3月のニュース
3月、第2週 *ノンドクマン書記長は共産党員に、農業と農民を大切にする必要があると語った。都市の経済は急速に発展しているが、農村は相変わらず昔のままで貧しく、所得の格差はますます広がっている。工業発展のために、農業を犠牲にしてはならないと述べた。 *グエンフーチョン国会議長は、公式訪問でオーストラリア西部のPerthに到着した。国会議長には、大勢の国会議員と企業家が同行している。 *建設省は、国家の首都ハノイ市を西方に拡大するため、Ha Tay省の全部、Vinh Phuc省とHa Tay省の一部を、ハノイ市に合併させる案をズン首相に提出した。(訳者注:ハノイ市は、戦争に勝った北部の首都である。戦争に負けた南部のホーチミン市より、政治はもちろん経済でも優位に立ちたい。そのために社会基盤を充実させたいが、土地が無い。だから周囲の省を取り込んで、面積を広げる。) *Hung副首相は、ハノイ市のNhat Tan橋の建設現場やNoi Bai空港のターミナル建設現場を訪れ、2010年のハノイ市の創立1千年祭に合わせ、完成を急ぐよう指示した。 *メコンデルタでは、15万匹の鰐が飼育されている。数年前に鰐の飼育は利益が出ると言われ、我も我もと鰐の飼育を始めた。しかし今は供給過剰で価格が下がり、農民は鰐を持て余している。飼育管理が悪くなり、飼育場から逃げ出す鰐が多い。逃げ出した鰐のために、子供の水遊びが禁止になった地域がたくさんある。 *アイルランドを公式訪問しているグエンタンズン首相は、同国の首相と会談し、ベトナムを市場経済の国と認定し、貿易や投資を増やして欲しいと要請した。同国の首相は、教育などを中心にベトナムへの援助を拡大すると約束した。会議の後で両首相は二重課税防止協定に調印し、共同声明を発表した。 *オーストラリアの西部に到着したグエンフーチョン国会議長は、地元の省長と会談し、ベトナムとの貿易や投資について説明した。チョン国会議長はまた、地元で働いたり勉強したりしているベトナム人と会見し、祖国の現状を伝えた。チョン国会議長に同行している企業家は、地元のオーストラリア企業とビジネス会議を開いた。 *去年の内に電力公社は政府と話し合い、今年の7月から電力料金を1KW時当り平均で現在の860ドンから890ドンに値上げする事が内定していた。しかし最近の諸物価の高騰で、電力公社は2月に917ドンへの値上げ、また先日は952ドンへの値上げを要求した。政府は、インフレ抑制のために電力料金の値上げを抑えたい。しかし電力公社は赤字経営となっている。値上げの幅とタイミングが難しい。 *1月と2月の自動車の売上は21,000台で、去年の同時期より72%も増えた。最も多くの自動車を販売したのは、バスなどを製造して政府に販売している国営のVinamotor社である。今まで一位を占めていたトヨタベトナム社は、二位に落ちた。 *イギリス、ドイツ、アイルランドへの公式訪問を終えて帰国したグエンタンズン首相は、記者会見を開いて今回の訪問は大きな成果を上げたと報告した。各国はベトナムに大きな関心を示し、政府間援助はもちろん、貿易や投資も増やすと約束した。首相に同行した企業家は、合計1百億ドルの契約を結んだ。 *オーストラリアを訪問しているグエンフーチョン国会議長は、首都のキャンベラに移動し、下院の国会議長と会談した。チョン国会議長は同国の援助に感謝の言葉を述べ、オーストラリアの国会議長はベトナムの発展を賞賛する言葉を述べた。そして両者は国会議員の交流を増やし、相互理解を深める事を約束した。 *日本の国際友好交流委員会の武藤会長がベトナムを訪れ、グエンミンチェット大統領と会談した。そして両国の関係を一層深める事を約束し、またチェット大統領は日本に、交通を改善するための資金や技術の援助を要請した。 *日本政府は、ハノイ市に日越文化交流センターをオープンした。Nhan副首相兼教育大臣は、日本との文化交流を促進するセンターができた事は非常に喜ばしく、ここを本拠に相互理解を深めたいと挨拶した。坂場大使も、センター開設の挨拶を述べた。 *北部Ninh Binh省の国立公園では、絶滅の危機にある野生の鳥を保護して飼育している。しかしここで鳥インフルエンザが発生し、多くの貴重な鳥が死んでしまった。 *国会の財務委員会はTrung副財務大臣と共に、付加価値税法について検討した。副財務大臣は、付加価値税は9年前に導入されたが、課税する品目が不明確など不十分な点が多いと指摘した。国会の財務委員長も、法律は早急に改定が必要だと述べた。(訳者注:ホーチミン市では、外国人が経営するレストランは10%の付加価値税を国家に払うが、ベトナム人経営のレストランは付加価値税を払わない。利益の10%なら未だしも、売上の10%は非常に大きい。外国人名義のレストランは、経営が非常に難しい。) *財務省は、最近の完成車の輸入急増を理由に、輸入関税を60%から70%に上げる事を決めた。(訳者注:暫く前に、WTO加盟の約束で関税を引き下げたばかりである。こんなに頻繁に税率を変えたら、税関の役人でさえ税率が分からなくなってしまう。) *メコンデルタでは、大勢の若い人が都市の工場に働きに出てしまい、人手不足が深刻な問題になっている。農業機械が少ないので、農作業の能率が良くない。収穫の時期が遅れたり脱穀が不完全だったりなどで、多くの米が無駄になり品質も悪くなる。 *保健省、財務省、商工省、計画投資省は、医薬品の価格高騰への対応を検討する合同会議を開いた。