12月のニュース
12月22日-12月27日 *フランスの植民地時代に独立運動を行い、植民地軍に捕らえられてHoa La監獄に拘置された愛国の闘士が、今も235人生存している。政府はハノイ市で彼等を賞賛する18回目の式典を開き、グエンフーチョン国会議長ら大勢の指導者が出席し、彼等の勇敢な戦いと国家への貢献を賞賛した。 *グエンタンズン首相は中部Quang Ngai省のDung Quat工業地区を視察し、ここに進出した企業を賞賛した。この工業地区は、中部全体の工業を発展させるための国家事業として建設され、巨額の投資が行われた。ズン首相は企業の経営者に、国内での生産を拡大し、輸入を減らし、貿易赤字を少なくして欲しいと呼び掛けた。 *中部山岳地帯の村の代表61人がハノイ市へ行き、送電線の敷設を計画通りに進めるよう陳情した。ズン首相は2006年に、この地域の17万世帯の内12万世帯に電線を引くよう指示を出したが、計画通りに進んでいない。(訳者注:政府の公式発表では、一部の僻地を除きベトナム全域に電線が引かれた筈だが、まだ電気の無い世帯が多い。恐らく数十万世帯は、現在でも電気が無いと推定される。) *各地の祖国戦線の代表は、カトリック教会を訪れてクリスマスの祝いの言葉を述べた。カトリックの司祭は、政府に神の祝福と教徒の感謝の言葉を返した。 *キリスト教の一派 Seventh Day Adventistに政府の許可が降り、この信徒は自由に宗教活動ができるようになった。(訳者注:政府に協力する宗教は、政府の庇護を受ける。政府に反対する宗教には許可が降りず、無許可で宗教活動を行うと処罰される。) *自動車の登録料金は、8月に購入価格の8%から10%に上昇したが、1月1日から更に12%に上昇する。またタクシー料金の付加価値税も、1月1日に5%から10%に上昇する。相次ぐコスト高で、タクシー業界から不満の声が出ている。 *ベトナム農業協会はハノイ市で総会を開き、今後の計画を話し合った。ノンドクマン書記長も会議に出席し、ベトナムは農業国で国民の3分の2は農民で、農業は国の重要な柱だと述べ、生産性と利益を上げるよう激励した。 *ホーチミン市で公安の幹部会議が開かれ、今年の総括と来年の計画を検討した。グエンタンズン首相も会議に出席し、公安か治安の維持に大きな成果を上げていると賞賛した。今も政府や共産党に敵意を持つ敵対勢力が居り、悪事を企んでいるかも知れないので、国家の平和と安定を維持するために全力を上げて欲しいと要請した。 *ベトナムと中国の国境を示す1116番目の石碑が建てられ、両国の副外務大臣と地元の役人が出席し、除幕式が行われた。国境の確定と石碑の建設は順調に進み、間もなく国境全域が明確になる。国境の問題が無くなれば、両国の関係は一層強まる。 *ルクセンブルクの副首相がベトナムを訪れ、Khiem副首相兼外務大臣と両国の関係強化について話し合った。グエンフーチョン国会議長もルクセンブルクの副首相と会談し、友好を深めた。 *経済の悪化で失業する労働者が急増しており、労働福祉省は早急に失業保険に関する政令を公布し、失業者の救済を計る。(訳者注:現在も失業保険の制度はあるが、加入しているのは外資企業だけで、しかも失業保険を貰う手続きは非常に面倒で難しい。普通の労働者は、失業しても保険金を貰うのを諦めてしまう。) *ホーチミン市は、バス運行組合に年間数千億ドンの赤字補填をしている。しかしバス組合は、自由にビジネスができれば赤字補填を減らしても良いと言う。現在は規制で縛られ、バスを走らせる以外は何もできない。許可さえもらえば、バスの車体や吊り革に宣伝を載せ、企業から宣伝料を取る事ができる。バスターミナルにデパートの建設許可が降りれば、そこから幾らでも利益は出せる。しかし現在は、許可が取れないから組合は何もできない。 *ホーチミン市には、労働者から社会保険料を徴収しておきながら、政府に納付しない国営企業が59社と、外資企業が53社有り、その未払い保険料は5900万ドルにも達する。社会保険に加入せず保険料を徴収しないならまだしも、徴収して納付しないのは詐欺行為である。同市はこれらの企業に、厳しく納付を要求する方針である。 *大勢の退役軍人がハノイ市に集まり、人民軍の創立64周年を祝う式典が開かれた。グエンミンチェット大統領も式典に出席し、退役軍人は国家の独立と統一に大きな貢献をしたと賞賛の言葉を述べた。そして今後は、貧困撲滅など軍事以外の面でも政府と共産党に協力して欲しいと要請した。(訳者注:ベトナムの指導者は、式典に出席して挨拶するのが最大の仕事。立法や行政の仕事は手を抜いている。) *国会の常任委員会は会議を開き、新しい法案の検討を始めた。刑法の改定、犯罪記録法、都市計画法、国家賠償法などを審議し、次の国会に提出する。外国がベトナムは死刑が多いと批判するので、この改定で死刑を減らす。 *ホーチミン市は日本政府の援助で、新しい副都心となるThu Thiem地区に、IT工業団地を建設する。同市では2番目のIT工業団地である。先日その起工式が行われた。 *保険会社からベトナムの病院に様々な苦情が出ており、政府は病院の管理を厳しくする予定である。患者が民間の保険に加入していると、病院は様々な高価な治療を行うが、本当に必要な治療だったのか、本当にそんな治療を行ったのか、疑わしい治療費の請求が非常に多い。(訳者注:病院は、架空の治療費を請求していると言う事。政府の保険の場合は、患者に聴診器を当てる程度で本格的な診療はしない。