ヴィーテ･イタリア高岡（Hiruccio）のイタリアワイン＆主夫日記

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  イタリアワインファンクラブ「チルコロ」3月はピエモンテワインで〆ましょう（＾＾）

  イタリア中を巡る！というシリーズで、北から南までのワインで、お送りしてきた2011年最初のチルコロですが3月9日（水）に予定しています、3回シリーズの最終回は、イタリアワインの中で最もメジャーであり、葡萄品種と葡萄耕作人の絆が強い地域といえる　　　ピエモンテ地方　Piemonteを特集します。フランスのブルゴーニュに相当する世界と言うのはイタリアにおいてはピエモンテ以外にありえず、ワインの持ちえる霊感と申しましょうか、なにやら神秘的なんですが、それが極々素朴な農夫たちの営みによって生まれているというところも我々の好奇心と申しましょうか、ロマンを刺激して止まない部分ですよね。土着葡萄で、ピエモンテに於いて最もシンプルでデイリーなワインと言えば　　ドルチェット種でしょう。「イタリアワインがわかる」のマット・クレイマーも地ワインとして最も伝統のある葡萄はドルチェット以外ない、と断言しています。【送料無料】イタリアワインがわかる価格：3,360円（税込、送料別）と、いいますのも、ＤＯＣで認定されているドルチェットのワインの数の多さが、段違いに多いからです。ダルバ、ダスティ、オヴァーダ、ドリアーニ、ディアーノ・ダルバ、ランゲ・モンレガレージダックイ・・・生産量では、バルベーラ種でしょう。この品種は、生産性の圧倒的な高さで戦後イタリア中に広がった葡萄品種ですね。南部カンパーニア地方のタウラージＤＯＣＧにも少量ブレンド可能なのですから驚きです。サンジョヴェーゼに続いて、イタリアで二番目に耕作面積の広い葡萄品種でもあります。次は、やはり大御所のネッビオーロ種。ピエモンテという名前、そしてその中でもランゲというゾーンの名前、そしてそこにネッビオーロという名前が加わると、涎が垂れるか、半笑いになるか、鼻の穴が大きくなります（＾＾；）ようは、ワイン的な興奮、恍惚感に満たされることになります。ネッビオーロ種のワインからは、「王のワイン、ワインの王」たるバローロをご紹介します！イタリアワインでもっとも国際的なプレステージが高いワインであることは間違いないワインですから、この機会に是非お試しいただきたいです！！そして、このピエモンテ3大メジャー葡萄品種に加えて、マイナー品種の筆頭とも言える　　　グリニョリーノ種のワインも加えてお送りします。メジャーな葡萄、マイナーな葡萄・・・それぞれにはそれぞれの良さ、個性があってそれぞれにメジャー、マイナーであることの理由があると思います。そんな部分にも思いを巡らしながら、ピエモンテ人のピエモンテ人による、世界の人のためのワインを堪能したいですね！！　チルコロは来週水曜日です。お席には少し余裕があります。ご予約まだのお客様はお早めに（＾＾）ワインテイスティングあり、クイズ大会あり、ワインとじょうのやさんの創作料理のマリアージュを楽しんで参加者同士のおしゃべりも楽しんで、良い時間、過ごしましょう！！　　　3月9日（水）　19：30～21：30ごろ　　　場所：　じょうのや　北浜店　　　　　　　http://r.gnavi.co.jp/k559101/　　　参加費：　￥６０００（お食事、ワインすべて込）　　　お申込み：　ヴィーテ・イタリア高岡まで　　　　　　　　　viteitalia@maia.eonet.ne.jp 090-3973-6688是非気軽にいらしてください。お待ちしております（＾＾）

  2011/02/25

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  息子の少年野球　最後の地元練習試合

  もうすっかり熱も冷めている、いえ、冷めているというよりは「醒めている」状態になっている少年野球に対する思いです。１２月より、自分の息子の学年だけを見れば良い期間に突入して、月に８回以上、週末土日はほぼ必ず早朝から集合していたお勤めが、急に月に２回ぐらいしか行かなくても良くなって僕の中では我に返ったという思いが強いんです。子供たちももうすぐ卒業ですし、こうして息子たちのユニフォーム姿を見れるのももう少しだけ、ということもあって、胸が締め付けられるような思いで必要以上に出てくるお父さんもいます（＾＾；）また、「どうせやることないしなあ」と頭をカキカキちょっと照れくさそうに毎週顔を出しに来るお父さんもいたりして、皆、それぞれにこの野球チームに対する思い入れが強いことが分かります。それに比べて僕と言う人間は薄情者なんでしょうか。もう十分やわ、という気がして、清々した気分が強いのです（＾＾；）もちろん、練習や試合を当番で見に行けば行ったで楽しみますし、久しぶりに子供たちを見ると嬉しくなったりもしますが。この一年で、ある意味、この野球の取り組みで失った時間の膨大さは凄まじいものがあります。それで、今、あるいはこれからの週末、その時間が完ぺきに自分自身のものになるかと言えば、全くそういうことはなく、今度は小学一年生になる娘が控えている、というわけで、今も息子は野球、そして妻が仕事に行けば僕が一日娘を見なければいけなくなります。息子同様、それはそれで貴重でかけがえのない時間になりますから、今からワクワクする半面、やはり、自分の時間が持てきれないことに一抹の不安や焦燥を感じます。ただでも色んな取り組みにスローすぎるぐらいのペースで臨んでしまう自分であることは分かり切っているので。まあ、焦っても、ビビっても、どうにもならない部分というものがありますから、その結果が僕にとっての「マイペース」ということなんでしょうな（＾＾；）とにかく、今週末は土曜日が練習、日曜日が練習試合で、共に地元小学校での最後のイベントで、土曜日は当番で、日曜日は試合観戦のみで、行ってきました。小学四年から縁のある、湖北からのチームがその相手でした。昨年のビッグタイトルマッチがあった時期の過剰なプレッシャーの時期を乗り越えて、そしてその直後の異様なまでの弛緩した時期も乗り越えて、皆がそれぞれの良い緊張感でプレイしていたように見えました。現状では、９人の６年生のうち、２人がプライベートなクラブチームに入部することが決まっていますし、あとの７名も中学に行っても野球をすると言っている者、あいまいな者、あるいは、もうしない者などが数名ずついます。我が息子は、中学でも野球をやると言っていますが、それでも友達が「やっぱ止めるわ！」などと言いだそうものなら「じゃ、俺も・・・」と言い出しかねない部類です（＾＾；）良い意味で、僕はもう息子の野球のことからは気持ちが離れています。もちろん、見守っていくこと、応援していくことは行くでしょうが、それ以上のことは、もういいかなと思っています。かといって、今までそんなに色々と世話を焼いてきたのかと言えば、違うかもしれませんが（＾＾；）正直、色んな意味で、気持ち的にまだ疲れていることは否めませんが、同時に、大きな仕事をやり終えた、ある種の達成感もあることは確かです。その証拠に、来年度はまた子供会とか自治会とかで色々と重要な（ややこしい）役をもらう羽目になってしまったんですが夫婦口を揃えて、　「まあ少年野球のこの一年を思えば楽勝やで！」と、言っています（＾＾；）少年野球はあと、３月に最後の「お別れ大会」があってあとは月末の「卒団式」を控えるのみになっています。この寒い期間、容赦なく練習試合が入れられていた影響もあって、実は今故障者続出中なんです。その３月の大会にみんなで出られたら良いのですが・・・。ともあれ、僕は写真撮影担当をしていたこともあって、まだこれから卒団に向けて、仕込みをしないといけない仕事も残しています。ラストスパートと言いましょうか・・・とにかく文字通り「頑張って」、残りの力を振り絞って家族ともども、そしてチームメイト、その家族の皆さんともども、最後のゴールテープを一緒に切れればと思っています。

  2011/02/20

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  インテルのマテラッツィの出身地レッチェのワイン、ロッカ・デイ・モリのサリチェ・サレンティーノ

  ついに長友選手はインテルに移籍。トップチームでレギュラー張った日本人はいませんから頑張ってほしいですよね。それで、スターチームであるインテルですが、懐かしいというか、今でも現役のマテラッツィ選手がいるんですね。あの、ドイツワールドカップ決勝で、ジダンに頭突きされた刺青だらけの選手（＾＾；）この頭突き問題以外でも、ピッチの外で相手選手ともめたりやたらとトラブルメイカーになってるイメージを持ってしまいますが、チームメイトからそれ以外の選手に至るまで、とても信望が厚いのも事実。おそらくは、敵のほんの微細な弱点も味方の強みにさせようという、ある意味、イタリア的な姑息さと賢明さを併せ持つ男なんでしょうね（＾＾；）調べてみたら、中田選手がペルージャに入団した際、半年だけチームメイトだったんですね。それでも、2000-2001年シリーズからずっとインテルのＤＦとして活躍していますから、今は控え的なポジションに甘んじているかもしれませんが、チームのボス的な存在なんでしょう。You Tubeなんかでも、長友とじゃれ合ってる姿を目にしました。このマルコ・マテラッツィ。南イタリアの、長靴のかかとに当たるプーリア州レッチェ県の出身です。シチリアの南東部同様に、見事なバロック建築が世界遺産に指定されていますが、僕は、ワイン産地は訪れたことがあるんですけど、レッチェには行ってないんです。何たる不覚！！（＾＾；）この地方の代表的なブドウは何と言っても　　　ネグロアマーロ種です。直訳すれば「黒苦」。分かりやすいですねえ（＾＾；）ところが、葡萄の持ち味と言うのが、これがその粗野っぽい名前からのイメージとは裏腹に非常に洗練された味わいなんです。少なくとも一つ北の県であるターラント県やさらにその北のバーリ県での生産が有名な　　　プリミティーヴォ種よりは、綺麗なワインをつくる葡萄です。それはなぜか？つまりは、酸とタンニンがしっかりと出やすい葡萄なんですね。プリミティーヴォはアルコールの力が優れています。なので、ワインの洗練というのは、基本的に酸とタンニンから生まれるものですから、必然的にネグロ・アマーロの葡萄からの方が、そういうタイプのワインが生まれやすい。それでも、この葡萄から良いワインが単独で生まれることは珍しく、もう一つの、あるいはもう二つのマイナー葡萄とのブレンドによって、レッチェのワインとしての品格が現れてきます。そのブドウは　　　マルヴァジア・ネーラ・ディ・レッチェ　　　マルヴァジア・ネーラ・ディ・ブリンディジの黒いマルヴァジア系の葡萄ということになります。マルヴァジアは、中部では白葡萄として力を発揮していますし北東部は白、北西部は黒という具合に色々な亜種に変異しながら、イタリア中で耕作されている葡萄です。何が重宝されているかと言うと、その芳香性ですね。甘くてフルーティーな、マスカット系の香りを持っている葡萄なので、ブレンドすることによって、イタリア系品種のワインにありがちな「尖り」をマスキングしてくれるんですね。このレッチェ県におけるネグロアマーロ種も尖りやすい葡萄ですから、マルヴァジアの力を貰ったんだと思われます。それで、できるＤＯＣの代表格が　　　サリチェ・サレンティーノＤＯＣそして、その他では　　　アレツィオ　ＤＯＣ　　　マティーノ　ＤＯＣ　　　ナルド　ＤＯＣ　　　レヴェラーノ　ＤＯＣ　　　スクインツァーノ　ＤＯＣその北のブリンディジ県では　　　　　ブリンディジ　ＤＯＣなどが存在していますが、同じような品種配合ですから、どれだけその個性の差異があるかは知りません。ロッカ・ディ・モリ　サリチェ・サレンティーノ・ロッソ [2006]750ml価格：1,837円（税込、送料別）アルコール感がしっかりした香りです。凝縮感はそれほどなく、果実の香りも赤い果実、つまりはベリー系の香りがあります。ほどほどの凝縮感の割には、甘い香りもしっかりとしていて熟成香であるバニラの香りも出ています。ネグロアマーロらしく酸味が綺麗なのがとても良いのですが逆に南イタリアらしい骨太のパワフルさとはちょっと違ったエレガントさを持っています。このワインも、少しだけ大きなグラスで、空気に触れさせて酸とタンニンがこなれて、全体像がまとまっていくのを楽しみたいワインです。料理は、羊とかヤギ、あるいはジビエ的な肉料理を香草などでてシンプルにローストしたもので頂きたいですね！！やや癖のある脂身に酸とタンニンが良い具合に合うと思います！！価格的にも非常に適正だと思います。長友の試合を見ながら、できればマテラッツィにも出場してもらってこのワインを飲みたいものです（＾＾；）因みにこのサリチェ・サレンティーノを国際的なマーケットにデビューさせた立役者にして、この地域のリーダー的なワイナリーのワインはこれです！【6本～送料無料】サリチェ　サレンティーノ　ロッソ　リゼルヴァ2006タウリーノ価格：2,446円（税込、送料別）是非、お試しあれ！！

  2011/02/18

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  美味しさ、好感度よりもインパクトと個性を！プーリア州ロッカ・デイ・モーリ社のサレント・ビアンコＩＧＴイエレナ

  一度飲んだら忘れられない濃厚白♪【6本～送料無料】サレント　ビアンコ　イエレーナ2009ロッカ...価格：1,711円（税込、送料別）インポーターさんの資料にこうあります。「10人中9人が嫌いでも、ワイン好きではなくても覚えて　もらえるようなワインを造りたかった」という思いから　生まれた個性あふれる白。確か村上春樹も自分自身の小説に対して、10人中１人でも好きになってくれたら良い、というようなことを言っていて逆に村上龍は、１０人中１０人が好きになってくれなきゃ嫌だ、というようなことを言っていたと思います（＾＾；）好き嫌いは別にして、インパクトのある、記憶に残るワインを造りたい、という思いは良く分かります。実際にこのワインは、そういう力に満ち満ちている、とまでは言えないまでも、人を十分に納得させることのできる果実味がありますし、個性もあると思います。ワイン業界の人なら、まずこのワインのセパージュに驚くに違いありません。まずシチリアの土着ブドウと考えられるグリッロ。これは近年単一種としてもボトリングされますが、長年マルサーラを造る上での最良の葡萄と考えられていました。そのワイナリー「アポッローニオ」社によると、グリッロは元々はプーリアの葡萄だと言う事。土着ブドウの本にもそう載っておりました。【送料無料】土着品種で知るイタリアワイン改訂価格：2,730円（税込、送料別）因みにインポーターさんの資料では「ロッカ・デイ・モーリ」社とありますが、生産者のホームページを見ると、アポッローニオ社という会社があって、ロッカ・デイ・モーリというラインが存在しているようです。あまり、大きな差はないかもしれませんが（＾＾；）そしてガルガーネガ。どうしてソアヴェがここに？という感じですよね。最後にシャルドネ。今やプーリアでは珍しくとも何ともない葡萄ですし、このワイナリーの存在する、長靴のヒールにあたるサレント半島のレッチェ県は、サリチェ・サレンティーノをはじめとしてシャルドネを認可しているＤＯＣが多いです。味わいは、確かに個性的な部分もあります。香りが、非常にモダンなニューワールド系の感じがあります。というのも、キャンディや蜂蜜のような濃厚でいて、誰にでもわかる美味しい甘さがあります。パイナップルやあんずの香り。意外にも酸がこなれていなくて、ツンと尖った印象があります。香りでは綺麗に落ち着いた、甘いフルーツの香りがあるのに味わいでは酸が尖ってる。この居心地の悪い感じが個性と言えば個性でしょうか。エレガントなブランドもののシャツを着ているのに、ズボンはユニクロのジーンズをはいているようなセンスでしょうか（＾＾；）でも、ワインとは果実のお酒なのですから、辛口系の味わいをしながらも香りでこれだけフルーティーな香りを放っていればワインとしては、素晴らしいのではないかと思います。それに酸の尖りは、何としても、料理との相性では威力を発揮しますよ。このタイプのワインなら、青魚とトマトのソースとか、単純に柑橘系のソースをあしらった、あるいは良質のオリーブオイルだけで仕上げた甲殻類のカルパッチョとかね。プーリア州は、シチリア同様に大量生産州でありながらも、シチリアともお隣のバジリカータ州とも違って、ＤＯＣの数がとても多いですし、ある意味、グローバリズム化を受け入れて、展開するメンタリティーも存在していると思います。やはり、大ギリシャ時代から中世にいたるまでのオリエントとイタリア、ヨーロッパの交易の出入り口だったからでしょうか？プーリアが世に問う近年のワイン、結構面白いものが多いように思いますね。葡萄品種しかり、醸造法しかり。注目しましょう（＾＾）

  2011/02/17

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  第22回チルコロ「イタリアワインの旅」その３

  シチリアからイタリア半島に戻って来て、初めに味わった赤ワインはこれでした。トスカーナとはひと味違う果実味たっぷり濃厚サンジョヴェーゼ【6本～送料無料】アウレンテ ロ...価格：1,806円（税込、送料別）ロマーニャ地方のサンジョヴェーゼですね。このワインのユニークなところは、その生産者の存在感にあると思います。サン・パトリニャーノ・・・イタリアではすでに知る人ぞ知る存在でしょうが、実は薬物依存症の人のための更生施設なんです。そして、これもまたイタリアらしい話ではあるんですが、その施設のワインづくりを、イタリアでも一級中の一級である　　リッカルド・コタレッラがコンサルタントをしているんですね。それで一口飲むと、「あっぱれ、コタレッラ！！」という気にさせるワインなんですね。ミスター・メルローなどとかつては言われた人だけあってサンジョヴェーゼの「尖り」を上手く削ぎ落して、それでもって、素晴らしい香りを抽出しています。酸、タンニンの存在もしっかりと感じられて、確かに大らかなストラクチャーはありませんが、その香りのかぐわしさ、その味わいのバランスは秀逸です。さすがにコタレッラ＆サン・パトリニャーノのコラボ！コストパフォーマンスも素晴らしいものがあります。参加者の方からも賛辞が上がっていました。このワインとともに比較テイスティングしたワインがコレです！バロンチーニ・ヴィーノ・ノヴィレ・ディ・モンテプルチアーノイル・ファッジェート・デル・デ...価格：2,709円（税込、送料別）これは、トスカーナを代表す長期熟成型ワインである　　ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノＤＯＣＧですね。こちらも前日のトスカーナワイン同様にトスカーナ南部のワインではありますが、海側ではなく、内陸の、伝統産地のワインです。これは、アメリカのワイン誌「ワイン・スペクテイター」でも非常に高く評価されたワインだそうですが、感じていただきたいのは、先に飲んだロマーニャ地方のアウレンテとの味わいの違いですね。圧倒的な違いは、視覚でも嗅覚でもなく、口の中の味覚に現れます。ある種のスタンダードワインとある種のプレステージワインの差が出ます。酸のポテンシャル。酸の伸び。酸と他の香りやタンニンなどとの一体感・・・こういうことを念頭に味覚の脳波を駆使すると、分かりますよ。タンニンの質。その強さ、その木目細やかさ！滑らかさ！アウレンテは、視覚、そして嗅覚までなら非常にエレガントで艶めかしいまでの輝きを垣間見させますが、やはり味覚に至って、こういうワインと比べると、断然差が分かります。また、このワインのスタイルも素晴らしいと思います。つまり近代醸造を用いた作りではありますが、媚がなく、それでいてしっかりとした果実の凝縮も感じられることです。さすがにヴィーノ・ノービレ＝高貴なワイン、です（＾＾）じょうのやさんの料理は、非常にイタリアン的にまとめて頂きました。牛肉のタリアータです（＾＾）かなりレアに近い感じで焼きあげられていましたね。比較的脂身の少ない肉質でしたので、僕としてはアウレンテが合うと思いました。もっとギトギトしたようなステーキならヴィーノ・ノービレのタンニンが断然その威力を発揮したと思いますが。カテゴリー的な違い、コスト的な違いもあるでしょうが、トスカーナのサンジョヴェーゼとロマーニャのサンジョヴェーゼの興味深い比較テイスティングでおぼろげながら見えてくるのはそのストラクチャーの違いですね。ワインをボディに喩えるなら、「まず骨ありき」という味わいがトスカーナ。チルコロでは、イタリア大好き！ワイン大好き！な人たちが集まって、同じテーブルで、おしゃべりをしながら、時々僕のワインの話などに耳を傾けていただきながら、料理とワインの時間を楽しんで頂いています。あなたのご参加をお待ちしております（＾＾）2011年、イタリアワインファンクラブ=チルコロ、次回は３月９日（水）！！

