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July 12, 2021
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カテゴリ:映画


「真夜中の五分前」は、2014年に公開された日中合作映画。三浦春馬さんは、上海の小さな時計屋さんで時計修理の仕事をしていた。

三浦春馬ロスが癒えない家族の強烈なリクエストに応えて、おそらく20年ぶりくらいにリビングでホームシアター(普通のテレビだけど…)をやってみた。
ストーリーは静かに淡々と進んで、だけど2時間を超える上映時間を長く感じることは全然なくて、最初から最後まで僕はずっと、上海で撮影された映像の美しさに魅入られていた。
どのシーンを切り取っても、漏れなく雰囲気のある素敵なポスターになりそうで、例えば、時計屋さんの店内にところ狭しと並べられた掛け時計や置時計とか、あるいは屋外に無造作っぽく吊るされた洗いざらしの衣服とか、ステンドグラスを通り抜けた後に再び混ざり合った光の加減とか、雨に濡れた夜の路地とヘッドライトとか…。その一つひとつの構図に、行定勲監督はきっと徹底的にこだわったのだろうと感じた。どうすればそんなことができるのか僕にはわからないけど、スタッフ全員が行定監督と同じ絵を完璧にイメージして撮影していたに違いない、と思った。

三浦春馬さんが演じる良と、リウ・シーシー(劉詩詩)が演じるルオランと、ニウ・ベンが演じる時計屋のおじいさんが交わす言葉の数々は、いつも優しくて、柔らかくて、奥深くて、美しい映像と静かな音楽と一緒になって僕の心に流れ込み、染み渡った。

静かに、静かに展開するこの映画が「ミステリー」に分類されているのはなぜだろう?と観る前に感じていた疑問は、観終わった後も変わらなかった。
おそらく「今、ここにいる彼女はルーメイなのか?ルオランなのか?」という謎が、ミステリーカテゴリーに入っている理由なのだろうけど、彼女がルオランにしか見えなかった僕にとって「真夜中の五分前」はミステリーでは全然なく、ただひたすら、良とルオランの交わす会話の切なさと焦れったさに、年甲斐もなく胸を痛めていた。

2014年に日中の映画館で上映されていた時、残念ながら僕はこの映画を知らなかった。三浦春馬の突然の死をまだ受け入れられない家族がいて、そのおかげ、と言うのは明らかに変だけど、2021年7月になった今、ホームシアター(普通のテレビだけど…)でこの映画に出会うことができた。
2時間に及ぶ美しい映画の中で、決して美しく演じようとはしていない三浦春馬さんの姿は、惜しい、と心の底から唸ってしまうほどに美しかった。







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Last updated  July 12, 2021 07:11:57 PM
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