11月のニュース
11月23日-11月28日 *政府はベトキュー(越僑)1500人をハノイ市に招待し、大規模な大会を開いた。招待されたのは、金の有る企業家や学識者である。大会に出席したグエンミンチェット大統領は、ベトキューも国家の重要な一員だと述べ、政府は彼等を歓迎すると挨拶をした。そして共産党が導入したドイモイ政策のお陰で、ベトナムは大きな経済発展を遂げたと説明し、ベトキューも祖国の発展のために協力して欲しいと要請した。 *国会は、土地使用税と不動産税の改定について協議した。しかし多くの国会議員は、法律は実行不可能で、まず現状を変えないと課税はできないと意見を述べた。現在は土地や家屋の登記がされておらず、正式な所有者が判らない状態では、税の徴収は難しいと意見を述べた。不動産の登録に何か月あるいは何年も掛かる現状を改め、早く不動産の所有登録を完了し、それからでないと課税はできないと述べた。 *グエンタンズン首相は北部Phu Tho省の役人をハノイ市に呼び、一緒に同省の経済発展について話し合った。中央政府は貧困な同省に特別な待遇を与えるから、早急に社会基盤を充実させ、産業を起こすよう指示した。地方の役人は、同省は過去4年間に10%以上の経済成長を達成し、今年は7.4%の経済成長を実現する予定だと報告した。ズン首相は役人を賞賛し、早く他の地域に追い着くよう指示した。(訳者注:嘘とお世辞ばっかり。何年も高度成長を続けたと言うが、住民の平均年収は数百ドルである。) *ベトナムの技術力は、タイやマレーシアなどの近隣諸国と比べ、大幅に劣る。だからベトナムの機械の輸出は20億ドルだが、その輸入は2百億ドルを越える。ベトナムは機械を製造すると言っても、ほとんどは海外から部品を輸入し、それを組み立てるだけである。 *ハノイ市で踏切りの遮断機が壊れており、注意の看板に気が付かず鉄道を渡ろうとしたマイクロバスが列車に跳ねられ、乗客ら7人が死亡、10人が重傷を負った。 *田舎の役人は、工業団地を作れば直ぐに工業が発展すると考え、たくさんの工業団地を造成した。メコンデルタでは156か所に工業団地が出来、その敷地の合計は1万3千ヘクタールに達する。しかし89ヶ所には企業が全く進出せず、8千ヘクタールの敷地は荒れ地に変わった。敷地が完全に埋まった工業団地は一つもない。大型トラックが進入できない土地に工業団地を造成するなど、無計画な開発が非常に多い。かつては農地だった所が多く、土地を失った農民は貧困に陥っている。経済発展のつもりの投資が、実際は経済を阻害している。 *ノンドクマン書記長は、南部解放戦線の退役軍人をハノイ市に招待し、彼等の貢献を賞賛した。彼等は既に老齢で、健康上の問題や経済的な問題を抱えているが、これからも頑張って国家のために貢献して欲しいと、挨拶をした。 *国会は医薬治療法の改定を承認し、一定の条件を満たせば病院で働く医者は、自宅でも診療できようにした。その後で老人法、通信法、軍人法の改定も圧倒的多数で承認し、更に食品衛生法の改定を検討した。 *ベトナムでは主要都市に国営の中央病院があり、地方には国営の診療所がある。しかし診療所とは名ばかりで、医療設備はほとんど無く、医師に代わって高卒の看護婦が簡単な治療を行うだけである。だから患者は、数が少ない中央病院に殺到する。中央病院はいつも満員で、入院患者は廊下に置いた簡易ベッドを使っている。外来の患者は何時間も待たされ、しかも数分の診療で終りになる。グエンタンズン首相は保健省に、現状を改善するよう指示を出した。 *先週の国会で議員は、農民は銀行の融資が受けられないと不満を述べた。これを受けて中央銀行は公式文書No.9104/NHNNを公布し、農民へ融資を行うよう商業銀行に指示を出した。(訳者注:政府は頻繁に指示を出すが、そのほとんどは無視される。首相や大臣も形式的に指示を出すだけで、守らせる気は無い。) *ASEANと中国の司法関係者2百人がハノイ市に集まり、国際犯罪の防止について話し合った。各国は協力して、国際犯罪を防止する事を約束した。(訳者注:中国は東南アジアで、活発な活動を展開している。一方で日本は、金を出す以外は何もしない。) *国会は、省エネ法と身体障害者法を検討した。ベトナムは電力不足で、頻繁に停電が起きる。停電を減らすには、発電所の建設と同時に節電が必要である。身体障害者に公的援助を与える法律は十年以上も前にできたが、実際は何の援助も行われない。