  2011/02/11

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  第22回チルコロ「イタリアワインの旅」その２

  昨日からの続きです。次なるワインの旅先は、トスカーナ洲です（＾＾）トスカーナ地方と言えば、やはり赤ワインが有名な土地柄ですけど、白ワインにも優れたものが沢山存在しています。ヴェルメンティーノ・マレンマ・トスカーナ[2008]モリスファームズ（白ワイン）価格：2,247円（税込、送料別）これは、近年脚光を浴びている地中海のティレニア海側のワインです。トスカーナ州とその南のラツィオ州（州都ローマ）の州境に位置しています。そこは、マレンマと呼ばれる湿地帯で、トスカーナ側を　　マレンマ・トスカーナラツィオ側を　　マレンマ・ラツィアーレと呼びます。このワインの主要葡萄はヴェルメンティーノ種です。イタリアでは、トスカーナの海岸部のほかにサルデーニャ島とジェノヴァのあるリグーリア州、イタリア半島とサルデーニャ島で囲まれたティレニア海の北部を網羅するように分布する葡萄品種ですね。サルデーニャ側のヴェルメンティーノはＤＯＣＧにも昇格していますし、この葡萄のポテンシャルはイタリアでも随一です。色合いは濃い麦藁色から黄金色。香りは、洋ナシや黄桃、そしてパイナップルのようなトロピカルフルーツも感じて良い感じです（＾＾）このワインが凡庸なワインに終わっていないのは、確かなミネラルが感じられるからでしょう。味わいのメリハリもきっちりしてて、飲み心地が爽快です。もちろんヴェルメンティーノですから、酸の力強さも保証付きです。ヴィオニエが１０％加えられていましたが、僕はその個性を感じることはできませんでした。しいて言えば、全体的なボディーの強さでしょうか。比べ飲みしたもう一つのワインはコレ。トスカーナからず～っと南下します（＾＾）ザブ　インツォリア[2008]750ml（シチリア・赤ワイン）価格：1,354円（税込、送料別）シチリア島の土着ブドウを使った　　　インツォーリアです。新進のワイナリーの作品ですが、シチリアらしい中身の詰まったフルーツの厚みを感じさせるインツォーリアです。柑橘系のフルーツの香りが感じられるのがシチリアらしいですね。「豚足のコロッケ」との相性も楽しかったですよ！コロッケの味わいそのものについてですが、贅沢を言えば、豚足をもっと入れてくれれば、その「クセ」が際立って、僕好みの味わいになっていたと思います（＾＾；）ジャガイモの中に、わずかに入っていたので、非常に洗練されたと申しましょうか、綺麗なコロッケに仕上がっていたのですが、逆にワイルドな味わいをもっと出すとワインともっと楽しめたように思います。相性の勝負で言えば、僕的にはインツォーリアに軍配を上げます。ジャガイモのフレーヴァーと豚足のフレーヴァ、そして全体的な味わいのヴォリュームとプロポーションが上手く重なっていたように思います。何らかのソースがかけられる、あるいは前述の通り、豚足がもっと入っていればマレンマ・トスカーナの方がバランスが良かったのかも。豚足そのもので合わせるのなら、赤の方がしっくり来ていました。その赤ワインについてはまた明日（＾＾）

  2011/02/10

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  第22回チルコロ「北から南、また北へ」イタリアワインの旅

  イタリアワインの大きな楽しみの一つは、そのヴァリエーションの豊かさですよね。ならば、色んな場所のワインを旅するように味わうのが面白いと思います。だから、大雑把にでもイタリアの地理が頭に入っていると、断然その楽しみの深さも違ってきます。だから今回のチルコロ＝イタリアワインファンクラブは　　北部イタリアのヴェネト州　　　　　　　↓　　　　中北部のマルケ州　　　　　　　↓　　　中部のトスカーナ州　　　　　　　↓　　南部イタリアのシチリア州　　　　　　　↓　　　中部のトスカーナ州　　　　　　　↓　北部のエミリア・ロマーニャ州を巡りながら、ワインを堪能しました！イタリアワインに限らず、ワインの味わいをしっかりと感じつつ、その個性を理解するのに、比較テイスティングも欠かせませんから、３つのペアのワインを飲み比べしながら、進んでいきます。最初は、やはりスパークリングワインでしょ！と言う感じで、イタリアが誇るカジュアルスパークリングの代表格である　　コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ　　エクストラ・ドライからテイスティング！プロセッコ・コネリャーノ・ヴァルドッビアデーネ・エクストラ・ドライ X価格：2,100円（税込、送料別）色はほとんどありませんな（＾＾；）こういうの、「真珠のような輝きのある・・・」と形容すれば良いのでしょうね（＾＾）泡が細かく、しっかりと出ていますから、液体そのものが輝きを放っているように見えます。香りも綺麗な果実香で、典型的な洋ナシの香り。でも、エクストラ・ドライで、甘みが比較的強いタイプですからシロップ漬けしたようなイメージの甘さがあります。それでいて味わいは辛口なので、ホッとします。でも辛口といってもやはりエクストラ・ドライですから、比較的甘みも感じられて、いわゆる「フルーティー」さがよく出ていて、飲みやすいワインです。このプロセッコと比較するなら、やはり製法的にも対象的といえる、シャンパン方式（瓶内二次発酵）のイタリアスパークリングワインを持ってくるのが妥当でしょう？ならばトレントＤＯＣ，あるいはフランチャコルタＤＯＣＧ、はたまたオルトレポ・パヴェーゼＤＯＣなどをイメージするわけですが、今回は中北部イタリアの「突然変異」ともいえる良質のスパークリングワインを並べてみました。マルケ州のヴェレノージ社のヴェレノージ・ブリュットです。【新入荷おすすめ！】ヴェレノージ・ブリュット・メトド・クラシコ（発泡白ワイン）価格：2,971円（税込、送料別）これは、シャルドネ、ピノ・ノワールの本格派です。二年の瓶内熟成も経ていますので、シャンパーニュらしい風格が備わって来ます。色は、コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネとは雲泥の差というか月とスッポンというか、前者が無色透明なら、後者は薄い緑色をたたえた黄金色！全然違います。葡萄品種、製法でこれだけの差が出るか！と驚くほどです。シャンパーニュなら、ここに「艶めかしい」ともいえるミネラルの香り、あるいは酵母的な香りが絢爛と出てくるわけですが、そこはやはり「地中海に張り出したイタリア」のさらに「ポー川以南のイタリア」のワインですから、もっともっとフルーティーさが全面に出てきます。そしてミネラルも酵母臭も感じられますが、フルーツの香りの狭間で見え隠れする程度ですので、いわば少々「くせのある」瓶内二次発酵のワインに慣れていない人でも、「一目惚れ」できる味わいになってるんです。また、この種の、格のあるスパークリングワインには欠かす事のできない酸の強さ、美しさも合わせ持っていますのでこの価格としては驚くほどに「鑑賞のし甲斐」があるワインだと思います。ぜひ一度試してほしい！！それで料理との相性なんですが、今回の「じょうのや」さんの前菜料理は、　　牡蠣のパテでした。深緑色したパテで、欲を言えば、もう少し量を多くして、クロスティーニというかブルスケッタの部分をもう少し少なめにした方が良かったと思いますが牡蠣と言うのは相当に個性的な香味を放つ食べ物ですから相性を楽しむのには十分すぎるほどでした。正直、コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネＤＯＣＧとは合いにくい、いえ、合いにくいと言うよりも、牡蠣の香味が強すぎて、ワインのほのかな果実香が消されてしまう、つまり、香りの強さのバランスが悪いと思いました。ワインの味わいのほのかな甘みは、魚介系のシンプルな味わいには強烈すぎますし、全体のバランスとしてちぐはぐしています。逆に、シャンパーニュ系のヴェレノージ・ブリュットはバッチリです。この香りの相性は素晴らしかったです。凝縮した磯の香りとミネラルたっぷりの苦み。これとワインのミネラル感と果実香が混じり合うと、えもいえぬ深みが出ます。味わいも綺麗なワインの酸味が牡蠣の旨味を押し出して果実香とともにまろやかなフレーヴァーを口の中いっぱいに広げていきます。同じスパークリングワインでも、それぞれの持ち味によって相性の形が随分と変わっていくんですよね。面白い比較テイスティングでした。次に登場したのが、「創作にぎり寿司3種」でした。最初に出されたときに「醤油は？」と思ったんですが、太田シェフの意向に沿って、何もつけずに頂くことにしました（＾＾）相性はさておき、素晴らしい寿司たちでした。バジルと鯛、そしてプチトマトをあしらった寿司、スモークサーモンとサラダ菜（？）の寿司、そしてチーズと生ハムの寿司。それも、新しい味わいに満ちていて新鮮でした。特にバジルと鯛の寿司と生ハムとチーズの寿司は素晴らしかった。イタリアン好きの我儘を言えば、敢えて、上質のオリーブオイルを一かけできたら、どれほど幸せだったろうと思いますね（＾＾）この相性も、勝負はヴェレノージの勝ち！理屈は最初と同じですね。魚介系はあまり甘みがない、同時にシャープな酸を持ったワインの方が、その旨味が活きますね。ワインの甘みは確かにシャリと重なり合いますが、合わせる本質はやはりネタにあるわけですからね。もちろん、これは好き好きの世界ですよ。コネリアーノＤＯＣＧで合わせても、赤ワインのように著しく寿司の香味を奪ってしまう事がないのですから、ワインの好き好きで選ぶのがベストかと思いますね。チルコロ参加の皆さんの中にもヴェレノージよりもコネリアーノの方が好き！とおっしゃる人もいましたし、それは非常に当然だと思います。大切なのは、客観的な視点からまず評価してみること、そして好き！と思えて、心が躍ることですね（＾＾）続きは明日また（＾＾）※次回のチルコロは3月9日（水）　19：30ですよ！！

  2011/02/09

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  塩野七生「ローマ人の物語」とイタリアワインの邂逅その8「ローマの街道」ヴィア・サラーリア（塩の道）2

  ローマの北からアドリア海に向けて伸びる　　ヴィア・サラーリア（塩の道）の周辺に広がるワイン産地について、見ています。昨日の続きです。それにしても、ローマを州都とするラツィオ州ですが印象としてはイタリア半島の西岸、つまりはティレニア海側の州と思ってしまうわけですけど、このヴィア・サラーリアの経路をたどっていくと、ラツィオ州のリエーティ県がほとんどアドリア海に達するかと言うくらいに伸びている事に気づくのです。リエーティ市を越えてさらにアドリア海に近づくとラツィオ州最北東にあたる、マルケ州とアブルッツォ州との州境の町アマトリーチェに辿り着きます。アマトリーチェといえば　　bucantini all'amatriciana　　ブカティーニ・アッラマトリチャーナで有名な、トマトとグアンチャーレ、またはパンチェッタを使ったパスタ生誕の地になります。厳密に言えば、トマトを使ったパスタは　　　　alla matriciana　アッラ・マトリチャーナトマトを使わないパスタが　all'amatriciana なんですけど。ともあれ、このアマトリーチェで標高がほとんど１０００ｍですから、葡萄なんて耕作できません。南に２０ｋｍほど行けば、グラン・サッソですよ。ほとんど３０００ｍ、アペニン山脈最高峰です（＾＾；）そこを越えれば、モンテプルチャーノ・ダブルッツォの中でも最も優れたワインができるというテーラモ県のゾーンです。モンテプルチャーノ・ダブルッツォ　コッリーネ・テラマーネＤＯＣＧのゾーンですわ。【6本～送料無料】オピ モンテプルチアーノ ダブルッツォリゼルヴァ2006ファルネーゼ価格：3,244円（税込、送料別）ま、でも、ちょっとヴィア・サラーリアからは遠ざかりましたな（＾＾；）サラリア街道に戻って、北上しましょう。アマトリーチェを越えれば、もうそこはマルケ州です。マルケ州のアスコリ・ピチェーノ県。白ならば、内陸のファレリオＤＯＣ。アドリア海側になるとかの有名なロッソ・ピチェーノＤＯＣゾーンになります！ロッソ・ピチェーノ・スーペリオーレロッジョ・デル・フィラーレ［2005］ヴェレノージ・エルコ...価格：3,759円（税込、送料別）詳しくは、2011，1，29で触れましたが、粘性のしっかりした複雑さと深みが味わえるロッソ・ピチェーノですね。新しいＤＯＣとして2001年から　　オッフィーダ　ＤＯＣが認定されています。比較的新しい銘柄は、品質とその土地の土着性に非常に自覚的ですから、オッフィーダの白はパッセリーナやペコリーノといったアドリア海側の近年注目の葡萄品種が使われ、赤の方は、モンテプルチャーノと、なぜかカベルネ・ソーヴィニョンという組み合わせです（＾＾；）結構輸入されていました。びっくりしました。イタリア（赤）ワイン"ヴェレノージ　ルディ・オッフィーダ・ロッソ（赤）【中重口】2005価格：5,565円（税込、送料別）そのアスコリ・ピチェーノですが、確か、ユリウス・カエサルのガリア遠征における右腕的な軍人で、ルビコン川を越える際に共和体制側に戻ってカエサルと敵対することになるラビエヌスは、このアスコリ・ピチェーノの出身（現マチェラータ県チンゴリ）です。現代でも国道4号線として使われているヴィア・サラーリア。まさに紀元前4世紀、共和制ローマの領土が拡張していく中で様々な役割を演じて行くことになるでしょう。

  2011/02/08

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  塩野七生「ローマ人の物語」とイタリアワインの邂逅その7「ローマの街道」ヴィア・サラーリア（塩の道）1

  　道路が国土の「動脈」であることは、今日なら誰もが　知っている。だが二千三百年の昔、それを分かって　いたのはローマ人だけであった。建国当初からあった街道としては、塩の道という名のヴィア・サラーリア。そしてローマ人の祖先の地であるラティーナに続く道としてヴィア・ラティーナが存在していました。紀元前312年を境にこの二本しかなかったローマ街道が一気に増えて行くことになるのですが、今日はこの「塩の道」ヴィア・サラーリア沿いのワインについて触れてみましょう！この街道は、建国当初というよりは、建国前からローマ人の手で造られたのではなく、内陸の民だったサビーニ族がテヴェレ川の河口付近から塩を運ぶためにできた道で元々ローマの建国もこの塩の交易が原点だったとする歴史家もいるくらいに重要な道だったと言えます。そのサラリア街道はアドリア海にむけて延長されていくことになるわけですが、ローマから順順にその経路のワインを辿ってみましょう！上の地図の灰色の、ローマからアドリア海にほぼまっすぐ抜けているのがサラリア街道＝ヴィア・サラリアです。まずローマを抜けてすぐ北にあるＤＯＣが　　　ビアンコ・カペーナＤＯＣです。カペーナ村周辺の丘陵地でできるマルヴァジアを主体にトレッビアーノなどがブレンドされる白ワインの産地です。さらに北上するとヴィア・サラリアは、リエーティ市の街中を通るわけですが、その西に広がるＤＯＣが　　　　コッリ・デッラ・サビーナＤＯＣです。これもビアンコで、ビアンコ・カペーナと違うのはマルヴァジアの種類が、マルヴァジア・デル・ラツィオで指定してあることですね。実は、このＤＯＣの資料を良く見てみると、まだ実効されていないＤＯＣですね。官報で正式に発効されていません。できたてのホヤホヤのＤＯＣですから、やはりマルヴァジアは「カンディアかプンティナータかデル・ラツィオのどれか」ではなく、「デル・ラツィオを５０％以上」なんです。つまり、ビアンコ・カペーナは70年代に認定されたＤＯＣですが、40年の年月を経て、マルヴァジアという葡萄はこのゾーンではデル・ラツィオが一番適しているということが分かってきたのではないかと思います。それで、楽天ショップを覗いてみるわけですが、双方のＤＯＣともに取り扱いがないですね。僕も輸入されていると言う情報、聞いたことないです（＾＾；）この地方の白ワインなら、フラスカーティがありますしそれ以外でもローマの北部ではなく、南東部のカステッリ・ロマーニ地方のＤＯＣの方が、はるかにメジャーですから。しかもセパージュ的にもほとんど違いがありませんから（＾＾；）でも、ローマに住んでいた僕としては、この辺りの実に平凡なワインが今飲みたくて仕方ないです。たいして美味しくないんだろうと思うんですけど、地元のこれまた洗練されない料理と合わせると抜群に合うワイン（＾＾；）あ、でもオリーブオイルだと結構優秀なものも出来ているようです。サビーナ産EXヴァージン・オリーブオイルD.O.P.（大）500ml価格：3,444円（税込、送料別）オリーブオイルならＤＯＰ認定の立派なオイルがある！さすがです。ワインならあまり好んで買おうと思わない人にもオリーブオイルならお勧めできます（＾＾；）！サビーナ・・・・つまり、冒頭に書いた「サビーニ族」の里がサビーナなわけで、王政のローマ人が最初に領土拡張と「嫁探し」を兼ねてサビーナの娘たちを集団略奪したサビーナ戦争が有名です。また、今のイタリア人の名前でもポピュラーな、男ならクラウディオ、女ならクラウディアという名前も元はこのサビーナの貴族クラウディウス家で、ローマ帝政期初期の皇帝を輩出しています。このヴィア・サラリアが育んだ歴史の一端と、ワイン（輸入されていないのが残念！）、そしてオリーブオイルの現在の共存は、素晴らしいですね。

  2011/02/07

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  初めてのフルマラソン！紀州口熊野マラソン大会

  左ひざはやはり、元通り、と言うわけには行きませんでしたが、とりあえず、変に力を加えない限りは、「痛み」まで感じることはないレベルまで落ち着いていましたので、レース途中でまた痛んで来ることは容易に想像できました。もう開き直るしか道はありませんでした。「痛みちゃん」とともに走る、そんな気持ちで臨みました（＾＾；）レース前の大渋滞を予想できずに、受付時間ギリギリに到着して、ちょっと冷や汗ものでしたが、家族とはそこで別れて、妻と子供たちは地元の自然観光に行ってもらいました。この「紀州口熊野マラソン大会」は今年で１６回を数える大会で、自然風景豊かな山道と川沿いの道が主なコースになります。フルマラソンの他に、ハーフマラソンや２キロ、３キロ５キロ、そしてウォーキングなどもあり、参加者は約５０００人に登りました。僕の目標は、もちろん「完走」でしかないわけですが、それにちょっと付け加えて「最後まで元気に腕を振って」でした。フルマラソンは、全部で１５００人強が参加していました。目標タイム順にスタート地点から並びますから、最後尾の僕は、スタートゲートから２００ｍほど後ろでした。それで初めて気付いたのですが、スタート時に合図のピストル音が全然届いていないんですね（＾＾；）それで皆が　「なんや、もう出発してるで～」みたいに、歩き始めるんです！走るんじゃなくて。そのままスタートゲートまでゆっくり歩いて、そこから一斉に走り出すんですね。これがまず面白かった。考えてみればそうですよね。皆が皆一斉に走り出したら大事故になりかねませんわね。その辺り、ごく自然にそういう流れがあったのは、皆さんが慣れたランナーだったということもあるでしょうけど、とても洗練されているように思いました（＾＾）逆にいえば、非常に弛緩した空気があったんですけど（＾＾；）ともあれ、最初の２０分ぐらいでしょうか、ほぼ最後尾からの出発ですから、１５００人の大軍団のマラソンの行軍風景は圧巻でした。思わず、古代ローマの軍隊の行軍を想像していました。彼らの一日の行軍速度は通常２５ｋｍほどだったそうですから「奴らより長いぜ」と思うわけですが、彼らは甲冑から食料まで携行していたわけで、それを思うと、ある意味、凄まじい行軍だったことを想像するのは容易で、「やっぱ、奴らにはかなわんわな・・・」などと無駄なことを考える時間は嫌と言うほどあるのでした（＾＾；）ともするうちに、膝の違和感がじわじわと増してくるのを感じます。「痛みちゃん、もうちょっと我慢しててね」「痛みちゃん、もう出てくるの？もちっと引っこんでてよ！」など思いながら、軽いジョグ速度で走ります。１０ｋｍほどまでは、無難に走り通せました。１０～２０ｋｍになると、さすがに数キロおきに立ち止まって膝の屈伸をしないと持たなくなります。２０ｋｍに近づいたころからでしょうか、数キロおきに給水所が並び、水、ポカリ、パン、バナナなどが提供されます。そのたびに給水したり、しなかったり、屈伸したりしなかったりしていましたが、さすがに２０ｋｍを越えると、膝とともに筋肉の硬直が始まって、下半身の辛さがどんどん増していきました。３０ｋｍを越える頃になると、「もう棄権はないな、よっしゃ！完走できるぞ！！」という自信と、あと１２ｋｍもこの痛みと疲労感とともに走らなければならない嫌悪感とも怒りともつかない感情にとらわれます。１２ｋｍといえば、僕の自宅から近江八幡の通称「八幡山」を大きく一周する距離とほぼ等しいのです。それでも、ゴールを確かに感じることが出来て、喜びもあったことは確かでした。おそらく、１ｋｍ～２ｋｍおきに屈伸をしていたんじゃないかと思います。給水所にはエアサロンパスなるものが用意されているわけですが、レース中、それをかけまくるランナー達の匂いでコースがサロンパス臭に支配される瞬間が何度もあって僕はそのたびにとても不愉快になっていましたので、自分でかけようとは全く思いませんでした（＾＾；）レースが終盤に近付くにつれ、街頭で応援してくださる人たちのテンションも上がっていて、立ち話をしながら手をたたく人もいる中、　　「あと、もうちょっと！がんばれ！！」と本当に、走っている僕よりも必死に応援してくださる人もいて、感激しました（＾＾）レーサーの中にとても面白い女性がいました。僕と同じぐらいの年齢でしょうか、道端で応援してくださる人って、９０％以上の人が　　　「がんばれ！」って、応援してくださるでしょ？そう、「がんばれ！」としか言いようがないじゃないですか。なのにその女性ランナーはそういう応援にいちいち　　「いえ、がんばりません！」　　「私、このペースでゆっくり走りますから」　　「だから、がんばりませんって！」と、反応して、大げさに右手を振って、「がんばれ！」を否定しているのです。面白い人もいるもんだな・・・と半ばあきれながらも、楽しく走らせてもらいました。最後の５，６ｋｍは少しびっこを引いて、走ってるか歩いてるか分からんぐらいの速度だったかと思いますが、何とかゴール、しかも、最後まで元気に腕を振ってゴールすることができました。　記録は、５時間４２分２９秒　総合順位は、　１２８８人中　　１２２５位　種目別（４２歳~５９歳の部）では　　　　　　　　４５７人中　　４４１位とにかく、完走しました。しかし、レース中、走る喜びを感じながらも、「俺、何でここで走ってんの？」という感情に何度も捕らわれたことも白状しなければなりません（＾＾；）それなりの努力、それなりの色んな犠牲を払いながら出場したある意味、満を持した戦いだったと思うのですが・・・。なんらかの答えはある時突然現れるのかもしれませんが、とにかく、マイペースで、今回のように怪我をしないようにこれからも少しずつ走りたいと思います。目標は、やはりフルマラソンで、今回の成績を少しでも上回ることです（＾＾）