政府が払い戻す保険金は最高でも数ドルで、しかも1年以上も後の支払いとなる。だから民営の病院は社会保険を受け付けず、国営の病院も治療は形だけ。) *祖国戦線はハノイ市での役員総会を開き、今年の総括と来年の計画を話し合った。グエンミンチェット大統領も会議に出席し、祖国戦線の活動を賞賛し、政府・共産党と国民を結ぶ懸け橋として、更に活発な活動をして欲しいと要請した。 *ホーチミン市で定例の閣僚会議が開かれ、グエンタンズン首相は世界的な不況がベトナムの経済にも大きな影響を与えていると述べ、経済政策に力を入れて不況を乗り切るよう、閣僚に指示を出した。その後で閣僚は記者会見を行い、Phuc計画投資大臣は、今年の経済成長は6.23%の見込みで、一応の成果を上げたと発表した。 *国会の常任委員会は人口問題を協議し、『子供は2人まで』の政策を強力に押し進める事を確認した。今年前半に生まれた赤子は 552,000人で、去年同時期より 5.4%の増加、また3人目以上の赤子は61,700人で、これは13.4%の増加である。人口増加の抑制は重要な課題で、国民に家族計画の教育を強力に行う必要があるとの結論を出した。 *昨日はクリスマス。ベトナム人は宗教に関係なく皆でこれを祝う。レストランも喫茶店も真夜中まで営業し、若者を中心とする客でいっぱいである。政府の指導者も、地元の教会を訪れてキリスト教の指導者に祝いの言葉を述べた。 *東芝は、Dong Nai省の工業団地にモーターを製造する大型工場を建設する計画である。投資金額は7700万ドル、製品はアジア各国に輸出する。 *ノンドクマン書記長は北部山岳地帯のBac Kan省を訪れ、地元の役人と経済発展について話し合った。役人は食料の生産が増えて貧困世帯が減るなど、同省は順調な発展を続けていると報告した。マン書記長は同省の発展を賞賛したが、同省の一人当り年間所得は5百ドル以下だと指摘し、更に経済を発展させるよう指示した。 *中曽根外務大臣とHoang商工大臣が署名し、日越経済協力協定が結ばれた。両国の政府が批准し、来年の初めに有効となる。これにより両国の経済関係は更に緊密になり、貿易や投資が増えると予想される。 *国会の常任委員会は、政府の賠償について検討した。役人の悪事などにより国民が損害を受けた時、国家は賠償をする責任がある。賠償に関する詳細を詳しく規定し、法律にする必要がある。 *統計局によると、12月の物価は0.68%下がり、年間の物価上昇率は19.9%となった。物価を20%以下に押さえると言う政府の公約は、最終的に実現された。(訳者注:政府発表の数字は政治的な配慮で決まり、事実を示す物ではない。) *(訳者注:最近の新聞には、教育問題に関係する記事が多い。外国企業などから、ベトナムは教育水準が低くて、大卒でも企業で役に立たないとの批判が出ているからである。私も中国とベトナムで日本語を教えたが、それは強く実感する。ベトナムの勉強は、暗記だけに力を入れる。大学で工学や化学を専攻する学生も、本に書いてある事を暗記するだけで実験はほとんどしない。語学の学生も、文法を暗記するだけで話したり聞いたりの練習はほとんどしない。だから会社に入っても、直ぐには通訳の仕事ができない。) *(訳者注:ベトナムでは、役人の汚職と学生のカンニングは、目を覆うばかりである。試験の時には、学生全員が一斉に隣の学生の答案を写す。一人二人なら注意できるが、一斉にやるから教師はどうしようもない。カンニングを悪い事だとは思っていないようである。学生は素直で明るく、『いじめ』などは全く無い。私はベトナムの学生がとても好きである。) *中央銀行はドンを3%切り下げ、1ドルを16,494ドンから16,989ドンに変えた。市中銀行は、公定相場の上下3%、16,479ドンと17,499ドンの間で売買できる。発表の次の日、 Vietcombankの売り買いは17,180ドンと17,350ドンである。 *ホーチミン市は、土地の基準価格を20%引き上げた。これで基準価格は実際の価格に少し近付く。強制移転の補償金などは、基準価格に基づいて決められる。 *国会の常任委員会は、人民協議会の運営について話し合った。人民協議会は市や省、郡や区にあり、議会の働きをする事になっている。しかし実際は活動をしておらず、人民委員会が行政だけでなく政策決定も行っている。人民協議会を廃止すべきか、あるいは権限と責任を強化して実効性を持つ組織にすべきか、委員は様々な意見を述べた。 *グエンタンズン首相は閣僚、地方の指導者、企業の代表をホーチミン市に呼んで経済について協議した。今年の国民総生産の伸びは 6.2%で去年より大幅に下がったと述べ、停滞する経済を改善するための率直な意見を求めた。企業の代表は、行政の手続きが面倒で難しい、土地の取得ができない、銀行の融資が難しく金利も高いなど、様々な不満を述べた。地方の指導者は、政府の情報や将来の予測が頻繁に外れ、基本的な政策も頻繁に変わるので、計画を作るのが非常に難しいと苦情を述べた。 *国営企業と韓国企業が合弁で設立したOrion Hanel社が、正式に倒産した。既に製造は4月から完全に止まり、今まで倒産の手続きをしていた。同社は1億7800万ドルの資本で1993年に設立され、テレビのブラウン管を製造していた。銀行の融資3400万ドル、未払い給料190万ドルなど合計4700万ドルの負債を抱えているが、返済の目途は無い。日本のソニーも、テレビ製造の不振で去年の9月にベトナムから撤退した。