政府は改めて新しい法律の草案を発表したが、この2つの法案は別の法律と重複している上に、分かりにくい規定が多いので実行は難しいと、国会議員は意見を述べた。 *中央銀行は、ベトナムドンを3.44%切り下げた。今まで1ドルは17,034ドンだったが、今後は17,961ドンになる。また変動の幅を、5%から3%に狭くした。だから一般の銀行は、17,422ドンから18,500ドンの間でドルの売買ができる。中央銀行は同時に、公定歩合を12月1日から8%に上げると発表した。(訳者注:1ドルは 17,422-18,500ドンだが、現在はドルが不足しているので、上限の18,500ドンを基準にして売買が行われる。実際に銀行でドンをドルに変えようとすると、売買には手数料が加わるとの口実で、2万ドン近くを出さないとドルは買えない。) *インドネシアの外務大臣がベトナムを訪れ、Khiem副首相兼外務大臣と両国の関係強化について話し合った。グエンタンズン首相もインドネシアの外務大臣と会談し、両国の友好を深めた。 *統計局は、11月の消費者物価は0.55%の上昇で、今年になって 6.9%の値上がりだと発表した。 *国会は、中部のNinh Thuan省に原子力発電所を建設する計画を承認した。108億ドルの資金で2014年に建設を始め、2020年に完成する予定である。 *ベトナムの11月までの輸出は514億ドルで、去年と比べて11.4%の減少である。今年の輸出は560億ドルになる見込みで、政府の目標645億ドルを大幅に下回る。11月までの輸入は616億ドルで、17.9%の減少である。 *11月までに許可を出した外国投資は197億ドルで、去年の同時期の28%にしかならない。最大の投資国はアメリカである。実際に行われた投資は90億ドルで、これも去年より11%減った。 *国会は、食品の安全性について話し合った。ベトナムでは食品に有害な着色剤や防腐剤が大量に使われ、人体に害を与えている。また路上の屋台は冷蔵庫が無く、バケツの汚い水を繰り返し使って食器を洗うから、細菌による食中毒が頻繁に起こる。様々な機関が有害な食品を取り締まるが、罰金を取るだけで総合的に衛生を管理する機関は無い。国会は保健省に、食品の安全性に全面的な責任を持たせる事を決めた。 *国連のユニセフはハノイ市で、労働福祉省、計画投資省などの役人と、子供の貧困を無くすための会議を開いた。ベトナム政府は、ベトナムの貧困な子供は4百万人だと言うが、寝る場所が有るか、清潔な飲料水が有るか、教育が受けられるか、栄養失調ではないかなど、総合的に考えると7百万人の子供が貧困に分類される。ユネスコはベトナム政府に、国際的な標準に合わせて対策を取るよう要請した。 *ホーチミン市ではオフィスビルが続々と完成し、同時に部屋代は急落している。最近完成したAsiana Plazaは床面積が25,700平米もあり、テナントを集めるために部屋代を低く押さえているが、それでも部屋は埋まらない。高級オフィスビルの賃貸料は、2008年は平米当たり60-100ドルだったが、今では40-70ドルである。 *今年になって鉄道の事故は約4百件あり、180人が死亡し260人が重傷を負った。事故の90%以上は、踏切りの事故である。昔に作った線路沿いの柵は壊れ、私設の踏切りがたくさん有る。そこには遮断機が無いから、不注意により直ぐに事故が起きる。 *国会が終り、グエンフーチョン国会議長が閉会の挨拶をした。提出された法案と改定は、全て圧倒的多数で可決された。また来年の経済成長やインフレ抑制の目標を決め、国会は大きな役目を果たしたと賞賛した。 *国連の機関と援助国の代表は、ベトナムの行政改革に関する会議を開いた。出席した外国の代表は、ベトナムの役人の事務能力は極端に劣り、行政改革を行うには役人の能力を高める事が何よりも必要だと語った。役人は罰金や賄賂を取るだけで、効率の良い行政を行う能力は全然ない。 *ホーチミン市のCan Gio地区のサイゴン川で、燃料運搬船と貨物運搬船が衝突した。破損した燃料運搬船から50立米の石油が流れ出て、それに火が着いて燃えた。消火船や救助艇が出動し、乗組員を救出した。幸い死者や負傷者は出なかった。 *調査の結果、野生の象は過去5年間に半減し、現在は80頭しか居ない事が分かった。森林が切り開かれて農地になり、象の住める場所が減った。象は食べ物が無くなり、人里に出て来て農作物を荒らす。その結果、農民に殺されてしまう。