  2011/02/06

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  いざ、フルマラソンへ！前日は家族とポルト・ヨーロッパへ

  8月末から、フルマラソンに備えて準備をして来ました。息子との朝のランニングをきっかけにすっかり走ることが好きになった僕なのですが、逆に息子は、少年野球の大きな大会へ向けての緊張感から解放されて、今はのんびりと野球を楽しんでいる状況。中学でも野球をやるつもりで、それに向けた体力づくりは週三日の平日練習で、また試合感覚の維持は週末の練習試合で、といった感じで、地道に続けています。ランニングに関しては、あるきっかけがあったんです。一年前は、父とでなければ走りに出なかった息子が昨年秋に　　「お父さんと別々で走りたい」と言いだしたんです。「お父さんとは走りたくない」ではなく「お父さんと別々に走りたい」というのがミソですね（＾＾；）それで、別々に走り出して間もなく、冬の到来と共に彼は布団から出られなくなって、早朝に走ることを止めてしまいました。ありゃりゃ・・・ですけど、これだけは強制的にやらせるわけにも行きませんから。それで、「お父さんと別で走りたい」というのは、やはり大人になりかけている証明だろう、と思いました。ある種の刺激は常に与えて行こうと思いますが、とりあえず放っておこう・・・と。だから僕は自分だけのために走ることに決めました。それでたまたま読んでいた村上春樹のエッセイの影響や色々な思いがあって、長距離走に挑戦しようとしたというわけです。【送料無料】走ることについて語る...価格：1,500円（税込、送料別）まあ「膝の痛みとの闘い」といえば大げさかもしれませんが元々長距離を走るとすぐに膝を痛めてしまうクセがついていたもので、痛みが出れば無理せず休み、痛みが引けば走り出し、また痛めては、また休む・・・。そんな繰り返しをしながら、徐々に走る距離を延ばしてきて2月に入る頃にようやく２０ｋｍをそれほど苦を感じずに走れるようになって、そこで調子に乗ってしまったのが行けなかった（＾＾；）調子ノリがいつも僕の人生を狂わせます（＾＾；）レース一週間前までに３０～３５ｋｍを2回走って、止めておけば良いものを「もう一回！」と踏ん張ってしまったらまた膝を痛めてしまいました（＾＾；）それがレース直前の木曜日、三日前のことです。それで前日のこの日は、本来なら世界遺産の熊野古道を家族とウォーキングして、明日のレースに備える予定だったんですが、坂道を上り下りする膝の余裕がなかったもので急遽、予定を代えて、ポルト・ヨーロッパに行きました（＾＾；）子供たちにも喜ばれるだろうと・・・。膝の方は、それまでの経験で3，4日以上休めば、痛みが引くことは分かっていたので、中2日という微妙な時間、やはりウォーキングとはいえ無理できなかった。まあ、それで久しぶりの遊園地を家族と過ごしました。ポルト・ヨーロッパは、ディズニーランドのように妥協を知らないエンターテイメントが隅々行き渡ったテーマパークでもなく、オランダ的世界を真摯に再現しようとしたハウス・テンボスでも、もちろんなく、「大人も子供も楽しめる」と謳いならも、ほとんど小さな子供が楽しめるアトラクションばかりの遊園地でしたが、半日を全く待ち時間なく、色んなアトラクションで遊ぶには、もってこいの環境でした。ジェットコースター系大の苦手の息子も「全然楽勝やわ」と楽しんでいましたし、娘も初めてのコースターに挑戦して味をしめておりました（＾＾；）宿泊先の白浜温泉は、娘が一才の夏に家族旅行でワールドサファリに行って以来の場所でしたが、車で通り過ぎた時、5年前のホテルを息子が覚えていたのはお驚きでした。地味な旅行でしたが、海水浴もできて楽しめたからでしょうね。夜は、白浜温泉で、ゆっくり浸かって、ストレッチや膝のアイシングなどをして、早めに就寝しました。

  2011/02/05

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  僕がフランスワインを云々するのも何ですが・・・（＾＾；）

  インポーターさんのワイン試飲会にお邪魔する時、もちろんイタリアワインのブースに直行します。半日、あるいは2時間前後をかけて、テイスティングできるワインはせいぜい30種類程度でしょうか。それ以上行くと、感覚が鈍って、集中力も切れがちになってしまいます・・・。集中力を切らさないコツは、むやみにパンや水を飲まないことですね。「口蓋を休ませるために良い」という人もいますが、僕は一気に行きたい方です。それでも、色んな知り合いに出会って、話したりしますのでインターヴァルというのは十分にあるんですが。さて、イタリアワインの試飲が完了すると、たいてい別の国のワインを飲みに行きます。できればフランスかドイツに行きます。イタリアより冷涼な地域のワインを飲みます。そうするとこの冷涼さがワインに及ぼす影響を、本当にカルチャーショックのように感じることが出来ます。長年ヨーロッパで暮らして日本に戻った時、街並みの汚さや部屋の天井の低くさに驚愕しますが、あれは「逆カルチャーショック」（＾＾；）ワインのカルチャーショックはとても心地よく、小気味の良いものです。特に僕は白ワインを飲みます。酸のレベル、酸のエレガントさがやはり違うんです。そして偉大なブルゴーニュの白ワインを必ず飲みます。赤なら、僕は十分にフランスの偉大なワインの域にあるイタリアワインを数えることが出来ますが、白ワインは数えることができません。異論ある人、ご意見よろしくお願いします！！さて、今回の試飲会で立ち寄ったフランスワインについてテイスティングコメントだけ、ちらっと書きます。バックボーンや薀蓄は「専門外」ということで逃げます（＾＾；）ルイィ・ブラン・ラ・レ[2008]（クロード・ラフォン）価格：2,310円（税込、送料別）ロワール地方の典型的なスタイル？香りは、のり、紙、ほのかなリンゴ、ミネラル感しっかり口の中での果実味が膨らむ、酸のエレガントさ！鼻で嗅いでいた香りが口の中に入って、ふわっと膨らみ豊かになるというのは、素敵です。ヴァンサン ピナール サンセール キュヴェ フロレス価格：3,024円（税込、送料別）同じロワールでもより典型的なサンセールのワイン。葡萄はもちろんソーヴィニョン・ブラン。香りはのり、紙、花、りんご、ミネラル酸のエレガントさよ！！別の液体を飲んでいる印象！！このクラスになると、グラスから漂う香りを鼻腔に残しながら一口すすると、もう瞳孔が開きます。なんなんでしょう。「別の液体」という表現しかこの時には浮かばなかったんですが、恍惚とした気持ちになりました。◆おすすめブルゴーニュワイン　ブルゴーニュ・ブラン・キュヴェ・サンヴァンサン・白　　ヴァ...価格：2,940円（税込、送料別）フレッシュなリンゴ、ミネラル、エレガントでストレート余韻のリンゴ香が綺麗！！ヴァンサン・ジラルダン　サン・トーバン・1er・レ・ミュルジュ・デ・ダン・ド・シアン [2008]7...価格：3,780円（税込、送料別）これは、プルミエ・クリュ・アン・ルミイのヴァージョン笑える香り、火打石、ライム、草、口の中でミネラル、火打石、りんご、洋ナシ、綺麗余韻にうっとり！新ヴィンテージ！ムルソー・レ・ナルヴォー[2008]ヴァンサン・ジラルダン（白ワイン）価格：5,229円（税込、送料別）青っぽさとミネラル。エレガントの極み。美しい。余りに素晴らしくて、笑えたり、うっとりしたり。イタリアワインを飲んできて良かったと思える二次的な喜びではありますが、フランスの白ワインって本当に素敵です。外から見ていて、つくづくそう思います（＾＾；）インポーター稲葉試飲会場

  2011/02/04

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  塩野七生「ローマ人の物語」＆イタリアワインの邂逅その6

  【送料無料】ローマ人の物語（1）価格：2,415円（税込、送料別）前回（2011，1，31）では、黎明期の共和政ローマが一定の平和期を迎え、憲法の明文化を進めるために、ギリシャに視察団を派遣する場面でした。紀元前453年から一年間の事と言う記述は残っているそうです。そしてご紹介したワインは、当時ローマよりも文明的には遥かに先進国だったであろう南イタリアのターラントとシチリアのシラクーサのワイン、つまりは「大ギリシャ時代」ともいう「南イタリアのギリシャ」のワインをご紹介しました。さて、その視察議員団ですが、どういう時期のギリシャを訪れていたかと言うと、まさにアテネの最盛期ともいえる「ペリクリスの時代」を謳歌していた時代でした。にもかかわらず、この議員団、このアテネ、またスパルタでの学びを模倣した形跡がまるでないそうです。塩野七生さんはこのことを「常人の技ではない」と書いています。　「衰退期に入った国を訪れ、そこに示される欠陥を　　反面教師とするのは、誰にでもできることである。　　だが、絶頂期にある国を視察して、その国のまねを　　しないのは、常人の技ではない。　　大学生の卒業旅行ではないのである。」そして、この時の史料の一切が存在していないながらも想像力を駆使して、スパルタとアテネにあるそれぞれの政治システムの欠陥と自らの進もうとする道との乖離を、当時のローマでも一級の人選と目される3人の元老院議員が見抜いたのでは、と書いています。後世の研究者からは「民主政実現への絶好の機会を逃した」と酷評されているらしいのですが（＾＾；）このギリシャ視察の後の内政改革、あるいは貴族と平民の階級闘争などが詳しく描かれて、なかなかローマと外敵との戦争シーンになりません。イタリア国内のワインに触れるためにも早く戦争をして欲しいと願ってしまいます（＾＾；）ともあれ、この内政に関する史実を簡単に触れておきます。　　紀元前494年　護民官の設立これによって平民の権限が大幅にアップして、貴族による寡頭政に対するチェックおよび牽制ができる役職ができます。　　紀元前449年　十二表法の発表これは、平民および穏健派の貴族を大そう落胆させた法律でギリシャ視察の成果がまるで見られないようなものだったそうです。その中で平民と貴族の抗争はより激化して行くことになります。ところが、そう言った内部抗争、内戦的な「贅沢」をしていられなく大事が訪れます。が、その歴史的大事件を引き起こす契機になったのが、　　紀元前396年　ウエイ攻略成功です。ウエイというのはエトルリアの一大都市で、後進国ローマよりも当時は随分都会だったようです。現在のヴェイオ＝Veioに当たる場所なのですが、今はラツィオ州の自然考古学公園と化しています（＾＾；）ローマの北２０ｋｍほどにある場所で、自然公園になっているだけあって、ＤＯＣに認定されたブドウ畑は存在していない場所です。ローマはウエイを手中に収めることによって、北イタリアを占拠しつつあった蛮族のケルト人と対峙しなければならなくなりました。エトルリアによって、それまで防波堤の役割を担っていた勢力を自ら切り崩してしまったことになったわけです。ケルトという呼び名はギリシャ語で、ラテン語ではガリアと言います。要は、当時森林地帯だったフランスなどにいた野蛮人を指した言葉ですが、ヨーロッパの諸民族の移動に伴って、アルプスのこちら側に押し出されたケルト人達が北イタリアに定住していました。　　　紀元前390年　　ケルト人のローマ略奪　「ケルト人たちは、抵抗する者もいなくなったローマで　　残虐のかぎりをつくしていた。　　ローマ人は、地位の差も性別の差もなく、殺され、　　暴行され、略奪され、奴隷にされた。」　　　紀元前367年　リキニウス法成立共和国の要職すべてを平民出身者にも開放すると言う画期的な法律です。そして要職を経験した人は貴族、平民に限らず元老院議員になることができる、とも。元老院そのものが貴族階級の牙城であることをやめたのでした。これは、ケルト人の略奪によって、国論の二分化＝貴族と平民の対立がいかに愚かなことを知ったローマ人だからこそできた法律なのでした。一度は壊滅状態になったローマでしたが、後世に「これをきっかけにローマは興隆は始まった」と言われる所以です。これから、ローマはそれまでの「ラテン同盟」を見直し「ローマ連合」という体制で支配地を拡張して行きます。　ローマ　⇒　ラテン同盟国　⇒　ムニチピア（投票権なしのローマ　市民権与える）　⇒　コローニア（植民地）　⇒　ソーチ（同盟国）今日ご紹介するワインは、イギリス、フランス、オランダ、スペインなどの後世の「植民地」とは随分と意味の違うコローニアが出発点となったローマ南東部の海辺の街アンツィオ周辺のワインをご紹介しましょう！！ＤＯＣが三つ存在します。ネットゥーノＤＯＣ、、、ハハハ輸入されておりません（＾＾；）　チルチェーオＤＯＣ、、、、これも輸入されてません・・・。テッラチーナＤＯＣ、、、上記二つと違って個性的で面白いワインですが、輸入されておりません（＾＾；）しょうがないので、もう少し内陸に入ったところのラツィオワイン初のＤＯＣＧをご紹介しましょう（＾＾；）海側のラティーナ県ではなく、内陸のフロシノーネ県のワインです。ポッジョ レ ヴォルピ チェザネーゼ デル ピーリオ価格：1,995円（税込、送料別）チェザネーゼ・デル・ピリオＤＯＣＧふ～～ん、どんなワインでもＤＯＣＧになれるんだぁ～～と思わず口に出てしまうほどに、以前のこの品種＝チェザネーゼのワインは、僕にとっては非常に不味いワインでしたが、近年の生産者の努力の甲斐あって非常に飲み心地の優れた、それでいて、ワインとしての力量も兼ね備えたワインになっています。この葡萄品種の起源は、「ローマ時代」と葡萄品種の史料に載っていたのですが、「どのローマ時代よ！？」と聞きたくなりますね（＾＾；）ともあれ、2000年の歴史を持つ、古い時代からの葡萄が未だに耕作されてるって、すごいことじゃないですか！この「ローマ人の物語」を読みながら、チビチビすするワインとして是非どうぞ（＾＾）　【送料無料】ローマ人の物語（2）価格：460円（税込、送料別）

  2011/02/03

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  シンプルに「美味しさ」ではこちらが上？アブルッツォ州ファルネーゼ社のＩＧＴワイン「ドン・カミッロ」と「エディツィオーネ」

  正味「売れりゃあいい」というような能天気な考えでワイナリー経営をやれるほど甘い業界はないと思います（＾＾；）競争に次ぐ競争。それはマーケティングだけの情熱ではなく、世界のマーケットを知り尽くしたうえでの、生産者としての気概と同時に、ある意味、アーティストのようなインスピレーション、センスも当然試されてくるわけですから。そして、常識中の常識の話ですが、ワインは葡萄あってのワインですから、年間の通した地道な畑での仕事がない限り、いっぱしのワインは絶対に生まれません。ワインの場合は、その「いっぱし」のレベルがどういうレベルなのかによって、テイスターの感じ方も、また価格的なところも大きく違ってくるというものですが、今回取り上げるアブルッツォ州ファルネーゼのワインのレベルは芸術的なレベルには到達しないまでも、最高クラスの美味しさが楽しめるワイン達です。しかも、葡萄品種のブレンドを基調とするワイン達ですからその共演も意識しながらテイスティングすると、楽しみが増えるんじゃないでしょうか。最初のワインは、サンジョヴェーゼ７０％とカベルネ・ソーヴィニョン３０％のＩＧＴドン・カミッロです。【6本～送料無料】ドン　カミッロ2009ファルネーゼ価格：1,890円（税込、送料別）このテイスティング会では全部で35種類ほどのイタリアワインを飲んだのですが、気に入ったワインに僕は○で印をつけていたのですが、このワインを最後の方でテイスティングして、思わず二重丸をつけていました。コメントには　「ガッツリ頬張りたくなる果実！！」　「余韻にシャープに残る酸と甘み！！」　「少しジャムにしたような果実の美味しさ！！」とびっくりマーク続きでした（＾＾；）それでこの価格ですから、ほとんｄ「驚嘆に値する」レベルじゃないかと思います。この葡萄比率は、キャンティ・クラッシコの先進的なレベルのものに似ていますね。それでもカベルネの比率が少々高い分こちらのワインは、肉厚で、ブルーベリー系の果実味も高くなります。繰り返しますが、それでこの価格です。素晴らしいじゃないですか！！ファルネーゼ社のＩＧＴワインに関しては、「驚くのはまだ早い！」と言いたいくらいです（＾＾；）エディツィオーネ　チンクエ・アウトクトニです。【6本～送料無料】エディツィオーネNo.10ファルネーゼ価格：4,179円（税込、送料別）これは、５つの土着葡萄という意味です。つまりファルネーゼ社が所有する、イタリアイーストコースト＝アドリア海側の土着葡萄を、アブルッツォだけではなくプーリアからも結集させて、「アドリア海の雄」として造ったワインです！！モンテプルチャーノ３３％、プリミティーヴォ３０％、サンジョヴェーゼ２５％、ネグロアマーロ７％、マルヴァジア・ネーラ５％葡萄の出所が２州にまたがっているので、法律上ヴィンテージが表記できないんですね。なので、エディションナンバーが付きます（＾＾；）どす黒く、端々まで凝縮した色がすごいです。鼻をグラスに近づけてまず感じるのは・・・・　　たき火（＾＾；）そして　　チョコレート、プラム、粘土、チェリー、赤い果実・・・口に含んで第一声は・・・　　「うんっま！！」（＾＾）驚嘆に値する液体の粘性、驚愕に値する酸の美しさ・・・・資料には「７-８年は熟成することができます」とありますが試してみる価値はありそうです。アルコールの迫力、酸のキレから言えばもっと熟成できるような気がするのですが、いかんせん、このアルコールの力と果実の熟れ具合も尋常じゃないので・・・いったいどんな変化をするのやら・・・と興味がわきます。いつも、このラインは、褒めすぎてしまいます（＾＾；）ちょっとやりすぎたかな、と思いますが、まずは試していただきたいですね。美味しいことは間違いないです。そして品種や地域の個性を秘めていることも確かです！熟成チーズやこってり煮込んだコーダ・アッラ・ヴァッチナーラなんていかがでしょう？う～～～ん、涎垂れます（＾＾；）