輸入価格の上昇もあるが、一部の国営企業が市場を独占して価格をつり上げ、医師へのリベート支払いなどの悪習で、医薬品は極端に値段が高い。市場の独占を無くし、入札で病院向けの薬を購入する事などを決めた。 *グエンタンズン首相は政府の関係機関に政府通達を送り、鳥インフルエンザの予防に全力を上げるよう指示した。今年になって正式に報告されただけでも、25か所でこの病気が発生し、2万6千羽の鳥と感染した4人が死亡した。通達の中では、この病気の発生を隠そうとした役人は、厳しく処罰すると記されている。 *1968年前(AD40年)にTrungと言う2人の姉妹が、ベトナム北部を支配していた漢の軍隊に反抗する乱を起こした。ハノイ市はこの歴史的な出来事を記念し、盛大な式典を開いた。同市には姉妹を祭るHai Ba Trung寺があり、地元の人々はそこで竜や獅子の舞い、古典武術の披露、歌や踊りの発表などを行った。 *アメリカ政府は世界の人権に関する報告書を発表し、ベトナムには言論や思想の自由が無いと批判した。外務省の報道官はこれに対し、アメリカはベトナムの実情を良く知らず、誤った判断をしていると反論した。(訳者注:以前は政府を批判した者は、裁判も無く投獄された。現在は形式的ではあるが、裁判を受けて処罰される。しかも刑は段々に軽くなっている。以前と比べ大きな改善である。) *ホーチミン市では、市民の安全を無視して工事が行われている。住民が工事で掘った穴に落ちて怪我をしたり、バイクが道路脇に置いた建設資材にぶつかって転倒するなど、様々な事故が起きている。しかも工事現場には、施工責任者の企業名が表示されていない。同市は建設会社に、十分な安全対策を取る事、企業名を表示する事、を指示した。 *グエンフーチョン国会議長は、シドニーで経済会議に出席した。両国の企業家1百人が会議に出席し、ベトナムの経済状況や投資環境について説明を聞いた。企業家は、個別の商談も行った。チョン国会議長は地元の省長と会談し、友好と理解を深めた。 *電力公社は、今月末から停電が多くなると発表した。今までは大都市への送電カットを控えていたが、その余裕も無くなった。発電所のダムの水位は去年以上に下がっている上、Ca Mau火力発電所やUong Bi水力発電所は稼働開始が大幅に遅れている。 *共産党中央委員会は、ハノイ市に報道機関の代表を集めて会議を開いた。Khiem副首相兼外務大臣も出席し、外国ではベトナムに対するイメージが悪いと述べ、報道機関はベトナムの良い点をたくさん報道し、ベトナムのイメージ改善に協力して欲しいと要請した。(訳者注:共産党による報道規制で、悪いニュースは報道を控え、良いニュースだけ選んで報道しろとの指示である。) *南部Ca Mau省のU Minh Ha地区には、広大なマングローブの林が広がっている。政府はここを国有林に指定して保護しているが、雨季には洪水、乾季には火災が発生し、この林を管理する地元の住民は非常に貧しい。日本政府はこの地域に870万ドルを贈与し、住民の生活改善と、森林の管理改善を図る。 *アメリカドルの下落で、ベトナムの為替相場が複雑になっている。中央銀行は、1ドル=16,021ドンの固定相場を変えない。銀行間取引では、中央銀行が認めた1%変動幅の15,861ドンが適用される。顧客の企業が銀行でドルを売る場合は、交渉により15,500ドン前後が適用される。一般の人が金ショップでドルを替えると、15,400ドンである。 *原油採掘のPetroVietnam社は、ハノイ市の国立大学と共同で、新しい大学を設立すると発表した。同社の社長は「ベトナムで最も良い企業と最も良い大学が提携し、最も良い教育機関を設立するつもりだ。そして将来は、その大学でノーベル賞を得られるような学者を養成したい」と語った。(訳者注:ベトナムは原油を輸出し、燃料を輸入している。両方の金額はほぼ同じで相殺できるから、原油と燃料の価格上昇は大きな問題ではないはずである。しかし値上がりによる利益は、国営のPetroVietnam社が独り占めし、不利益は国民全体が負担する。最近の原油の値上がりで、PetroVietnam社の利益は巨額となり、国家の指導者が同社から受け取る政治献金も高額となった。) *石炭公社は、政府と企業に石炭の値上げを申請した。石炭は政府の価格統制を受けており、セメント、肥料、製鉄の国営企業向けは、一般価格の70-80%、発電向けは55%、輸出向けは輸出価格の45%に決められている。(訳者注:石炭の国際価格は急速に上昇している。しかし石炭を採掘する石炭公社は、その恩恵を全く受けていない。石炭の採掘は、汚い、危険、低賃金の典型で、下層階級の労働者の仕事である。共産党の幹部は、空調の利いた快適な事務所で石炭の販売割当てや輸出業務を行い、利益のほとんどを独り占めしている。石炭公社は、この様な政府の仕打ちに反旗を翻した?) *ベトナムは中国などから屑鉄や鉄の塊を輸入し、これを溶かして鉄棒や鉄板を製造している。しかしベトナムの製鉄会社は、古い設備で効率の悪い作業をしており、国内の鉄材の価格は非常に高い。初めから鉄棒や鉄板を輸入する方が、ずっと経済的である。高い輸入関税を掛けて、古くて効率の悪い工場を保護する必要は全く無い。 *(訳者注:教育省は、試験の不正を無くす事に力を入れた。その結果、試験の時にカンニングができなくなり、進級試験に落第する学生が大幅に増えた。落第した生徒の多くは、そのまま学校を辞めてしまう。去年中学校を辞めた生徒は全国で5万人、高校を辞めた学生は6万4千人である。)