昨日、経理求人で2人目(Aさんとしよう)の面接をした。結論からいうと、先日の人と同じく、Aさんも経歴詐称の疑い(たぶん本当)でお断りすることになった。
■ Aさんのレベルの低いレジメ
もともと、この人のレジメを見た瞬間、面接するに値しないと判断できた。前の会社では10年間の経理経験と書かれていたのだが、職務経験したとは思えない小学生レベルのレジメ。
Aさんが書いたレジメは、ある経歴を日本語に訳すとこんな感じ表現されていた。
○○社 - 1995/○月-2005年/○月
- 売掛と買掛
- 在庫管理
- 給与計算と管理
- ジャーナルエントリー
- 財務レポートの準備
- 一人で仕事ができる(Works well independantly)
これ、経理の教科書の目次を見ているみたいだよね。英語の単語のミスはあるし、なにしろに何をやったのか全く分からない。
こんなレベルの低いレジメをみれば、一目瞭然で仕事ができない人と判断されても仕方がない。本来は、企業に提出する正式文書であるレジメに細心の注意を払わなければならない。そんなことにも気を配ることができない人は、仕事なんか出来るわけがない。
■ ウソ発見までのプロセス
僕の上司には、「面接するに値しない」と報告をしたのだが、「一応あってみようよ」という上司の意向で昨日面接することになった。ただ、案の定レベルが低かった。さらに、「ウソをつく」という点では、前回の人よりもタチが悪かった。
経理という仕事がどこの会社にいっても、基本的な会計ルールに従って業務が行われている。したがって、より具体的に質問することでその人がいっていることが真実が矛盾しているか簡単に見分けることができる。
例えば、資産項目を移動したり、減価償却や前払い費用などの資産項目を費用計上するための行う処理(ジャーナルエントリー)について質問をしてみる。
(僕)「前の会社では、ジャーナルエントリーをご自分でされました?」
(Aさん) 「はい、ジャーナルエントリーはやったことあります」
(僕)「どのような項目をどのように処理されたか教えていただけますか?」
(Aさん)「えっ・・・・。っと、いいますと?」
(僕)「なんでもいいですけど、たとえば前払い費用や保険、減価償却でも、なんでもいいです。具体的に何をどうされたか教えてください」
(Aさん)「ええ・・・たとえば、前払い費用では送料などの前払い費用をインボイスに記載しました。・・・・」
ブッブ~(ウルトラクイズ風に) 不正解!お前はうそつきだ~!
(僕)「・・・。じゃあ、保険とか減価償却では?」
(Aさん)「はい、保険も減価償却でもやりました。・・・・(終わり)」
(僕)「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。そうですか。。。」
ウソ発見の解説(会計にご興味のない方は飛ばしてしてください)
この質問は、資産や負債項目の費用計上や資産の移動をするために、通常業務では行えない処理(ジャーナルエントリー)をどのように行ったかという質問です。
Aさんの回答は、インボイスを作成したときに前払い費用である送料をのせれば、その時点で売掛(AR)が増えて前払い費用が減るため、ジャーナルエントリーをする必要がありません。
つまり、ジャーナルエントリーをした具体例ではなく不正解!
そして、具体的に例をあげて答えられないAさんの「ジャーナルエントリーの経験がある」という回答は、ウソ!
■ 質問に対してまともに答えられないAさん
そのほかにも、この人の矛盾する回答がいっぱいあった。
(僕)「前の会社の年商はいくらぐらいでしたか?」
(Aさん)「う~ん。 そうですね~。売上は減少傾向にありましたが・・・・」
(僕)「覚えてらっしゃらないですか?」
(Aさん)「ええ、覚えていないということではないですが・・・・。・・・・」
(僕)「・・・」(おいおい、半年前まで働いていた会社の年商を覚えていないのか?)
(上司)「・・・。もう、それはいいだろう」
(僕)「趣味でも仕事でもなんでもいいですけど、自分の好きなことってなんですか?これをしたら熱中してしまうとか、なんでもいいです」
(Aさん)「え~、そうですね。。。本を読むことが好きです」
(僕)「へぇ~、本を読むときはそれにのめりこんでしまいますか?」
(Aさん)「ええ、そうです。」
(僕)「そうですか、どんな本読まれました?」
(Aさん)「ええっと~。・・・。・・・・」
(僕)「・・・」
(Aさん)「・・・」
(僕)「小説ですか、ビジネス書ですか?」
(Aさん)「ええ、小説は好きです。・・・」
(僕)「・・・」(本当に本好きなの?)
(僕)「前の会社で、自分で問題点を見つけたり感じたりして、業務を改善したり効率化された経験はありますか?」
(Aさん)「 ありません!前の会社はワンマン社長でしたから。社長の「あ~だ、こうだ」ということ聞いてそれに従うだけです。・・・」
(僕)「・・・」(もうちょっと、ましな答え方があるだろうが!?)
とまあ、面接は20分くらいで終わった。結局、最後までAさんは僕の質問対して正面から回答することはなにひとつなかった。ウソにも思えるAさんとのやり取りで、僕らの事務所はかなり重く苦しいどんよりした雰囲気に包まれた。
■ 今回で学んだこと
僕のかなりいやな暗い気分にさせられたけど、でもやってみて学んだこともあった。
「レジメはその人のレベルを語る」
これは間違いない。