  2011/02/02

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  何度飲んでも納得の質感！アブルッツォ州ファルネーゼ社のモンテプルチャーノ・ダブルッツォ

  モンテプルチアーノ・ダブルッツォ［2009］ファルネーゼ（赤ワイン）[Y]価格：1,081円（税込、送料別）ファルネーゼ社のモンテプルチャーノ・ダブルッツォについては、幾度となく触れて来ましたが、何度触れようとも、やはりお勧めしないではおれない美味しさがあると思いますので、お勧めします（＾＾；）何でも、ロバート・パーカーもこのワインについては「貨車ごと買うべき」とか「レストランはグラスでこのワインを提供すべし」などと絶賛しているらしいです。彼が言うからには、やはり美味しいのだと思います（＾＾；）また、「イタリアワインがわかる」のマット・クレイマーはモンテプルチャーノ・ダブルッツォについて　「めったに言わないことだが本当である。モンテプル　　チャーノ・ダブルッツォにまずいワインはない。」とし、ファルネーゼのワインについては、ロバート・パーカーより控えめにせよ、「品質の高さは明白である」と締めくくっています。【送料無料】イタリアワインがわかる価格：3,360円（税込、送料別）カリスマ的なテイスターとして、今やイタリアでは定番になりつつあるワイン評価本「ルーカ・マローニ」にいたっては、イタリアでもっとも「果実味に溢れたワインを手掛けるワイナリー」としてこのファルネーゼ社を第一人者的に評価しています。って、ここまでは、他人の評価ですが、ここからは僕の評価。シンプルなモンテプルチャーノ・ダブルッツォに関してはかつての田舎臭い、田舎のワインを彷彿とさせる、それほど凝縮していない果実を感じさせながらも、バランスは悪くないので、いわゆる洗練された、凝縮した、ちょっと「イキった」ワインに比べると、気持ちをホッとさせる素朴さがあります。酸もタンニンもソコソコで、ポテンシャルとしては中強ぐらいでしょうから、どんなお料理、どんなシンプルなイタリアの料理にも合わせられるような良さがあります。このラインは、アウトドアが一番お勧めですね（＾＾）【6本～送料無料】カサーレ　ヴェッキオモンテプルチアーノ　ダブルッツォ2008ファルネーゼ価格：1,764円（税込、送料別）これが、同じモンテプルチャーノでも、ラインとしては格上の「カザーレ・ヴェッキオ」になるとワインとしての格はかなり上になります。それでもこの価格なんですけどね（＾＾；）凝縮した色、香りの果実味・・そして燻したお茶のような香りを持つ熟成香。すべてが及第点以上の力強さがあって、美味しいです。余韻の花の香りもあり、そのレベルは「エレガント」と呼んでもおかしくないほどです。果実味の凝縮感、熟成香からしても、合わせる料理は圧倒的に赤身の肉になるでしょう。スパイシーに仕上げたステーキから、じっくりと煮込んだ煮込み料理まで、楽しめます！！【6本～送料無料】オピ モンテプルチアーノ ダブルッツォリゼルヴァ2006ファルネーゼ価格：3,244円（税込、送料別）今回は、テイスティングしませんでしたが、この銘柄のＤＯＣＧバージョンの素晴らしさは、単純に「必ず飲むに値する」レベルで、この価格の素晴らしさも、僕ならあと1000～2000円ぐらい高くても、損したとは思わないぐらいです（＾＾）熟成したチーズ、できればパルミジャーノ・レッジャーノとかペコリーノ・トスカーノの美味しい奴と頂きたいです！！！

  2011/02/01

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  塩野七生「ローマ人の物語」とイタリアワインの邂逅その５

  【送料無料】ローマ人の物語（1）価格：2,415円（税込、送料別）前号（2010，1，27）は、生まれて間もない共和政ローマが、その先王の逃亡先であったキュージの王との戦争に勝利して領土拡張とまでは行かないまでも、その政体を維持したことに触れました。そして、キュージのワインとは、その東のウンブリアのトルジャーノであったり、西のヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノやブルネッロ・ディ・モンタルチーノがあることを紹介しました。もちろん、この共和制ローマ初期に上記のワインが存在していたわけではありません。史実と現在のイタリアワインを重ね合わせてみたいのです（＾＾；）さて、周辺諸国との戦もひと段落がつき、王政から共和制に移行したことで国内に生じた問題も落ち着いたとき、ローマはその憲法なる物の成文化に着手しようとします。ここで共和制ローマは、ギリシャに視察団を派遣します。このころのローマと言うのは、まだラテン同盟と言って現在のローマ市周辺、東京都の10分の1程度の勢力でしかありません。たとえば、南イタリアは当時、ギリシャ人の天下なわけですが、その代表的な都市ターラントやシチリアのシラクーサなら、ローマの3倍から5倍、アテネならその10倍、カルタゴならそれ以上の勢力圏だったろうと、塩野七生さんは書いています。でも、当時のギリシャを理解しようとするとき、一つの国としてのギリシャというよりも各都市国家としてのギリシャとして、ひとまとめに考えない方が正しいようです。現代のギリシャからトルコ側にいたるまでの民族の移動によって、都市ができあがり、都市国家がひとつの国家にまとまることなく、点在していたのがこの時代のギリシャです。これはローマの北のエトルリア人にも共通した性向のようです。たとえば、南イタリア、長靴のヒールの付け根部分にあたる工業都市ターラントは、ギリシャはギリシャでも、ドーリア系のギリシャ人によって入植され歴史が始まります。あのスパルタを建国したのがドーリア人。映画「300」で、凄まじいまでのファイティングスピリッツを見せた、筋肉隆々野郎たちですね（＾＾；）300 スリーハンドレッド(UMD) ◆20%OFF！価格：1,200円（税込、送料別）現在そのターラントのワインとして有名なのはこれでしょう。【6本～送料無料】プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア2007　ポッジョ　レ　ヴォルピ価格：1,312円（税込、送料別）廉価で、南イタリアのパワフルさが十二分に発揮されているワインですね。このレベルのワインがこの州には多いですし、ターラントではプリミティーヴォという葡萄が主要なポジションを占めます。同じドーリア人でもシラクーサに入り、古代ギリシャの中でも屈指の都市にしたのはコリントスの入植者。シラクーサのワインとしては、絶対にお勧めしたいのがコレ！【6本～送料無料】パッシート ディノート 2008 プラネタ　500mlPassito di Noto 2007 PLANETA価格：4,777円（税込、送料別）厳密にいえば、シラクーサよりも南のノートのワインになりますがこのデザートワインは、シチリアの数あるデザートワインの中でも求めやすいものですし、その美味しさと個性には誰もが驚嘆するはずです（＾＾）同じ生産者プラネータのもので同じゾーンの畑でできている非常にエレガントな、シチリア土着ブドウ、ネロ・ダーヴォラを使った最高傑作はコレ！3トレビッキエーリを獲得している06年ヴィンテージ!!!プラネタ サンタ・チェチリア シチリアPLA...価格：4,788円（税込、送料別）またカラブリアなど長靴のつま先、バジリカータという土踏まずに入植したのは、アカイア人。これはアテネを建国した人たち。ナポリの語源はギリシャ語で「ネア・ポリス＝新しい都市」ですが、旧都市となった元々の都市はその北にあるクーマでこれを開いたのはイオニア系ギリシャ人。歴史的に文明化、または経済の発展の観点から見ても南イタリアの方が、ローマよりも、もちろん北イタリアよりも、遥かに先輩格、先進国なんですね。バジリカータ、ナポリについては、またローマの歴史に触れながら、巡っていきましょう（＾＾）

  2011/01/31

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  アルベルト・ザッケローニのワイン！

  基本的にサッカーというのはパスの精度とトラップの技術で決まるように思えます。簡単そうに見えて単純な、それでいて地道な練習と訓練以外からは生まれて来そうにないパスとトラップの連続の集積を、試合中に我々は目にします。今回のアジアカップでの、パスの精度とトラップ技術というのは、今までの日本のレベルでは最高ではなかったかと思います。ワールドカップ中には、何度も「ヘタクソ！」と悪態をついたものでしたが（テレビに向かって・・・）、今大会ではそれが少なかったように思うんです。それでもスペインなどに代表されるスピードあふれるパス回しのレベルにはまだ遠い気がします・・・。とにかく、アジア杯の優勝は痛快な出来事でした。本田は「結果以外には満足していない」というようなカッコイイことを言っていたと思いますが、監督の言うように向上心が皆に感じられること、これがその痛快さを際立たせているように思います。さて、僕自身は試合後のインタヴューにザッケローニ監督が何を言うか、あるいは通訳はどんな訳し方をするのかなどを観るのも楽しみであったりします（＾＾；）インタヴュアー：　おめでとうございます！　grande soddisfazione,,,,　　 偉大なる目標の実現（勝利） grande soddisfazione, 　　　　　偉大なる目標の実現（勝利）　grande squadra　　偉大なるチーム　　 grande compattezza 　偉大なるチームのまとまり　vale ancor di piu' , perche' abbiamo affrontato un'avversario molto molto forte さらに価値があるのは、相当に強い相手に臆することなく　立ち向かったことだ。インタヴュアー：　今日のゲーム、控え選手が大きな活躍を　　　　　　　　　しました。これについては？　eravamo molto stanchi, ma l'ho sempre detto , la forza di questa squadra e' la compattezza. 　皆、非常に疲れていたからね。でも、私がいつも言うように　このチームの強さは、まとまりの良さにある。 E il gruppo sopperisce anche la stanchezza fisica.　　そのまとまりが肉体的な疲労を補う。インタヴュアー：　李選手のゴールが決まった時の気持ちは？　 Me lo sentivo,,,,me lo sentivo, so che perdevo un giocatore forte come Maeda, soprattutto sulle palle alte, pero' giu' me lo sentivo.　やってくれると感じていた。空中戦に強い前田のような選手を　失うことも承知していたが、低いボールならいけるだろうと。 Me lo sentivo dalla partita precedente che avrebbe segnato. Ce l'aveva entrato con sangue negli occhi. 前の試合から彼はゴールしてくれるだろうと感じていた。　もう目が血走っていて、何かを持ってピッチに入って　行ったからね。 Una grande forza di questa squadra e' che chi entra da panchina poi va in campo fa la differenza. このチームの大いなる強みは、ベンチからの選手が、ピッチで変貌　することだ。インタヴュアー：　日本のファンにメッセージを。 Ma io credo che devono essere solamente orgogliosi di avere una squadra cosi compatta, che ha fatto di tutto per onorare Giappone.　これほどまでのまとまりの良さを示し、　そして何よりも、日本に栄光をもたらしたこの　チームをひたすら誇りに感じて欲しいと思う。 細部で聞き取りにくい部分もありましたが、こんな感じだと思います。ともあれ、控え選手が苦しい局面でどんどんと結果を出したというのは、その連続性は運の強さもありましょうが、断然ザッケローニ監督の「勘の冴え」を評価しなければなりませんね。祝杯をあげるなら、彼の故郷の見事なワインしかないんじゃない？エミリア・ロマーニャ州フォルリ・チェゼーナ県のメルドラ。ここは、エミリア・ロマーニャ地方の中でも、いわゆるロマーニャ地方の中心地になります。　　サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャＤＯＣ　　トレッビアーノ・ディ・ロマーニャＤＯＣ　　アルバーナ・ディ・ロマーニャＤＯＣＧ　　パガデビット・ディ・ロマーニャＤＯＣ　　カンニーナ・ディ・ロマーニャＤＯＣ が５大ロマーニャワイン。というか、「ディ・ロマーニャ」とつく５つのＤＯＣワインがこれら。その中でも、やはりサンジョヴェーゼは、イタリアを代表する葡萄品種だから、たとえ、トスカーナの偉大なワインに見劣りしようとも、ザックの優勝はこのワインで乾杯したい！ゼルビーナ ピエトラモーラ [2003] Pietramora ZERBINA3本以上のご注文で送料無料！価格：6,510円（税込、送料別）このカテゴリーのワインとしては最高クラスだと思います。ＩＧＴとしてさらに国際色の強い味わいを求めるなら、同じゼルビーナ社のこれ。果実の凝縮感ある力強い味わいの長期熟成可能なポテンシャルを持つIGTワインです。ゼルビーナ ...価格：5,933円（税込、送料別）カベルネ、メルローをブレンドした深みと丸みの味わい。ボルドー的な味わいが好きならこっちでしょうね。味わいの丸みとまとまりもやはりこちらが上ですが、イタリア的な「ひねり」が欲しければ、やはりサンジョヴェーゼです！セット価格もあるよ。エミリア・ロマーニャ州を代表するワイン！【送料無料】ゼルビーナ マルツィエノ ピエトラモー...価格：10,490円（税込、送料込）白ワインなら、こういう洗練されたワインを！！チアルド　シャルドネ　2008トレモンティ価格：3,035円（税込、送料別）次はまた、どんな試合になるか。またどんなコメントを発するのか、楽しみです（＾＾）

  2011/01/30

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  アドリア海マルケ州のナンバー２？ヴェレノージ社のロッソ・ピチェーノ・スペリオーレ

  マルケ州は、白ならヴェルディッキオが絶対的に「君臨」しているイメージですし、赤ワインにおいては、やはり　　コーネロＤＯＣＧでしょうか。これは2004年にDOCGに昇格したワインですから、それ以前は僕の中では、ロッソ・コーネロＤＯＣと今日触れることになる　ロッソ・ピチェーノＤＯＣがマルケ州では双壁と言う存在でした。おそらくは、ロッソ・コーネロがモンテプルチャーノ主体でありロッソ・ピチェーノの方は、そこにサンジョヴェーゼの存在感もしっかり入って来ますので、よりマルケらしい、よりアドリア海らしいワインを先に昇格させたと言うことなんでしょうか。いずれにしてもコーネロＤＯＣＧは、以前のロッソ・コーネロのリセルヴァタイプでしたので、長期熟成を要するワインです。それもそのはず、サンジョヴェーゼと同品種と長年みなされていたモンテプルチャーノ種ですが、サンジョヴェーゼに輪をかけたように酸もタンニンもアグレッシブなもんですから、ある種の「洗練」を身にまとうためには、熟成させる必要があるのです。それに比べるとロッソ・ピチェーノの方は、モンテプルチャーノ種とサンジョヴェーゼ種の比率が同じぐらいになりますから、逆に全体の構成要素のまとまりは取りやすいように思います。今日ご紹介するのは前日の白ワインと同様にヴェレノージ社のワインです。「ピチェーノ」という名前は、マルケ南部の、ほぼアブルッツォ州側にあるアスコリ・ピチェーノ県のピチェーノから取った名前ですね。トスカーナのエトルリア人、ウンブリアのウンブリ人、そしてマルケ側にいたピチェーノ人という古代ローマ以前の先住民の名前を取っています。【14時間限定！只今エントリーでポイント3倍！】（～2月21日23:59迄）ロッソ・ピチェーノ[2009]...価格：1,029円（税込、送料別）廉価で飲みやすいタイプですが、モンテプルチャーノとサンジョヴェーゼのタンニンがやや粗く出すぎた感のあるワインだと思います。フルーツとフローラルの香り、酸の塩梅も良い塩梅ですが渋みは強く粗い印象です。もちろん、この価格のワインですから、むしろこのタンニンを料理との相性に役立てれば良いだけです。脂身のしっかりとしたステーキとかね。照り焼き風味の料理にも良いでしょうね。思い切って、ソース系のジャンクフードでも良い（＾＾）ロッソ・ピチェーノ　スペリオーレ　イル・ブレッチャローロ 　2007 ヴェレノージ価格：1,344円（税込、送料別）ほろ苦い香り、ダークチェリー、ドライフラワー、そしてロースト香もあり複雑です。この値段では信じられないほどのポテンシャルを持っていますがテイスティング時は、抜栓したてだったのでしょう。今一つ、落ち着きが感じられず、もう少し空気に触れさせて酸、タンニン、全体像に一体感が生まれるのを待ちたかったです。それでも、タンニンの細やかさはなかなかのもので、味わい深いものがありました。【14時間限定！只今エントリーでポイント3倍！】（～2月21日23:59迄）ロッソ・ピチェーノ・スー...価格：3,759円（税込、送料別）ラベルデザインにもう少し品格が欲しい所です（＾＾；）それぐらいに全体のポテンシャルはレベルが高いです。凝縮した色、カカオ的な香り。フルーティーさは、なぜか白ワインに感じそうなトロピカルフルーツやシチリアオレンジの香り。口の中で広がる香りは、紅茶的で発酵茶の香りあり。アルコールから来る粘性もしっかりしてて、大きなグラスで味わいたいワインです。以上、三つのラインで、ロッソ・ピチェーノのキャラクターのグラデーションが楽しめますね。葡萄をしっかりと育てないと良いレベルのワインはできないのですが、そこにワイナリーのポリシーが加わって、ある種の「飲みやすさ」や「飲み心地の良さ」が生まれます。ヴェレノージ社のロッソ・ピチェーノは、そういうカジュアルさとワインとしての質を兼ね備えた素晴らしさがあると思います。お試しあれ！！インポーター稲葉さんの試飲会にて

  2011/01/29

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  アドリア海のマイナー土着白葡萄で注目したいヴェレノージ社パッセリーナ！

  イタリアのイーストコースト、つまりはアドリア海側の白ワインとして、思い浮かぶワインは何でしょう？たとえば、マルケ州のヴェルディッキオ種を使った　ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエジとか　ヴェルディッキオ・ディ・マテリカなんかは筆頭に挙げるべきＤＯＣＧですね。大量生産でその「ピンキリ」が激しいワインとしては　　　トレッビアーノ・ダブルッツォＤＯＣは最も著名なワインかもしれません。いわゆる伝統ワインの主要葡萄として活躍できる葡萄ってそんなに多いものではないんですね。だから、ＤＯＣレベルではどうしてもマイナーなものが非常に多くなってしまいますし、ウェストコースト、つまりティレニア海側の白ワインに比べるとやや地味な印象はぬぐえません。とはいえ、先日テイスティングしたこのワインは出色のワインでした！！ヴェレノージ　ヴィッラ・アンジェラ・パッセリーナ　[2009]　白価格：1,554円（税込、送料別）パッセリーナという葡萄で、パッセリーナという名前のワインにもなっています。パッセリというのはイタリア語で「すずめ」のことですがおそらくは小鳥がよくついばんでいた、つまりは良く熟れて甘い葡萄と言う事なんだと思います。色は輝きのある麦わら。香りは甘いリンゴ。結構まったりとして甘みがあります。味わいは、それまでの視覚⇒嗅覚ときた流れから言えばハッと瞳孔が開くほどに美味しい！！口の中で感じる果実の香り、酸、甘み、それぞれがお互いに刺激を送り合って高めているという印象で現在進行形の活き活きとした美味しさがあります。余韻には、白い花の香りも残して非常にエレガントです。食前酒として食中酒としても、もちろん素晴らしいのですが、何だかこの一本だけを飲んでいたい気持ちにもさせるほどの美味さを感じました。あるいは、パルミジャーノとかとチビチビやるとかね。もちろん、醸造法もシンプルですから、樽熟した、手の込んだ、ブルゴーニュワインチックな奥行きはないのですがシンプルなフレッシュ＆フルーティーなレベルにあってバランスや全体のハーモニーが非常に綺麗なのでぜひお勧めしたい一本です！！ヴィッラ・アンジェラ パッセリーナ [2009] ヴェレノージ 【あす楽対応_関東】価格：1,659円（税込、送料別）こういう今までは超のつくマイナーなレベルに甘んじていたワインが、「葡萄品種」で味わい現代に蘇るというのはとてもイタリア的ですし、面白いと思います。生産者としても、歴史の中で埋もれていたものを「発掘」して、それに磨きをかけて新たにリリースする「伝統復興」のひとつの起爆剤になりますから、やりがいのあることなんでしょうね！ヴェレノージ社のワインは、瓶内二次発酵の素晴らしいスプマンテを筆頭にコストパフォーマンス高く、どのラインも外れがないですね！！【6本～送料無料】ヴェレノージ　ブリュットメトド　クラシコ2006　ヴェレノージ価格：2,971円（税込、送料別）

  2011/01/28

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  久しぶりです。塩野七生の「ローマ人の物語」とイタリアワインの邂逅その４

