「やればできる」と教えてくれた先生
私は小学校5,6年の時に、S先生という素晴らしい先生に出会いました。S先生は、クラス初日に、筆で何かを書いた2枚の大きな模造紙を、私たちに見せました。それにはこう書いてありました。「やればできる」「根気よく」先生は私たちが一番良く見える、黒板の上の方にそれを貼り付けたので、私たちは毎日その文字を見ることになりました。それから、私にスゴい異変が起こりました。それまで、私は成績、運動、全ての面において「中くらい」だったのですが、ほとんどトップクラスになりました。特に運動面では、S先生は体育が得意な先生だったので、よくコーチングもしてもらったのです。短距離、中距離、長距離、バスケットボール、全てにおいて私は学年でトップと言われていました。今でも覚えているのが、バスケットボールです。不思議なことに、シュートが全然外れないんですね。投げる球、投げる球がおもしろい程に決まるんです。決まらない方がおかしいって感じがしたのです。その時の私は、本当に無心だったのを覚えています。入る、入らないことなどを全く考えず、意識せず、ただ、「シュートを決めるんだ」と、思っていただけなのです。ゴールが決まっても、得点王になっても、チーム優勝しても、「それだけのこと」「ただやったからできた」出来たことは、当たり前のことと、本気で思っていたのです。今思い出しても、自分がすごく冷静で、リラックスしていたのを覚えています。この不思議な天才的?な感覚は、残念ながら小学校卒業してからすっかり?なくなってしまいました。今考えると分るんですが・・・「欲」、がでてたんですね。「人の評価を得よう」、という気持ちもでてきました。そして、「他人と比較、競争」するようになりました。これで私はだんだんと自信を失っていったみたいです。小学校の時は感単にできたことが、出来なくなってしまいました。学校も嫌いになりました。こんなもんかと思い、あきらめ、そして「希望」もなくなりました。中学校、高校は、かなり日陰生活だったような気がします。楽しみは「映画」「本」「テレビ」「マンガ」。現実逃避の生活にひたっていました。(あー暗っ!)私の青春を返せー!(ふ、古っ!)「何か自分らしくないなー」と我ながら思っていたのですが、どうしていいのか分からなかったのですね。でも、そのプロセスがあったからこそ、今の私があるんです。「やればできる。」というS先生の言葉を言い換えるなら、「そのままの自分を信じてやれば、何でも実現できる」ということだったと思います。当時S先生は30歳でしたが、今思っても偉大な先生でした。