。
対してまりかは、待ってと、一緒に花火が見たいと、そう、言うのでした。
「私・・・・・ ほんとはね
ずーーっと前からこの場所に来てたの
いつも見てたの
毎日少しずつ出来上がっていくロケット-----
遠くから見てたの
ずっと 見てたの
だから私 嬉しかった
友だちだって言ってくれて 嬉しかった
すごく嬉しかった」
オリオン2号の向こう側に、とびきり大きな打ち上げ花火が、とてもきれいに舞っていました。
・・・・・
これで、5巻も終わり。
高野とまりかの過去のおはなしも、終わり。
次から6巻ですが、過去のはなしの合間にあったアスミの状況も振り返りつつ、端折りつつ、感想文色を強めながら、続けていきますです。
3ヶ月ほどあいちまいましたけど、次のんはもっと早めにいくですよ。
ふたつのスピカ5巻
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