  【送料無料】ローマ人の物語（1）価格：2,415円（税込、送料別）昨年の6月以来のテーマです。イタリアの歴史、ローマの歴史とイタリアワインの邂逅です（＾＾）5人の王が君臨した王政ローマが終焉を迎え、世の中は共和制の時代に突入して行きます。あの有名な、二人の執政官が、一年ごとの選挙で替わっていくいくシステムですね。もちろん、選挙ですから、人気、権力を誇れば、何期でも連続して当選することも可能なわけですが。王の専横を防ぐ目的から二人の執政官を存在させるわけですが同時に政治の安定化を図るために元老院の定数を増やして300としました。最初に執政官になったのは、先代の最後の王タルキニウス（タルキニア出身の王として前号2010年6月7日の日記に書きました）を追放したルキウス・ユニウス・ブルータス。ブルータスって「阿呆」という意味なんですね（＾＾；）要するに、彼は王家の家系でありながら阿呆呼ばわりされてきたその「阿呆」を姓にすることで人気を博そうとしたのでしょうか。いずれにしても、あの「ブルータスよ」のブルータスとは全然時代が違います。おそらくは歴史上初めて登場する、無数にいるブルータスの一人と言う事になると思います。もう一人の執政官コラティヌスは、その後国外に逃亡する運命になるのですが、その次の執政官とブルータスが闘う事になるのが前の王が逃亡したエトルリア諸都市の王たちです。前号では、王の故郷と思われるタルキニアのＤＯＣをご紹介しましたが、今回は、キュージです。ローマはこのキュージの王とタルキニウス王の共同チームに戦勝することによって、生まれて間もない共和制の政体を何とか維持し、強靭にしていくことになります。キュージは、ほとんど、ウンブリア地方とトスカーナ地方の州境に位置してますね。キュージの西のウンブリアには、数世紀後にハンニバルとの壮絶な戦闘も繰り広げられるトレジメーノ湖があります。キュージの東は、トスカーナ地方の超有名銘醸地のオンパレードですな（＾＾）まず、ウンブリア側には、トルジャーノＤＯＣ、あるいはトルジャーノ・ロッソ・リセルヴァＤＯＣＧの地区がトラジメーノ湖からほど近い、南東に位置しています。ルンガロッティトッレ　ディ　ジャーノ...価格：1,838円（税込、送料別）ルンガロッティ ルベスコ モンテッキオ ...価格：4,935円（税込、送料別）この辺のワイン、僕大好きです（＾＾）赤ならサンジョヴェーゼとカナイオーロというトスカーナ系ワインの伝統的スタイルがこのゾーンにも浸透しています。別にキュージがトスカーナだからといって、ローマ時代にウンブリアもトスカーナもなかったわけで（＾＾；）隔てる必要もないでしょ？ただ、一つ抑えておきたいのは、キュージにせよ、このトスカーナ南部とウンブリアの、たとえばペルージャにしても、その南のオルヴィエートにしても、すべてエトルリア起源の街ということ。そして、ワイン産地に相応しく、丘陵地のてっぺんにその街を擁しているという点です。トスカーナのモンテプルチャーノにしても、モンタルチーノしても、あるいはシエーナにしてもアレッツォにしても、枚挙に暇がありませんがすべてエトルリア起源の街。王政ローマの時代、あるいは、共和制初期のローマの時代、はるかにローマよりも経済力と技術力を誇った民の街だったんですね。そういう地盤があっての、現代のワインの質の高さとの相関関係は当然存在していると思います。2500年ぐらい前の話なんですけどね（＾＾；）でも、「俺達、エトルリアの末裔！」という意識は、トスカーナ人には特に強いと思います。だって、トスカーナと言う名前もその語源はエトルリア、エトルスクなんですから。だから、サンジョヴェーゼも「エトルリアの葡萄」という意識で醸造する生産者も少なくない。Ecco ! vini etruschi di grande qualita'さあ、偉大な質を誇るエトルリアワインたちをご賞味あれ！1月27日発売の週刊モーニング掲載『神の雫』に登場！「侍」と表現されたブルネッロ【6本～送料...価格：12,180円（税込、送料別）【6本～送料無料】レ スタンツェ2004ポリツィアーノ価格：8,011円（税込、送料別）

  2011/01/27

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  フルーツポンチをワイン感覚で！？灼熱のシチリアから果物屋さんのワイン（＾＾；）ヴィニェーティ・ザブのインツォーリア

  シチリアでは、インツォーリア Inzoliaトスカーナでは　アンソーニカ　　Ansonica発音的にも似てますよね。同じ葡萄だそうです。トスカーナでは C の発音が H になりますからトスハーナでは、アンソーニハになりますな（＾＾；）インツォーリアは、シチリア全般ですが、主に中西部で、アンソーニカは主にトスカーナ海岸部の南、マレンマ・トスカーナの葡萄品種ですが、古代のフェニキア人、ギリシャ人、あるいはマレンマの古代民ともいえるエトルスク人によって、ティレニア海を渡ってきた葡萄品種かもしれませんね。またフランスからもたらされたという説もあって、それならばティレニア海を北から南に渡った可能性もあります。いずれにしても、主にシチリアではシチリアＩＧＴとしてあるいはコンテア・ディ・スクラーファニＤＯＣ、コンテッサ・エンテッリーナＤＯＣの主要葡萄として、トスカーナでは、パッリーナＤＯＣ、コスタ・デッラルジェンタリオＤＯＣが有名ですが、まだ個性が確たるものとしてそれぞれのゾーンで表現されているかどうかは、僕には分かりません。分かっているのは、圧倒的な美味しさですね。フルーツ！フルーツ！！フルーツ！！！果物屋さんって、もうあまり存在していないでしょうけどそんなお店に入った時のようなイメージ。色んなフルーツの香りがグラスに充満してくるのがインツォーリアワインの良いところですよね。このヴィニェーティ・ザブのインツォーリアもコストパフォーマンス高く、フルーツの香り高いワインに仕上がっています。このワイナリーは、アブルッツォのファルネーゼ社の醸造家がコンサルティングを行っているのだそうです。チェッラーロというワイナリーがファルネーゼの傘下に入ることでごく最近生まれたワイナリーですね。ファルネーゼと言えば、イタリアでも屈指の「果実味」を武器にした低価格ワインを売りにしている、最も元気なワイナリーの一つだと思いますが、その醸造家がシチリアにやってきたとなれば、その成功もそれだけで手中におさめたようなものです（＾＾）ヴィニエティ・ザブ：ザブ　インツォリア　[2008]価格：1,150円（税込、送料別）トロピカルフルーツ、メロン、あんず・・・シロップのような甘みがありフルーツポンチのよう。味わいは柔らかい酸味とわずかな苦み。飲みやすさは抜群です！アウトドアなんかでギュッと冷やして頂くと心躍るワインになるでしょうね。合わせる料理は、たとえばカポナータ（ラタトゥイユ）のような野菜を甘く炊いた料理には素晴らしく合うと思います。だからトマトソース系のパスタにはバッチリ（＾＾）果実味が豊かな白には、魚介系の繊細な料理寄りは、骨太で滋味あふれるサラミやハムのような豚加工品も良く合います。生ハム＆メロンと同じ要領ですよね。ちょうど、このワインにはメロンの香りもありますし（＾＾）フルーツの香り豊かな白ワインは、カレーとかスパイシーなタイプの料理にも合いますよね。これに味噌とかの甘みと深みが加わったような四川系の中華料理なんかには、むしろ赤ワインの方がしっくり来ると思うんですが、それなら同じザブ社のネロ・ダーヴォラ！ザブ　ネロダーヴォラ[2008]750ml（シチリア・赤ワイン）価格：1,354円（税込、送料別）紫の輝きが印象的です。少し砂のようなミネラル香、そしてチェリー。重々しい感じのするフルーツではなく、軽いタイプのフルーツでやはり飲みやすさと軽やかさを追求したワインというイメージ。十二分にコストパフォーマンスは高いと思いますが、さらに上のラインでもその質とコストのバランス感覚は研ぎ澄まされています。シチリア発！30％乾燥させたブドウを贅沢に使用！【6本～送料無料】イル　パッソ2009ヴィニエテ...価格：1,806円（税込、送料別）おそらくは抜栓したてのワインをテイスティングしてしまったと思うのですが、香りがなかなか立って来ません。少し大き目のグラスでソアリングしながらゆっくり楽しみたいワインです。酸とタンニン、そしてアルコール分のバランスと一体感。ねっとりとした質感が、全体の味わいの要素をまとめています。タンニンの質そのものも細やかで味わいごたえがあります。この質感の秘密は、イル・パッソという名前の意味にもあるように、主要品種の一つネレッロ・カップッチョ（２０％）を乾燥させてそれをネロ・ダーヴォラ（７０％）、メルロー（１０％）のワインに入れて発酵させるようです。「リパッソ」ならぬ、「パッソ」というわけですな。※リパッソはヴェネトのワイン、アマローネを作る陰干し葡萄の搾りかすにシンプルなワインを入れて再び利用することで「再び通す」という意味のリパッソという名になりますが、このワインは二度使っていないから、「パッソ」ということなのでしょうか。このレベルでもデイリーワインとして楽しめる価格！しかし、新しい醸造法が試されて、製品化していきますね。イタリアにおいては、まるで新大陸のようなシチリアならではという気もします（＾＾）

  2011/01/26

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  更生施設でワインづくり？ロマーニャ地方の注目株、サン・パトリニャーノの

  You Tubeで　san patrignao（サン・パトリニャーノ）で検索するといくつかの動画が出てきますが、その中で乗馬の大会がこのサン・パトリニャーノを会場に開催されている動画があり、その乗馬の大会風景をバックに、アルコールや薬物依存でこの施設に入り、乗馬大会をサポートしているメンバーのインタヴューが展開しています。「どうして、アルコール依存になっちゃったの？」「なぜ、アルコールはいけないの？」「君も、アルコール依存？薬物も？え？ヘロインまで！？」日本ですと、インタヴューされる人にモザイクがかけられて音声も変えられて、「おらは死んじまっただあ」のようなすっとんきょうな感じになってしまいますが、イタリアはインタヴューする側もされる側も堂々としたものです。ずけずけと質問するし、飄々と答える。当然、モザイクも音声変換もありません。相手の目をじっと見て、自分の意見を述べる。そこに「恥」の意識はまるでありません。これを良いとか悪いとか言っているわけではありませんがこれは道行く普通のイタリア人と同じです。とにかく、恥じること、恥ずかしがることなく、堂々としています。そして、その答えの内容と言うのはイタリア独自のものでも何でもなく、人間の悩みとかストレスの原因となるものは、やはり同じなんだな、普遍的だなと思わせるものばかりなんですが、感心するのは彼らの言葉がとてもはっきりしており表情が自信に満ちあふれた感じがあることです。自らの過去を微塵も恥じていません。映す側もそういう必要を微塵も感じていないからこそ、モザイクも音声変換もないわけですけど（＾＾；）おそらくは、言葉を失うような大変な苦しみもあったかと想像するわけですが、そういう体験をしているからこそだからでしょうか、その大人びた、深みのある表情は、こちらが気後れしてしまうほどです。やや次元が違う話かもしれませんが、イタリアには　「バサリア法」という精神病院をイタリア全土から廃止するするというラディカルな法律があります。考え方としては、隔離するのではなく、社会全体がこの種の病理と日常的に触れ合うといいましょうか、逆に考えれば彼らを解き放つことによって、社会を変えると言うような思想があります。当然、負の側面と言うものも出てくると思いますし、実際にこの法律について良く思っていないイタリア人の意見を何度か聞いたことがあります。それでもなお、この法律が有効な社会が現に存在している事自体で、やはりイタリア人の面白さ、ユニークさを感じずにはいられなくなります。【送料無料】精神病院を捨てたイタリア捨てない日本価格：2,520円（税込、送料別）たとえば、アルコール、大麻、ヘロインなどの薬物依存の人たちは、サン・パトリニャーノで「隔離」されているわけではありません。緩やかに他者と触れあいます。そして社会的に見ればとても有意義な形で、様々な食品やワインを生産することで大いに社会貢献することになります。最初のインタヴューに戻りますが、人間関係の厳しさ、微妙さに自らを支えきれなくなって、アルコール、薬物依存に走る人々の、その社会的な均衡、バランスを崩す一番の要因は、「自信を失う」という事に尽きるように思います。他者と付き合う自信、つまりは自己表現をし、それを受け入れてもらえると言う自信です。サン・パトリニャーノの取り組みは、その自信を緩やかなプロセスで回復させようと言うものでしょう。これを数十年間にわたって、のべ25000人以上の依存症患者を社会復帰させることに貢献させるこのサン・パトリニャーノという組織の在り方にとても僕は興味を持ちます。それで、ワインを通した社会復帰のプロセスの中で生まれるワイン自身の中身について触れなければなりませんね。まず、白のスタンダード、ラウレンテ・ビアンコ。アウレンテ・ビアンコ・ルビコーネ[2008]年　サン・パトリニャーノ元詰・IGTダ・ウーヴェ・ソー...価格：1,974円（税込、送料別）ルビコーネというＩＧＴですが、これは歴史的に見て余りにも偉大な足跡を残したユリウス・カエサルの「ルビコン越え」のあのルビコン川のイタリア語名です。英語でジュリアス・シーザー、イタリア語ではジュリオ・チェーザレ、帝政ローマの戦略を体現しようとした人ですが、ルビコーネというのは、その足跡のシンボルでもあります。実際のルビコン川は、チョロチョロと流れる、「川」というのも、心許ないような小川らしいですが、その名を冠せる栄誉というのは、リミニ県に近いロマーニャ地方ならではですね。トスカーナとはひと味違う果実味たっぷり濃厚サンジョヴェーゼ【6本～送料無料】アウレンテ ロ...価格：1,806円（税込、送料別）ビアンコはシャルドネ、ソーヴィニョン・ブランを使ったシンプルで飲み心地とバランスの素晴らしいワイン。りんごと草っぽい香り、柔らかい酸味、余韻の甘みがあって文句なしに美味しいです。ではその個性は？と言われるとやや弱いと思うんですが国際葡萄を使っていることからすると、個性よりも美味しさが勝っていていいと思います（＾＾；）白よりも赤の方が、僕は好感を持てました。サンジョヴェーゼの果実と花の香りが顕著で、綺麗なワインです。トスカーナのサンジョヴェーゼのような骨格のしっかりしたものではありませんが、熟成感と飲みやすさでは、このロマーニャのサンジョヴェーゼに軍配が上がると思います。そのもう一つ上のラインに、新しいワインがあります。今のイタリアワインシーンでの一つの流行になりつつあるのでしょうか、それともすでに流行なのでしょうか。イル・パラティーノ・ロッソ、カベルネ・フラン１００％のワインです。エ？　ロマーニャでカベルネ・フラン？全然似合わんじゃん！と思ってしまうわけですが、やはりというか、ロマーニャの葡萄ではなく、トスカーナの海岸沿いの産地から葡萄を持ってきてパトリニャーノで醸造しているようです。この辺りのコンセプトは、ようわからん、というのが正直なところですけど。マレンマで収穫して、その日のうちにサン・パトリニャーノに運ばれて、醸造開始されるとか。凝縮した色、ブルーベリー、ブラックチェリー、ミントバニラ、ミネラル、キャラメル・・・。果実が前面にあり、キャラメルなどの熟成香が後ろに控えています。良い香りです。余韻は酢もーキーでもあり、乾草のような香りも感じました。カベルネ・フランの良い面が出ているように思います。残念ながら楽天にはまだ出展されていないようですね。リッカルド・コタレッラがコンサルタントを行っているとか。彼らしい丸みのある、それでいて国際色豊かと言いましょうか誰からも愛される奥行きのあるワインだと思います。一流のコンサルタントと更生施設のコラボ。とてもイタリアらしい感じがします（＾－＾）

  2011/01/25

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  陽気で明るく、そして賢いトスカーナ、モーリス・ファームズのモンテレージョ・ディ・マッサ・マリッティマＤＯＣ

  モンテレージョ・ディ・マッサ・マリッティマ[2005]モリスファームズ（赤ワイン）価格：2,929円（税込、送料別）昨日、トスカーナ南部のマレンマ・トスカーナの白ワイン、　マレンマ・トスカーナＩＧＴ　ヴェルメンティーノをご紹介しましたが、今日は、同じ生産者モリス・ファームズの赤ワインをご紹介しましょう。その名も、ちょっと難しい・・・　　モンテレージョ・ディ・マッサ・マリッティマＤＯＣです。サンジョヴェーゼが９０％、カベルネ・ソーヴィニョンが１０％のワインです。内陸のトスカーナと違って、海側のトスカーナは、「伝統」と付き合う必要がないですよね。いわば良質のワインが造られた伝統もありませんしマレンマというのは、歴史的に見れば、非常に開墾の厄介な湿地帯の事ですから、新しく出来た畑では、マーケットの動向も見つつ新しい味わいに常に挑戦して行けばよいのだと思います。内陸のキャンティ・クラッシコとか、歴史あるゾーンですとやれ新しいとか、やれ古臭いとかの議論がありますけどね。さて、そういう事で、このワインはやはり伝統であり、そのポテンシャルの素晴らしさでは世界に冠たる葡萄品種となったサンジョヴェーゼを主体に、カベルネを少々ブレンドしております。サンジョヴェーゼの角々しさをカベルネがコーティングする。これは内陸のキャンティ・クラッシコ地方ですでに数十年前から実験的に行われて、今や十二分に市民権を獲得したセパージュですわね。驚きませんし、新しいゾーンでの取り組みですから、バンバンやってくれ！と思います。ワインに美味しさとその土地の風土を表現するものがあれば何も言う事はありません（＾＾）それでテイスティングして見るわけですが、これはもう少々時間を置きたかった、というのが正直な感想。おそらく瓶熟というよりは、抜栓してからの時間という意味。グラスの中、あるいはボトルの中、デキャンターの中で酸化させる時間があれば、もっと良かったと思います。それでも、もちろんポテンシャルは感じさせてくれるんです。どこにあるかと言うと、特に余韻の豊かさですね。グラスに注いだばかりの香りは少々閉じているのですが、余韻に残る香りは、奥行きがあって、優美でした。梅干し的な香りはサンジョヴェーゼの酸から来るものでしょう。バニラの香りは樽での熟成から。磯の香り、ふりかけの鰹節の香りは、畑のミネラル分とワインの果実味のめくるめく愛撫の賜物です。長く引くナッツ香も非常に心地よく、味わいでまだこなれた印象を持てなかった酸とタンニンの勢いの良さ、激しさをカバーしていました。だから、おそらく、時間が経過すればもう少し味わいは落ち着くでしょうし、グラスから漂う香りにもはっきりとした輪郭が加わってくれると思います。そう、もしこのワインを買う人がいれば、少し大きめのグラスで楽しんでくださいね。あるいは、半分は初日に、もう半分は次の日でも良いでしょうね！この味わいでこの価格ですか。昔に比べると高くなったと思いますけど、やはり良いですよ、このワイン！！厳格で神聖な感じのする内陸のサンジョヴェーゼに比べるとこちらは明るくて、ウキウキする果実味のふくよかさが感じられますが、ワインの質としても納得できる、中身のある、賢いトスカーナワインだと思います。行きすぎたジャミーさもなく、「媚」が感じられないのも良いです。マレンマのモリス・ファームズのワイン・・・これは絶対に狙い目です（＾＾）スタンダードならこれです！モレッリーノ・ディ・スカンサーノ[2006]モリスファームズ（赤ワイン）価格：2,446円（税込、送料別）グッと迫力を増してコレ！モレッリーノ・ディ・スカンサーノ・リゼルヴァ[2004]モリスファームズ（赤ワイン）価格：4,893円（税込、送料別）まさにスーパーな味わいならコレ！アッヴォルトーレ[2006]モリスファームズ（赤ワイン）価格：6,636円（税込、送料別）

  2011/01/24

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  陽気で明るく、そして賢いトスカーナ、モーリス・ファームズのマレンマ・トスカーナＩＧＴ ヴェルメンティーノ

  ヴェルメンティーノ・マレンマ・トスカーナ[2008]モリスファームズ（白ワイン）価格：2,247円（税込、送料別）モリス・ファームズのワインを飲むときって、質的な高さは今までのテイスティングで、すでに証明済みだから、まず美味しいことは分かっているのですが、独特のワクワク感というものがあります。何と言いましょうか、その美味しさが、内陸のキャンティなりブルネッロなり、ヴィーノ・ノービレなどの美味しさと違って、極めて「陽性」な感じがするんです。それはもちろん、偏見と言いましょうか、このワインの出所がティレニア海に近い、温暖の地であるから、秋冬は霧に包まれる極寒の内陸トスカーナとは別世界である、そのイメージがそう感じさせると言うのもあると思います。でも、味わってみて、感じられる「陽性」と言うのがあってそれは他ならない「純度の高い果実味」だと思います。サンジョヴェーゼですから畑で良く手入れをすれば、まず間違いなく酸とタンニン、そしてアルコールの粘性は獲得できるでしょう。でも、内陸の寒さが生みだす「酸の強さ」から来る洗練を選ぶか、海側の温暖さが生みだす「アルコールから発する味わい」を選ぶかと言われれば、もちろん、どちらも選びたいですし（＾＾；）、ＴＰＯにもよるかと思いますが明るい奴を選びたい！酸とかタンニンとかでグイグイと自己主張して、刺々しさがまず気になる奴とは、慣れるのに時間がかかるじゃないですか？それが、アルコールが生みだす味わいって、まず甘さがありますし、味わいの滑らかさにも通じますし、柔らかくてとっつきが良いイメージがあるでしょ？それでもって、その次元で葡萄がサンジョヴェーゼなら、いうことなし！と思ってしまいます。滑らかさ、柔らかさを持ちながらも、酸、タンニンもしっかりしてくる、という魅力。「陽気で明るい」というイタリアに対するステレオタイプはイタリアワインの全体像で駆逐したいと僕は思いますが、それでもマレンマ・トスカーナという、サンジョヴェーゼとティレニア海の共演が楽しめるワインは、ワインとしても緻密、だから「賢さ」も合わせ持つイメージがあります！このワインの品種はヴェルメンティーノです。トスカーナの海側での白ワインの代表者ですよね。ティレニア海を北上すれば、トスカーナ北部とリグーリア南部にかかるコッリ・ディ・ルーニ、あるいはリグーリアのチンクエテッレのブレンドワインの一角を担う葡萄です。海を隔てて、サルでーニアでは文字通り最重要の葡萄品種と言っても過言じゃないでしょ？ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラＤＯＣＧしかり。もちろん、ヴェルメンティーノはサンジョヴェーゼとは全く違いますから、一概に同じ次元の事を言えるわけではないのですがこのヴェルメンティーノを飲むと、果実の甘さ、にっこりと微笑んでくれているようなフルーツが全開してて、しかも、味わいでの骨格もしっかりして、しかも、バランスも優れていて、中身が非常に濃い感じがします。中身が濃いというのは、果実味が濃いという意味ではなく、ワインとしての質が高いと言う意味です。誰しもが好きになる果実味ですが、このメリハリの利いた味わいの素晴らしさは、その誰しもを唸らせる果実香を持つワインすべてが表現できるとは限らないからです。１０％のヴィオニエが加えられているのも、そのストラクチャーを押し出す役割を担っているのでしょうか。熟れたフルーツがありつつも、グリーンのノートも残っていますので、フレッシュさが売りのワインでもあります。気持ちの良い屋外でのパーティーのアペリティフにも良いでしょうし前菜に合わせる幅は非常に広いと思います。こういう良い果実味が出ているワインには、僕なら甲殻類系のサラダを用意したいですし、トマトクリームソースのパスタなども想像して、涎が垂れます（＾＾；）今、ティレニア海側では、新しいワイナリーの勃興が激しいですね。ちょっとついていけないくらいですが、モリス・ファームズは間違いなくその先駆者の一人であり、今も大御所的な存在感を放っている良質のワイナリーだと思います。明るく陽気な、それでいて賢いワインの造り手の代表格です（＾＾）ヴェルメンティーノ・マレンマ・トスカーナ[2008]モリスファームズ（白ワイン）価格：2,247円（税込、送料別）

  2011/01/23

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  トスカーナ伝統ワインの最高峰をこの価格であなたに！バロンチーニ社のヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ　ピエトラ・デル・ディアーヴォロ

  ブルーナ・バロンチーニは、500年の歴史を持つ、トスカーナのサン・ジミニャーノに本拠地を置く家系で（バロンチーニというからには「男爵」系の下級貴族でしょうか）、医者を目指していましたが、父親の夢を受け継ぐ形でワイナリー経営に乗り出しています。その所有するワイナリーはトスカーナ全土に及ぶものです。　サン・ジミニャーノのポデーレ・トッレ・テルツァ（キャンティ・コッリ・セネージが造られます）　カステルヌオーヴォ・ベラルデンガの　　　　　　　　　テヌータ・カズッチョ・タルレッティ（キャンティ・クラッシコを産します＾＾）　モンテプルチャーノのテヌータ・イル・ファッジェート（もちろんヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ＾＾）　モンタルチーノのポッジョ・イル・カステッラーレ（当然ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ＾＾）　マリアーノ・イン・トスカーナのファットリア・クエルチャロッサ（海側のモレッリーノ・ディ・スカンサーノです＾＾）彼女は、「すべて私の愛する”サンジョヴェーゼ”を巡る旅」と申しております。そして今や、その葡萄熱がほとんどチフスのようになってしまったんでしょうか、オリエントの遥か彼方　　グルジアにまで足を延ばしています（＾＾；）これは葡萄と人間の歴史をたどる壮大な旅ですね。で、カフカス地方くんだりで何をしているかと言うと、もちろん、手で搾り、テラコッタの発酵槽、あるいは容器で発酵させた古代ワインの再現です。現地の葡萄である「セパラーヴィseparavi」とカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドワインなんですね。いずれはサンジョヴェーゼも耕作しちゃうんでしょうか（＾＾；）ともあれ、「良質のワインを低価格で」と言う、トスカーナにおける哲学のお手本のようなワインは、彼女が主だって葡萄の面倒を見ているテヌータ・イル・ファッジェートのワインに顕著に現れていました。バロンチーニ・ヴィーノ・ノヴィレ・ディ・モンテプルチアーノイル・ファッジェート・デル・デ...価格：2,709円（税込、送料別）サンジョヴェーゼのワイン、それも現代的で洗練されたワインに欠かせないのは果実の凝縮感だと思います。色はもちろんのこと、香りにおけるフルーツもフレッシュなものではなく、煮詰めたような、甘さを凝縮した香りが感じられるべきですし、味わいにおいても、その粘性と酸、タンニンのポテンシャルと一体感は、どうしても、チェックしておきたい部分です。そして、このワインは、そういうチェックをしっかりとクリアして、それでもってこの価格？と驚かせるに足りる実力を示していると思いました。まず香りで素敵なのは、フローラルに色気があります。フローラルと言うのは、やはり「ワインの華」ですよ。葡萄からできるワインですからフルーツの香りが当然あって欲しいわけですが、そこに花の香りがかぐわしく感じられるだけでも、得した気分になるわけですが、このワインは唯の花ではなく、ドライフラワーの香りが感じられる所が素敵です。そして、サンジョヴェーゼらしいブラックチェリー、あるいは黒オリーブのような黒いニュアンスを持つ果実を感じさせてくれます。味わいのコンパクトに詰まった感じのある粘性も素晴らしいです。サンジョヴェーゼも、フランスの高貴なブドウに全く劣らない、いえそれ以上ともいえる、酸とタンニンのポテンシャルを誇る葡萄ですから、このワインの中にもしっかりと感じることが出来ますが、そのしっかりした粘性ゆえ、一体感とバランス感覚に優れています。それで、味わってみて、その銘柄が持つべき質と言うものを持っていることを確認したうえで価格を見ると、やはりびっくりすると思います。もちろん、良い意味のびっくりですね。あ、このクラスになるとテイスティングする時は少し大き目のグラスの方が良いと思います。時間の経過とともにワインの変化も楽しみたい！ラベルの馬は、彼女が愛する中国の馬だそうで、このワイナリーのワインのラベルに必ず刻まれています。それもワインのランクに従って増えるのだそう。このヴィーノ・ノービレはもちろん４つの馬。三つの馬も輸入されています。Tenuta Il Faggeto Sangiovese di Toscana Diavolettoテヌータ・イル・ファッジェート サンジョ...価格：1,240円（税込、送料別）正直、バロンチーののワインは、今までそれほど僕の中では評価が高くなかったのですが、今回この女性当主の、葡萄を巡るフットワークの軽さと、このヴィーノ・ノービレの質の高さを感じて、見直しました。単純にワインの味わいだけじゃなく、ワイナリーの在り方を知ったうえで評価することも大切なんじゃないかと思います。　

  2011/01/22

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  コストパフォーます高く北イタリア最高の葡萄品種を味わえる！ネイラーノ社のランゲ・ネッビオーロ　ボニムール

  アンジェロ・ガイアがそのクリュ（単一畑）のワインをバルバレスコＤＯＣＧからランゲＤＯＣに格下げしたことで、「ランゲ」という名前に箔がつくようになったのではないかと思います。もう15年ほど前のことですね。ランゲ　コスタ・ルッシ[1996]...価格：30,975円（税込、送料別）ランゲ地方とは、バローロ、バルバレスコ、あるいは○○○・ダルバと呼ばれるワイン達の里であり、要するにイタリア二大産地の一角であるピエモンテの中で最高のワインを産するゾーンの総称なわけですが、その頂点のワインを飲まずとも、ベース的なワインでも十分にワインの霊感に触れられる瞬間がある、「ランゲ」という言葉だけで、ワインの持つ厳格でかつ艶めかしい世界をイメージできる、そんな所だと思っています。そんなランゲの世界で欠かすことが出来ないのが、葡萄品種ネッビオーロの存在ですね。酸とタンニンの総合力なら、世界の葡萄品種の中でもトップクラス。というか、世界中の葡萄を知っているわけではないので（＾＾；）、いわゆるフランス系の葡萄との比較になりますけど。ということは・・・なんだ、酸っぱくて渋いということ？と思われるかもしれませんが、その通りです（＾＾；）酸っぱくて渋い・・・この特徴は表面的、一面的には負でありネガティブな一面なわけですが、これを畑の仕事そしてワイナリーでの醸造、つまり発酵と熟成の過程で人間の技が加わることによって、ポジティブな一面に逆転させる・・・これがワイン造りの面白さでもありその負のポテンシャルが強ければ強いほど、ひっくり返った時の素晴らしさも感じられるんですよね。ということで、「ネッビオーロってどんだけ酸っぱくて渋いねん？」と興味を持った人なら、この価格でネッビオーロのポテンシャルが分かっていただける素敵なワインをご紹介しましょう。ランゲ・ネッビオーロ　ボニムール[2...価格：1,512円（税込、送料別）その特徴である、スミレ系の花の香り、チェリー系の香り、アルコールの高さを感じさせるセメダイン系の香りは、グラスに注いでから少し時間をおいて現れると思います。そして口に含んだ時の「スッパー」「シッブー」の感覚を楽しんでください。これが楽しめるあなたの人生は非常に危険になります。大変なリスクを背負うことになるでしょう。つまり、あなたの懐具合の心配をしています（＾＾；）ともあれ、ハイリスク、ハイリターン・・・のリスクを少しでも回避するためにも、このワインにまず立ち寄ってからというのは良策だと思います（＾＾）他にバルベーラ・ダスティの魅力ピノ・ネーロ（ノワール）の魅力も、ありますが、ワインの質的には、このネイラーノ社のワインとしては、ネッビオーロが優れていると思いました。個人的な好みも多少入りますが（＾＾；）

  2011/01/21

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  隠れた存在ながら、注目に値するヴェネトワイン！カヴァルキーナ社のクストーザＤＯＣ

  ヴェローナのワインと言えば、ヴェローナ市の西から東に　　　　　バルドリーノ　　　　　ヴァルポリチェッラ　　　　　ソアーヴェと並んでいて、これがヴェローナ三大ワインとしても誰も文句はないはずなんですけど、ここに脇役としてはこれ以上名脇役もいないだろうというワインが存在しています。　　ビアンコ・ディ・クストーザ、または　クストーザです。ヴェローナと言えば、日本の琵琶湖に値する、最大の湖、ガルダ湖が西に位置していますが、その南西のヴェローナ市との中間にあるのがクストーザＤＯＣゾーンです。主要葡萄は、トレッビアーノ・トスカーノ、ガルガーネガ、フリウラーノまたはトレッビアネッロ、コルテーゼまたはビアンカ・フェルナンダ、リースリング・イタリコ、ピノ・ビアンコ、シャルドネ、マルヴァジア・・・・となるわけですが、その比率とか見てると目が回って来ます（＾＾；）この中で、ビアンカ・フェルナンダという品種があまり聞かない葡萄ですが、現地のコルテーゼの１クローンだそうです。コルテーゼといえば北西ピエモンテのガヴィＤＯＣＧの葡萄として有名なんですけど、結構アルプスの麓のイタリアでは西も東も耕作されているんですね。あと、トレッビアネッロというのもありますが、これはフリウラーノ旧名トカイ・フリウラーノの別称です。ビアンコ・ディ・クストーツァ[2009]／カヴァルキーナ価格：1,680円（税込、送料別）葡萄は、ガルガーネガ４０％、フェルナンダ３０％、トレッビアーノ１５％トレッビアネッロ１５％このクストーザのゾーンは、ヴェネトの三大産地の、特にクラッシコゾーンに比べると、平地にある生産ゾーンですね。でも、葡萄の質が高いからでしょう、決して「しゃばい」印象はありませんでしたし、むしろ個性が際立っています。グリーンのノートが強調されていて、一見ソーヴィニョン・ブラン的なんですけど、そこからナッツ系のニュアンスが出ていて、トレッビアーノなど、下手に作ると安っぽくなる葡萄を上手く醸造している印象があります。味わいも静かなんですけど「うすく」なく、ほのかで綺麗な酸味が長く余韻に残ります。繊細でエレガントなタイプのワイン。これがガルガーネガのみでガッツリ作ったソアヴェ系のワインですともう少しふくよかでストラクチャーもしっかりしてくると思うのですがクストーザは一つ下がった位置で、可憐な存在感を示しているといった印象です。魚介系のオイル系ソースのパスタに。そこにバジリコとかフレッシュな香草を利かせても美味しいやろね。バルドリーノ　スペリオーレ　サンタルチア2006価格：2,480円（税込、送料別）このワインは、まだまとまりを欠いていた印象がありました。色は強い紫色を放ち、香りでは鉛筆の芯の匂いがまず鼻をつきました。プラムやチェリー、そしてバニラ的な香りとオーク由来でしょう、やや焦げたような香りもしました。全体的にフレッシュながら複雑な味わいを呈していながらまだ落ち着いていない印象でした。でも、バルドリーノですからね、酸やタンニンは比較的落ち着いていますから、飲みやすさは十分にあると思います。白も赤も「圧倒的なコスパ」とまでは行きませんが、白のクストーザなら、ソアヴェという大きな存在の陰に咲いている小さな花を愛おしむような感覚で一度試してもらえたらと思いますし、赤のバルドリーノは、ヴァルポリチェッラとの味わいの違いを感じるために一度試して欲しいと思います。おそらくテイスティングしてすぐにそれと分かる質の違いを探し当てるのは難しいと思いますが、シンプルな作りの赤ワインの美味しさは十分に感じられると思います（＾＾）白、赤とも、ヴェローナワインの名脇役をご紹介しました。

  2011/01/20

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  セオリーはイギリス、技術はニュー・ジーランド、そして葡萄と気候、土壌はイタリアのヴェローナ！アルファ・ゼータ社のワイン！！

  　イタリアアルファゼータ　”G”　ガルガーネガ　750ml【クール便がオススメ】価格：1,080円（税込、送料別）このワイナリーの主人公は、マスター・オブ・ワインと醸造の専門家、しかも双方ともにイタリア人ではなく、英国人とニュー・ジーランド人と来る。なんといいましょうか、あまり人間臭さといいましょうかイタリア臭さがかなり抜けた、インターナショナルなマーケットを意識したワインを思い浮かべて、やや白けた気分にもなりますが、実際に彼らのワインを飲んでみると、決して悪くなく、しかもそのコストパフォーマンスや経営の在り方を見ると、良い意味で現代的な感覚を凝縮して持っているワイナリーであることが分かります。たとえば、このガルガーネガです。イタリア白ワインの中で最も有名なものの一つ「ソアーヴェ」の主要品種ですよね。この価格を見ると、あまり期待して飲むわけにはいかない訳ですが、飲んでみると、とてもクリーンで、ガルガーネガらしい青っぽい香りと花の香り、また熟れた洋ナシの混ざった綺麗な香りがはっきりと感じられます。少し空気に触れさせていると、柑橘系のニュアンスも出てきてとても清々しい気持ちになる香りを持っています。味わいも酸が突っ張っておらず、バランスに優れていて何よりも、フィニッシュの余韻の香りがソアヴェらしさをたたえています。アーモンドの香りとグリーンのニュアンス。これで、この価格ならこれは喜んで買います！デイリーワインとしては文句なしじゃないですか。赤ワインもそうです。　イタリアアルファゼータ　”C”　コルヴィーナ　750ml【クール便がオススメ】価格：1,080円（税込、送料別）このコルヴィーナはヴェローナワインの雄とも言える「アマローネ」の品種ですね。そのスタンダードヴァージョンであるヴァルポリチェッラはシンプルでクリーンなチェリーの香りが特徴的ですが、このワイン、この価格にして、すでにその香りにオークの香りが感じられて、奥行きがあるんです。それでもってこの価格なら、言うことなしですわ。トマトソース系のパスタやピッツァにも良いでしょうけどたとえば、お好み焼きとかタコ焼きとかのソース系のジャンクフードにもとっても合うと思います。それで、面白いと思ったのは、最後に紹介するシャルドネなんですけど、「面白い」というのは、僕の中ではこのシャルドネだけ、あまり納得いかないんです。★お洒落で美味しくて…コスパ抜群のイタリアンシャルドネ！‘C’　シャルドネ　アルファ・ゼー...価格：1,480円（税込、送料別）というのも、イタリアの土着ブドウと違って、シャルドネというのは、やはり田舎臭くない葡萄だと思っています。つまりフルーツがクリーンに表現されていて、味わいにも必ず、同じレベルのイタリアの土着ブドウに比べて、バランスの良さ、ある種のレベルでは品の良さ、エレガントさを持ったワインを作れるのがシャルドネだと思っているわけですがこのワイン、ちょいと味わいで粗が出ているように感じました。香りではリンゴやトロピカルフルーツのニュアンスもあって良いのですが、味わいで完全にデクレシェンドになる。やや水っぽさが感じられました。これは、シャルドネの持ち味とは違うと思うんですよね。それで、「面白い」と思ったのは、イギリス人とニュー・ジーランド人の造るイタリアワインが、実はシャルドネよりも土着ブドウのワインの方が質が高かったと言う事です。あ、もちろん、どう感じるかはあなたのセンス次第なのでこれを押し売りするつもりはありませんが、比べてみると面白い比較になること間違いありません（＾＾）ヴェネト州ヴェローナと言えばイタリアで一番裕福な街ですよね。ヴェニスの商人のお膝元、そして経済の街ミラノとそのヴェネツィアの中間に位置するヴェローナですから商売上手な人たちばかりいるイメージがありますが、イギリス人もその系統であるニュー・ジーランド人も商売やそれにまつわる人間関係も構築しやすいのかもしれません（＾＾；）最後に触れておきたいのは、このアルファ・ゼータはazienda agricola　アズィエンダ・アグリーコラという畑を所有したワイナリーではなく、ネゴシアン的に葡萄を買い取ってワインを作る業者です。もちろん、最終的なワインの出来栄えが最も重要なのですが自らが育てた葡萄をワインにするという職人的、家族的な土地とのコンタクトを重要視するよりも、ビジネスや流通に重きを置いたワイナリー、ということも一面あるということです。どこにワインを楽しむことのウエイトを置くかにもよるかもしれませんが、そういう部分も頭の片隅にとどめておきたい所です。

  2011/01/19

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  塩野七生の「十字軍物語」

  【送料無料】十字軍物語（1）価格：2,625円（税込、送料別）「ローマ人の物語」で、イタリアの、そしてヨーロッパの歴史の根幹に触れ、同時に、自分自身の歴史観、人間感の浅さを痛感させられた、エキサイティングな時間を常に提供し続けてくれた塩野七生さんの最新作です。確かに「こんな細々したことを知らなくても・・・」という気になる時もあります（＾＾；）特に今回は、地理的にイタリアからは相当に離れた「オリエント」が舞台になっている部分もあって、いささか興味が薄れる局面というものも少なくありません。それでも、読み耽っていくと、塩野七生さんの「戦争好き」といいましょうか「戦闘マニア」ともいえる説明に一緒になって参加していますし、それがディテールに及ぶからこそ見えてくる人物像なり、歴史の重みに、やはりロマンなり畏怖の念を感て、満足しているのだと思います。おそらくは、読んでからほとんどすぐに忘れ去ってしまうことばかりなのかもしれませんが（＾＾；）、それでも、一度脳の中を通過させて、何かを感じたい、あるいは、感じたことによって自分自身が獲得するであろう人間性と申しましょうか、ある種のインテリジェンスを欲しているのだと思います。また、やはりこの人の作品を読むときって　「イタリアとは何か？」というような命題を突きつけられているのだと思いますが、つまりは、それを理解しようとすればするほど、ヨーロッパ全体の事を理解しないと分からないことも多いんですよ。イタリアって、ヨーロッパの歴史の中心であり、支柱であり土台ですからね・・・。フランス人が言いだしっぺだったにせよイタリア人が、主導しつづけ、またその甘い汁を吸い続ける、「大いなる中世」について知らないのでは、やはりイタリアワインを飲む楽しみの深みも、ちょっぴり損しそうじゃないですか（＾＾；）さて、今回の無数の「知らんかった！」や言葉を失ってしまうような史実の中で、興味を持ったのは、今回取り上げられている「第一次十字軍」の主要メンバーの一人に南イタリアのノルマン人が参加していることでした。その名も　　ボエモンド・ディ・アルタヴィッラアルタヴィッラと聞くとピンと来ません？つまりは、シチリアにおいて、アラブ人から覇権を奪取したノルマンのオートヴィル家のイタリア語読みです。たとえば、最初に南イタリアを征服したアルタヴィッラ家の人物は、　ロベルト・イル・グイスカルド＝カラブリア、プーリア、　　　そしてシチリア伯で、彼とともに南イタリアを平定した弟が　　ルッジェーロ1世となって、シチリアを兄から譲り受けます。そしてルッジェーロ1世の息子のルッジェーロ2世が初代シチリア王となります。シチリアの歴史をたどると、おそらくはもっとも注目を集める時代ですね。この初代の首領ともいえるロベルト・イル・グイスカルドの長男がボエモンド・ディ・アルタヴィッラであり、彼が第一次十字軍の主だったメンバーの一人であり、結局聖地エルサレム攻防戦には立ち会ってはいませんが、その手前のアンティオキア攻略までの戦いの最功労者といっても良い人物になります。同時代に起こった大きな出来事としては、北欧のノルマン人がイギリスを征服したということ＝ノルマン・コンクエストがあり、シチリアへのノルマン人の征服行というのは、その流れの一つであったということは、面白い事実でした。また、ロベルト・イル・グイスカルドが南伊を征服行中に、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世にローマを包囲されたグレゴリオ7世を救出するためにローマに引き返しています。この教皇グレゴリオ7世と皇帝ハインリヒ4世とはあの「カノッサの屈辱」で有名な二人。（「チェーザレ第7巻」で詳しく触れられてましたな）【送料無料】チェーザレ（7）価格：780円（税込、送料別）イタリア、特に中北部の歴史をたどると必ず教皇派のグエルフィと皇帝派のギベリンの対立が土台になって来ますが、この辺りに歴史の源泉があるんですね。南イタリアの歴史上でもっとも重要な人物と言えば、おそらくその歴史遺産の多さからもその功績が伺える　　フェデリーコ2世だと思いますが、彼はこのアルタヴィッラの血と神聖ローマ皇帝つまりドイツの血の混ざった、生粋の南イタリア人なんですね（＾＾；）この人、ヨーロッパ史の中でも指折りの人物ですが、第五次十字軍を派兵して、無血でエルサレムを奪回している驚異の人ですよね。第一次十字軍と「カノッサの屈辱」、第一次十字軍とノルマン人のシチリア征服、そして第一次十字軍とフェデリーコ2世とも繋がって、またまた歴史の面白さに気付かされた次第。ともあれ、この「十字軍物語」の面白さはやはり、その繰り返されるバトルとその戦争を取り巻く国々と人物像の絡みですね。また今後もずっと考えさせられることになるんでしょうけど戦争における兵站の大切さですね。ローマ帝国の時代にはあれほど大切にされていたことが、中世になってないがしろにされてしまう。歴史とは常に人間の知性や感性を発達させるものではないことを思い知らされます。また次のバージョンが楽しみになって来ました。また毎年のように刊行されると聞きます。楽しみです（＾＾）イタリアワインを飲むなら、やはりこのボエモンド・ディ・アルタヴィッラに乾杯！ということでこのワインはいかが？　　絶世の美女が造る超マリアージュワイン!!最高評価誌が大激賞を続けるイタリア屈指の超お買い得1...価格：1,764円（税込、送料別）そのまんま、シチリアの「アルタヴィッラ」という名前のワイン。ボエモンドとコンビを組んで第一次十字軍を成功させる彼の甥にあたるタンクレーディの名を冠したワインもあります（＾＾）タンクレディ 2006 ドンナフガータ価格：4,673円（税込、送料別）どうしても歴史的な偉大な人物とワインの偉大さをつなげたくなっちゃうんですよね（＾＾）

  2011/01/18

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  近江八幡旧市街の雪景色

  朝、家の前の路地がアイスバーン状態だったので天気が良く雪解けも始まってはいたのですが、娘を保育園に送るのを徒歩にしました。そしたら雪と青空が本当に綺麗だったので、久しぶりにカメラに撮っておこうと思いました。少しご紹介します。これ、僕の家の前から、娘の保育園がある山を撮った写真。八幡堀の橋の上は、しっかりと雪と氷が残っています。ここはあまり観光客が通らないところですね。この橋の上から八幡堀と八幡山（鶴翼山）を見た写真です。娘が保育園でよく散歩をする北之庄神社。八幡山ですが、手前に橙かの柑橘系の樹がありました。今美味しい季節ですよね！娘を保育園に送って、家に戻って、家事を済ませてから自転車で撮りに出かけたのですが、まだまだ雪は残っていました。でも、今日は天気が良さそうなので、すっかりなくなってしまいそうです。

  2011/01/17

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  「地中海のイタリア」を代表する瓶内二次発酵ワイン＝マルケ州アスコリ・ピチェーノ県のヴェレノージ・ブリュット

  【新入荷おすすめ！】ヴェレノージ・ブリュット・メトド・クラシコ（発泡白ワイン）価格：2,971円（税込、送料別）もう、売り切れ直前ですな（＾＾；）イタリアではスパークリングワインのジャーナリズム的な分類の仕方として　　ポー川以北のスプマンティ　　　A Nord del Poと　　ポー川以南のスプマンティ A Sud del Poという分け方があります。もっともこれは、僕の知る限りでは、「ガンベロロッソ」というワイン誌の「スプマンティ・ディターリア」という年鑑の中でこのように分けられているだけ、ではあるんですけど（＾＾；）もうちょっと厳密にいえば、「ポー川以北のスプマンティ」は、ヴァッレ・ダオスタとピエモンテ、ロンバルディアヴェネト、ウリウリ・ヴェネツィア・ジュリア、トレンティーノ、アルト・アディジェという風に、各州が独自のコーナーにコメントを割かれているわけですが、それに対して「ポー川以南のスプマンティ」はひとくくりのコーナーで済まされています（＾＾；）紙面のページ数も「以北」は１２０ページあるのに対して面積では遥かにしのぐ「以南」は１２ページに過ぎません（＾＾；）あ、「ポー川」というのは、イタリアワインを知る上ではとても重要です。アルプスをその水源として、イタリア北部の東西の国境地帯から水を集め、アドリア海に注いでいるイタリア最大の川です。地図を見れば了解いただけるように「ポー川以北」とは「アルプスの麓のイタリア」であり、「ポー川以南」とは「地中海のイタリア」ということができると思います。主に気候的に全く違った環境にある、と言う事が言えますが気候的に全然違う事と、アルプスという存在が、「歴史」に多大なる影響を及ぼさないわけにはいかなかった訳でつまりは、人のメンタリティーもこの川の以北か以南かで随分と変わってくる、ともいえます。あ、ピエモンテのランゲ地方（バローロ、バルバレスコなど）はポー川の南ですが、これは微妙にニュアンスがずれますね。「以北的」とした方が良いかも（＾＾；）それで、スプマンテの話に戻りますが、スパークリングワインというのは、それをシステム化、ある意味工業化商業化した先駆けは文字通りフランスのシャンパーニュ地方になるわけですけど、その必然として、ワインづくりにおける「気候的劣勢」があります。つまり寒過ぎて、葡萄が熟れず、「酸っぱいワイン」しかできない産地で、この酸をいかに「洗練化」させるか、という命題を突きつけられた人間のリアクションですね。イタリアでそういう「気候的な劣勢」を感じられるのは「アルプスの麓」です。だからこそ、いっぱしのワインジャーナリズムにおいて議論の対象になりうるスプマンテが生まれる土壌というのはやはり「アルプスの麓」に集中し、逆に温暖、あるいは灼熱の太陽輝く、中部、南部のワイン、つまりは「地中海に突き出たイタリア」のワインは、伝統的にも、あるいは生産者の気概的にもスプマンテ作りからはややかけ離れた感覚があります。そういう伝統とは相反するところで、　　よ～～し、イッチョウ造ったろか！と意気込んでスプマンテを作り始めたのが、マルケ州南部アスコリ・ピチェーノ県のヴェレノージ社です。【新入荷おすすめ！】ヴェレノージ・ブリュット・メトド・クラシコ（発泡白ワイン）価格：2,971円（税込、送料別）リンゴや洋ナシのような果実の香りは、当然ながらシャンパーニュやフランチャコルタを凌ぐ豊かさがあります。そして酵母臭もしっかりと感じられます。これがなければ瓶内二次発酵ワインの価値がありません（＾＾；）味わい全体からも果実＝香り、酸は十二分にその威力が表現されていますし、またそのプロポーションは非常にイタリア的で、ふくよかなボディです。この品質にして、このワインを最高に魅力的なものにしているのが、そのコストの低さです。シャンパーニュじゃ不可能な値段じゃないでしょうか。フランチャコルタでもなかなか難しい。それでいて、もちろんワインはその土地の形が表現されていますから、その香りや味わいのプロポーションはヴァラエティー豊かになりますが、その酒質は、十分にレベルのあるワインです。こういうワインは、魚介系のカルパッチョとかね、生魚に本当に良く合いますよね！もちろん生ガキにも！ああ、よだれ垂れてきます（＾＾）あるいは甲殻類で作った前菜的な料理。テリーヌやクリーム系の料理。チーズの相性なら、思い切ってパルミジャーノ・レッジャーノなんか、僕の好きな相性ですね。このワインの生産ゾーンであるアスコリ・ピチェーノといえばオリーブにミンチ肉を詰めてフライにした　　　オリーヴェ・アスコラーネ　　　　olive ascolaneがありますね。う～～ん、合わせてみたい！！

  2011/01/16

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  ヴェネト州トレヴィーゾ県、ザルデット社のワイン

  ヴェネト州はヴェネツィアを州都にするイタリア東北部の州です。どちらの名前も、古代の先住民ウェネティイ族が語源になっています。トレヴィーゾは、その中の県名で、日本では野菜の「トレヴィス」の原産地ということで、知る人ぞ知る程度の存在でしょうか。イタリア語ではトレヴィスのことはラディッキオと言ってその種類も、ヴェローナやキオッジャとか別のヴェネトの都市の名前を冠したラディッキオもあって、その中で最も有名なのがトレヴィーゾのラディッキオということになってます。苦みのきいたサクサクした触感で、リゾットにチーズと一緒に入れると美味しいですよね（＾＾）あと、イタリアの優秀な企業でトレヴィーゾを本拠地とする会社があります。誰でも知ってるその会社とは　　ベネトン　　Beneton デ・ロンギ　　De Longhiです。緑に囲まれた、とりわけ大きいと言うわけではない静かな街ですわ。でも、世界に知れ渡る企業があるというのが、ちょっとカッコイイと思います（＾＾）さて、それで、ワインの世界となると、トレヴィーゾは断然　　プロセッコの世界となります（＾＾）これは同名の品種を用いたイタリアが誇るスパークリングワインの名前でもあるのですが、最近はＤＯＣＧにまで格上げされて、威勢がよろしいですな。品質は、もちろんシャンパーニュやフランチャコルタあるいはトレントなどのいっぱしの瓶内二次発酵のプレステージの高いものとは一線を画しますが、それだけにカジュアルで友達のように親しげな味わいにグイグイと魅かれて、毎日会っても飽きない、つきあいやすさのあるワインなんですよね！そう、毎日飲んでも絶対に飽きないし、何はともあれイタリアの素朴で高貴な保存食類に圧倒的に合います（＾＾）チーズ、サラミ、生ハム・・・、もちろんチーズはタイプにもよりますが、サラミ、生ハムなら、断然プロセッコがあなたのお役に立ちます！それで、今日ご紹介したいのがザルデット社の二つのプロセッコです。あ、すいません。僕は頭が古いので、新しい名称であるワインのコネリアーノとかヴァルドッビアーデネという名前よりも、どうしてもプロセッコが先に出てしまいます。品種名もプロセッコからグレーラと言う名前に変更したらしいですね。どうして、そういうややこしいことをしたいんだろう。やはり格付けが上がると新しいことをしたいんでしょうね。ともあれ、最初は、テイスティングではそれほど感心しなかったブリュットタイプです。イタリアNo.1シェフ溺愛!!あのミシュラン三ツ星★★★のオーダーメイド【ハウススパークリング...価格：1,764円（税込、送料別）このワインの取り絵は、ブリュット＝辛口に仕上げているだけにしっかりと感じることのできる酸の存在感ですね。こういうタイプのワインは、やはりフルーツの香りがしっかり欲しいんですが、その部分は、非常に抑えられているので、僕はあまり美味しいとは思わなかった。でも、たとえば、日本酒とかの「辛口」を好むひとには良いのではないかと思います。適度なフルーツ感があって、何はともあれ、料理を全く邪魔しないと思いますし、繊細な料理の旨味を持ち上げるだけの酸味は持ってる！でも、やはりプロセッコ（いえ、コネリアーノ、あるいはヴァルドッビアーデネと呼んだ方が正しい！）ってブリュットよりも、エクストラ・ドライの方が葡萄の持ち味やワインのタイプとしても合ってるよね！と言いたいんです。プロセッコ・コネリャーノ・ヴァルドッビアデーネ・エクストラ・ドライ X価格：2,100円（税込、送料別）これは、ブリュットよりもカテゴリー的には残糖を感じさせる味わいの「エクストラ・ドライ」に仕上げていますので酸が丸く感じて、しかも甘みによって、香りのフルーティーさもしっかりと感じることが出来ます。このほのかな甘みが、サラミや生ハムなどの豚保存食にぴったり来ると僕は感じます。パルマの生ハムやボローニャハムなどで有名なエミリア・ロマーニャの人も同じような糖度を感じさせるランブルスコを飲むじゃないですか！あと、モツ系の料理なんかにも、アウトドアでグイグイそれもコップで飲みたくなるような味わいですね。このエクストラ・ドライは、そういう意味で、デイリーワインとしては完ぺきですし、相性的にも幅の広さを誇るワインだと思います。料理と合わせる幅が広いと言う事は、万人に好まれやすいことも示しているように思います。特に、それほどマニアックにワインを楽しんでいない人も含めて、「わああ、美味しい！」と言わせる力を持ってますねこのワイン（＾＾）チーズに合わすには若干力不足かなと思える部分も否めませんがそれでも、フレッシュタイプのものから数カ月熟成のものにいたるまで、「無難に」合う事間違いありません！そうそう、トレヴィスを使ったリゾットとかね。絶対に合うと思いますし、寒いこの季節にも嬉しい逸品だと思います！材料調達の難しい人なら、クリーム系のパスタやリゾットでも良いと思います。お米のプチプチ感と、ワインのぴちぴち感を合わせてみてください（＾＾）

  2011/01/15

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  ジョン・カサヴェテスの「グロリア」

  グロリア(DVD) ◆20%OFF！価格：2,392円（税込、送料別）ずっと気になっていながら２０年来見なかった映画をようやく見ました。監督のジョン・カサヴェテスは、「刑事コロンボ」の中にも殺人を働く有名指揮者として登場していますね。なかなかにイイ男です。さて、映画ですが、カサヴェテス夫人であるジーナ・ローランズを主人公にした女ハードボイルとでも言いましょうか。一家をマフィアに皆殺しにされた一人の男の子を守るためにそのマフィアの一味でありながらも、義理人情から、破れかぶれとも言える逃避行を続けるグロリアと子供が一貫してそのそばにいて、まさに記録映画とも言えるリアリティーを「実録」しているキャメラで描かれます。観終えた率直な感想ですが、「あまりにも偉大なＢ級映画」という感じです。Ｂ級映画というのは低予算だという意味以外に何もありません。フィルムの表層からヒリヒリと立ちあがってくるリアリティーがすごいんです。ストーリーがどうのとかの理屈ではなく、ただただフィルムに収められている現実感がすごく伝わってくる。先ほど「実録」と書きましたが、まさしく記録映画でも観ているかのような感覚になります。ハリウッド映画的な躍動感というのともちょっと違う。殺しのシーン一つとっても、派手さは一つもなく、説明的なショットも一つもなく、「流れ」からすると唐突に思えるような展開の連続なのですが、それが「つながってしまっている」という感じが恐ろしいまでにすごいんです。グロリアと少年、あるいはグロリアとマフィア、など会話のシーン一つとっても、素晴らしいんです。普通ならセリフを言っている人にキャメラが向いていてセリフが終われば、相手にキャメラが向く、あるいはカットして新たにキャメラが相手に向いて、新しい会話が始まるのですが、この映画に特徴的なのはセリフを聞いている方にキャメラが向いている。そしてその言われたことに対するリアクションの表情をしっかりと撮り続けているんですね。これは確か黒澤明も言及していたことなんですが、人の表情を映画に収めていくという点では、セリフを言う人のカットよりも、言われて表情を変化させる顔を撮る方が、より映画的だと言う考え方ですね。「グロリア」ではこの点が徹底していて、心憎い感じがしました。演出と俳優の演技の一体感がその感動を生みだしていたことは言うまでもありません。あと、これは断言はしにくいのですが、「いいかげんさ」というのもこの映画の特徴だと思いますね。もちろん、良い意味なんですけど、「これ何？」と思わせるような描写があって、こちらは気に留めているんだけど結局何もなくて、こちらがはぐらかされる、という部分。決定的なのは、ラストシーンですよ。グロリアが高級車に乗って少年を墓地に迎えに来るわけですけどあれは何で？とストーリーの展開からすると、僕なんかは悩んでしまうんです（＾＾；）マフィアに楯突いて、それまでの仲間に向かって発砲し続けたグロリアが急にマフィア夫人よろしく登場する・・・・「そんなアホな」と思える半面、色んな想像力をかきたてるラストなんですよね。その点もこの映画の面白さかな、と思います。（僕の見当違いなら、ご指摘ください＾＾；）今回初めて知ったのですが、この映画ヴェネツィア映画祭で金獅子賞取ってます（＾＾；）こういう映画に最高賞を与えるのってすごく勇気がいると思うのですが、この時の審査委員長って誰だったんでしょうねえ。と、wikipediaで調べてみたら審査委員長はスーゾ・チェッキ・ダミーコと分かりました！この名前にピンとくる人は相当なイタリア映画好きでしょう。名だたるヴィスコンティ映画すべての美術監督ですよ。イタリア人としては、他にウンベルト・エーコなんてのもいる！！相当な型物的なイメージがある人たちですが、でもこの映画に金獅子賞を与えているんですね。やはり一筋縄にはいきませんわ。イタリアも映画も（＾＾；）映画も小説もストーリーというのがありますけど、真のエモーションというのは、やはりその瞬間瞬間のスリルと言いましょうか、ドキドキ感だと思います。「グロリア」にはその一瞬一瞬に現実的な緊張感が満載されています。この映画を見るあなたには、そういう映画の身震いするような至福が約束されています（＾＾）イタリアワインと合わせるなら、やはりＢ級的に作られた一級のワインということになるでしょう。残念ながら映画はＤＶＤで無限に再生が可能ですが、ワインはその点現実に味わおうとすると市場の原理に左右されないでは済まされません。しかし、「Ｂ級につくられた」って軽はずみに書きましたがいったい「Ｂ級に醸造する」ってどういう意味やねん！と自分にツッコミたい！ともあれ、大手の生産者ではなく、小さな畑で家族経営で地道に営まれているワインで、素晴らしいワインを選びましょう。【6本～送料無料】ヴィッラ　ブッチ　ヴェルディッキオ　デイ　カステッリディ　イエージ　クラ...価格：6,121円（税込、送料別）これは、イタリアの白ワインでも屈指の偉大さを持つヴェルディッキオを大御所のワインです。このミネラル感は、ワイン真髄そのものであり、このワインの魅力はイタリア真髄そのものです。果実味の抽出と畑の持ち味としてのミネラル感の凝縮。そして人間の技としての熟成感とのバランス感覚。どれをとっても、ワインのグローバリズム化に迎合しない屹立とした凄みを感じさせる頑強な魅力をたたえています。確かに、分かりやすさや表面的な美味しさはないかもしれませんが「グロリア」のジーナ・ローランズと同じく、人間としての強烈な魅力を放った、大人の魅力満載のワインなのです（＾＾）予算的にしんどい人はこちらの方を。シンプルな作りですが、素朴さと美味しさを兼ね備えたワインです。両方味わえたらより楽しい！【6本～送料無料】ブッチ　ヴェルディッキオ　デイ　カステッリディ　イエージ　スペリオーレ　...価格：2,971円（税込、送料別）

  2011/01/14

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  チルコロ=イタリアワインファンクラブ　2011年第一回その２

  ブラインドで、ワインをブランドやイメージで味わうことなく、正真正銘の「中身」と自らの感性だけで付き合わせるためのテイスティングをしています。今日は、赤ワインについて触れましょう。例によって、北部、中部、南部のイタリアワインをそれぞれ一本ずつ用意して、比べて飲んでもらいます。昨日も触れていますが、以下のコメントは、まだブラインドを解いていない段階でのコメントですので、ラベルを見ずにワインの味わいだけで感じたことです。一本目。色はオレンジ色がわずかに出ていますが、紫色も残っています。濃さというか、黒みがかった色調がありますが凝縮感はあまりなし。香りは、黒く、熟れたフレッシュ系フルーツの香り。ブラックチェリー、黒スグリ。花の香りはすみれ。アルコール感がしっかりとして鼻腔に迫力を持って入り込んでくる感じ。時間とともにややアニマル、レザーのニュアンス。あと、チョコやコーヒー的な香りも果実の中にほのかに溶け込んで来る。味わいは、酸味はしっかりしているが、タンニンはソコソコ。渋み嫌いな人には非常に「飲みやすい」ワインかも。余韻の香りにドライにしたイチジクの香りという意見も出ました。そのワインはこれ。ピエール・デッレ・ヴィーニェ・ロッソ[2003]/ボトゥロマーニョ価格：2,016円（税込、送料別）プーリア州の中部ムルジェ地方のワインです。ムルジェというのは、バーリから内陸のバジリカータなどの凝灰岩を土壌に持つ、比較的やわらかい地層を持つ地方の名前。たとえば、マテーラのサッシとか、あるいはアルベロベッロ、またはロコロトンドとか、この地方には、街ごとにユニークな形をした、つまりは地盤が軟らかいので、変幻自在に街の外観に変化をつけさせることができた、というわけ。香りの複雑味、アルコールの迫力をこれだけ持ちながらこの価格は、なかなかに破格だと思います。二つ目のワイン。外観ですが、アルコール度、粘性の高さを示す「涙」がグラスに沢山垂れています。色もしっかり、特に紫が強いので、それほど熟成させたワインでないことが分かります。香りは、プラム。クリーンな清潔感に満ちた、雑味のない香りが素晴らしい。香りは時間とともにドライフルーツに変化。プラムは干しプラムのようなニュアンスを帯びました。味わいは、1本目と違って、酸もタンニンもしっかり。洗練された細やかなタンニンがあります。酸とタンニンが、グッと出てくると、やはり飲みごたえと申しましょうか。赤ワイン真髄と申しましょうか。やはり心ウキウキするものがありました（＾＾）やはり、比べて飲むと、ワインは断然面白くなります！！このワインはこれ！【6本～送料無料】ピアンカルダ　ロッソ　コーネロ2007ガロフォリ価格：1,921円（税込、送料別）マルケ州のリーディングワイナリー、ガロフォリ社のスタンダードライン。マルケというのは、マルカの複数形ですね。だからイタリア語で表記する時は、Le Marcheと複数形の女性定冠詞を前に置きます。このマルカとは、あのシャルル・マーニュ、イタリア語でカルロ・マーニョCarlo Magno、日本語でカール大帝のカロリング朝の領地を元々は指すそうで、中世から近世に至るまで、「法王領」として、特にルネッサンスの激動期に歴史の檜舞台によく登場した場所です。たとえば、白ワインでヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエジというワインがありますね。このチルコロでも今回も過去にも何度も登場しているワインですがこのＤＯＣは、　「イエジにある城塞群」のヴェルディッキオ」という意味ですね。カステッリというのは、単数形がカステッロ、すなわちフランス語の「シャトー」ですが、貴族の優雅な別荘地のようなものを想像すると大間違い。つまりは、「戦争の要塞」のことです。マルケというのは、表向きは法王領でしたが、実際には法王に領地を任された豪族たちの小競り合いが繰り返された所でもありますから、「カステッリ」をＤＯＣ名として採用するというのは、そういう歴史的な背景を非常に意識した生産者たちの意思が見え隠れします。丘陵地の多い、本当に牧歌的な州で、近年ではマルケに別荘を買ってヴァカンスを過ごしたいというイタリア人が増えていると言います。さて、三本目に行きましょう！大体こういうテイスティングでは、最後に最もヘビーなワインを持ってくるものですが、まあ裏をかく時もあります（＾＾；）色は、薄いルビー色。今までの展開からするとずっこけそうになります・・・。香りは、実にチャーミングなチェリー。それがクリーンに発揮されているかといえば、やや「ひねり」があります。ごぼうなどの根菜を思わせる野菜香。そしてドライにしたバラやスミレ。軽いタイプであることはすぐに分かるのですが、この香りの複雑味、果実とそれ以外の香りの配合はとても美しく、微妙に官能的でもあります。味わいはそのまんまにチャーミングな酸、深みのないそれでいてほのかに感じるタンニン。素敵なプロポーションです。スレンダーなのですが麗しい感じがあります。良く熟れた、美味しそうなフレッシュチェリーを感じた時は、僕はまず北イタリアはヴェネト州の　ヴァルポリチェッラ系のワインをイメージするのですが、そういう傾向は多分にありました。それでもシンプルな造りの中にあるほのかな深みは、デイリーワインとして「お近づきになりたい！」と思わせる力が十分にありました（＾＾；）このワインです　↓【6本～送料無料】ヴァルポリチェッラ　クラシッコ　2008ヴィヴィアーニ価格：1,743円（税込、送料別）ヴェネト州ヴェローナ県の代表的なワインです。コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラという３種の葡萄品種は、ヴェローナワイン独自のもので、この地区を出るとあとは、この地の生産者が進出したアルゼンチン以外では耕作されていないのではないかと思います。そういう葡萄品種のワインが、世界に冠たるアマローネになりますし、シンプルに上手く作られるとチャーミングンで身近に置きたいワインになります（＾＾；）この３種のワインの比較テイスティングでも、個性の違いを認識できました。正解、不正解関係なく、　「ああ、違うな」　「こんなに違うって面白いな！」と感じていただけたら嬉しいですし、万が一正解出来たら　「もしかして私って、すごい？」と悦に入って貰えたら最高だと思います（＾＾）

  2011/01/13

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  2011年第一回目のチルコロ！＝イタリアワインファンクラブ　その１

  チルコロは、イタリアワインファンクラブであり、一年を通じてテーマ別にイタリアワインを飲み続ける会です（＾＾；）2011年の第一回目は、北部のヴェネト州、中部のマルケ州、そして南部のプーリア州から、それぞれ白赤ワインをそろえてブラインドテイスティングをしました。ワインの味わいを決める要素は　葡萄品種　気候　土壌　微気候　作り手の哲学、メンタリティーの交わるところと言えますから、複雑怪奇なものです。これを味わいから分析し、そのワインが何かを当てるという至難の技に挑戦しないまでも、イタリアワインを理解し、できるだけ楽しむためにも、ある程度「推理」をしてみようということで、今回は、南部、中部、北部からワインを選んで、味わい、そしてそこから得られるインスピレーションから、どの地方のワインかを当ててみる試みに挑戦しました。皆さんにご紹介するのは、テイスティングしたワインの名前、テイスティングノートですが、我々は、どのワインかは分からずに飲んでいます。チルコロでは、毎回クイズ問題を楽しんでいただいていますが３つのワインの生産地方を当てるのは、その第一問目が白ワイン、第二問目が赤ワインでした。今日は白ワインをご紹介します。一本目のワイン。これはヴェネト州を代表する屈指のワイナリーの作品です。春野菜のグリルなどに合わせたい1本マクラン　ヴェスパイオーロ　2008価格：1,943円（税込、送料別）色は薄めですが、黄金色のニュアンスが出ているのが特徴的ですね。輝きがあります。香りは、僕は青リンゴの香りがほのかに、それでいて確かに感じられ、ミネラル感もしっかり感じました。貝殻にも似た感じ。しじみとかアサリのほのかな苦みのある香りが結構しっかりと感じられました。参加者の方の意見ですと、柑橘系の皮の香り、あるいは、石灰という言葉も出ました。興味深いです。時間とともにオレンジ系の香りもふと感じました。味わいは、酸と苦みがシャープに綺麗に出ています。余韻にはフローラルな香り、あるいは蜂蜜のニュアンスのある香り（味わいじゃない）がありました。シンプルながら、ミクロなニュアンスを持った良質のワインです。やはり、酸の出方は寒い地方の、あるいは寒暖差のしっかりとある畑のワインという気がします。シャープな酸と蜂蜜のニュアンスが同時に感じられるところも秀逸です。二本目のワインはこれでした。グラヴィーナ[2009]/ボトゥロマーニョ価格：1,512円（税込、送料別）プーリア州中部で、バジリカータ州のマテーラなどに近いムルジェ地方のワインです。グラヴィーナＤＯＣ。色は一本目のワインよりもしっかりと出ています。香りは最初に「酸化した油」を感じたのですが、これはグラスに残っていた臭いでしたので（＾＾；）グラスを換えると問題ありませんでした。柑橘系の甘い香り、ユリのようなしっかりとしたフローラルな香り。同時にグリーン系の香りもしっかりとあります。時間がたつとパイナップルなどのトロピカル系の香りも出てきて、しまいにはマスカットのような香りにも変化して行きました。素晴らしい香りでした。味わいは、酸が１本目よりもこなれて、飲みやすさがあります。苦みもあります。全体にふくよかな印象が感じられましたが、あくまでもシンプルなワインとしての魅力ですね。【6本～送料無料】マクリーナ ヴェルディッキオ デイカステッリ ディ イェージクラシコ スペリ...価格：1,575円（税込、送料別）中北部、アドリア海側の、イタリア土着ブドウの雄ともいえるヴェルディッキオのワインです！色は３本の中で一番薄いタイプ。香りの第一印象はミネラルが非常にしっかりと感じられるところ。これは、石灰も貝殻も通り越して　　煮干し的な香りが感じられたので、びっくりしました（＾＾；）まず、フッとそういう香りが通り過ぎると、そこから柑橘系の香り、八朔や伊予柑のような香りがやってくる。味わいにその香りの特徴がすぐに反映されます。しょっぱいです。塩気とまではもちろん行きませんが、確かに味わいを引き締める塩気が舌の上に感じられます。やや微発泡しています。一般的には酸味がまずあって、ミネラル感は脇役で良い味を出すものですが、このワインは、酸とミネラルが同等のヴォリュームがあるような気がします。個性的であり、この価格ですでに確たるキャラクターを備えていることは非常に素晴らしいことだと思います。チルコロ酸化の皆さんは、僕の配布する資料のワインデータもその「推理」の助けにします。そしてもちろん、各品種や地方の味わいの特徴なども「ヒント」を僕のワインコメントに混ぜながら、紹介します。たとえば、「酸のシャープさは、やはり一番のワインですね」とか、マルヴァジアというマスカット系のアロマを有する葡萄品種がブレンドされていれば、そのこともほのめかしつつ２本目のワインに言及します。今回は１０名ご参加いただきましたが、正解の方も結構いらっしゃったのではないでしょうか。それで、もちろん間違っても良いんです。いえ、間違って当たり前、というスタンスです。僕にとっては、ワインが与えてくれる感性というか、言葉を自ら生んでいくこと、そのプロセスそのものが大切であって結果ではないと思いますので。ちょっと話はそれますが、正月にやっていた例の　「芸能人格付けチェック」の番組見られました（＾＾；）僕は、たまたま、朝寝坊してＴＶをつけたら、ワインコーナーが始まったところだったので、見ていたのですが、その時の石田純一のコメントが非常に良いなあと思いました。もちろんブラインドテイスティングをしながらなんですが一本目の安いワインを　「太陽の光をいっぱい浴びた素晴らしいワインです！」と、とてもワインそのものを楽しんでいる様子でした。意地悪で馬鹿な視聴者は、この時点で石田氏が間違ったものと早合点したんだと思いますが、その二本目の正解ワインを飲んだ時の彼のコメントは　「生まれて来たことを感謝したくなるようなワインです！」それで彼は正解したのですが、僕は素直でよいコメントだなと感心したんです。複雑で難解なコメントではなく、彼のワインへの愛情が良く分かるコメントだと思いました。そういう観点から外れることのないように、チルコロのワインもじゃんじゃん楽しんでいこうと思います。もちろん、自分磨きといいましょうか、ワインに対する感性を磨くという部分もとても大切ですから、感じたことを言葉にする、ある種「訓練」みたいなものも含めて、皆さんと楽しんで行ければな、と思います。赤ワインは明日書きます（＾＾）　　

  2011/01/12

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  フィリップ・シーモア・ホフマンの「カポーティ」

  2007年03月16日発売【送料無料】カポーティ コレクターズ・エディション価格：3,591円（税込、送料別）ファーストシーンの、朝の田舎の麦畑と郊外の一軒家の静かなショットの重なりを見て、この作品の風格、キャラクターを感じ取れて、気持ちが高ぶりました。映画は、不幸な幼少時代を生き、その風貌にエキセントリックで一種ホモセクシャルな雰囲気を醸し出した稀有のキャラクターを持つ作家、トルーマン・カポーティが新しく切り開いた文学ジャンルともいえるノンフィクション・ノベル「冷血」の制作過程をカポーティの人間性をあぶり出すかのように語っていきます。彼が取材しているのは、カンザス州で起こった一家殺人事件の全貌で、その取材先は、その街の保安官夫婦から容疑者の二人組、またその惨殺された家族を取り巻く環境に至りますが、とりわけ、犯人への興味、好奇心が激しく、刑務所長に賄賂を贈ってまでも、幾度となくその死刑囚と対峙するカポーティが描かれます。作品中の彼は、有能な弁護士を立ててまで、その死刑執行日を伸ばし、執筆のネタ集めを試み、いざ作品を書き終わるとその作品の完結のためにも死刑執行を望みます。強烈なエゴが静かな演出とフィリッピ・シーモア・ホフマンの抑制のきいた演技と滲み溢れる存在感によって描かれています。監督とベネット・ミラーの視点も、その人間の矛盾する複雑味を肯定することも否定することもなく、ひたすら見事な映像美の中に描き込んでいます。　同じ家で生まれた。一方は裏口から、　　　　　　　　　もう一方は表玄関から出た。これは作品中にカポーティが発する、死刑囚の一人に寄せた気持ちを語った言葉です。もちろんカポーティと死刑囚が同じ境遇、同じ感性に生まれてその出口が替わっただけで、立場を正反対にしてしまった境遇を示しています。こういった言葉やその死刑囚の願いを受け入れて、死刑執行の現場に立ち会っているカポーティは、真摯に同情と共感を持っていたに違いないのですが、一方では、作品が完結してからは、その出版日を早めたいため、死刑執行日の延期を望まず、それ以上の弁護人を探さなかった、という事も描かれています。作品中、カポーティのナルシストぶりが幾度となく描かれていますが、自らに酔うように遭遇した出来事を語るカポーティに、共演者といっしょになって、その話に引き込まれていく、その演出と演技の切れ味が素晴らしかったです。共演者として光っていたのは、彼の幼馴染で善き相談役でもあったハーパー・リーを演じたキャサリン・キーナーでした。ハーパー・リーは「アラバマ物語」でピューリッツァー賞を受賞した作家で、実際にカポーティの幼少時代の隣人で「冷血」の取材旅行を共にしています。カポーティは「冷血」をハーパー・リーに捧げて、リーは、「アラバマ物語」の登場人物の中にカポーティを登場させています。その「アラバマ物語」を映画化したもので、グレゴリー・ペックがアカデミー主演男優賞を取っているのですが、この映画の中でも、その試写会の様子が描かれていて、興味深かったです。当時のアメリカ人の売れっ子作家たちがどういう時代の空気の中で生きていたかとかも描かれていて面白かった。それは、着飾った紳士淑女が集まる社交のサロンがあったり気が向けば執筆のために「スペインに行こう」などと気軽に言える時代です。あの朗読会と言う奴も、今は存在するのでしょうか。アカデミー賞とは言わないまでも、文学と言ういわば地味な芸術に対する過剰なまでの、あの時代の熱狂を感じて興味深いです。塩野七生も息子との対談でこの映画について触れています。作家が、作品を書き上げるためには手段を選ばないのは当たり前だ、というようなことを言っていたと記憶しますが人間の中に蠢く、この種のエゴ、残酷性を非常に良く描けた映画だと思います。細かいところをぬきにしても、映像の色のセンスが特に僕には気に入りました。そしてキャメラにしても、出だしは落ち着いたアングルからのカット切り返しで重ねられる映像が、微妙な動きの中でのショットに変わってくるあたりも面白かったです。繊細で冷酷で美しい映画ですが、これはハリウッド映画です。上質のハリウッド映画にある趣味の良いエンターテイメント性と言いましょうか、観る者を全く飽きさせない脚本、キャスティング、キャメラ、演技、演出などの総合的な掛け算が結実しています。そういう映画に合わせられるワインと言うのはやはりワインづくりのグローバリズム化が最も進んだトスカーナにあるのではないか。とはいえ、この映画の「暗さ」というよりは、「冷たさ」みたいなものにワインを合わせるとすれば、海沿いの温暖な環境からできる葡萄よりは内陸の冷涼な環境から生まれる葡萄でしょう。【6本～送料無料】ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ2007アヴィニョネージ価格：4,137円（税込、送料別）アヴィニョネージは、トスカーナ南東部とウンブリア州との境にある生産ゾーンで、現地ではプルニョーロ・ジェンティーレと呼ばれているサンジョヴェーゼ種を主体にして作られる文字通りノービレ（貴族的）なワインです。果実味と熟成感のバランス素晴らしく、大きめのグラスで楽しむワインとして、またトスカーナらしさを味わう一本として、さらにまた、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノというＤＯＣＧのキャラクターを知る、その基準点になるワインとして、とてもとてもお勧めです！！カテゴリーとしてはワンランクさがるこのワインと飲み比べても面白いでしょう。しっかりとしたボリューム感が嬉しいちょっと豪華にしたいときにお薦めの1本！【6本～送料無料...価格：2,751円（税込、送料別）思いきって、カベルネとメルローをブレンドしていますが、ここでの国際葡萄と土着ブドウであるサンジョヴェーゼの共存関係は素敵です。文字通り「飲み心地の良さ」でもって、３つの葡萄が結実しています！！この映画の人間性の冷酷性に共感する余韻になら前者のノービレを。映画全体の、特に映像の美しさにストーリー流れに酔うなら後者のロッソ・アヴィニョネージを（＾＾）

  2011/01/11

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  リドリー・スコットの「プロヴァンスの贈りもの」

  プロヴァンスの贈りもの(DVD) ◆20%OFF！価格：3,948円（税込、送料別）映画が始まるや否や、どういう筋の映画かと言う事が分かってしまう映画ながら、全編にわたって楽しめてしまうというのは、やはり映画の魔法なんだと思います。第一の魔法はキャスティングでしょう。軽快なコメディータッチともいえるこの映画の主人公を演じるラッセル・クロウが良いです。軽薄で頭の切れる山師然とした都会人を楽しそうに演じていて小気味良かった。女優陣も出色です。恋人役のプロヴァンス人マリオン・コティヤールの芯の強さ、ヴィニュロンの妻の肉厚なボディー（＾＾；）そして公証人役のヴァレリア・ブルーニ・テデスキ（スピルバーグの「ミュンヘン」、あのサルコジ大統領の妻　カルラ・ブルーニの姉）の色気ムンムンとした面白さ。個々の女優の存在感なら平凡でも、その女優群としての楽しさ色気に僕はうっとり（＾＾）この映画でもっとも素晴らしい一事を挙げるとしたら、主人公の伯父役のアルバート・フィニーの存在感、演技力でしょう。「ビッグ・フィッシュ」の深く枯れた味わい。この映画の柔らかく、優しく、そして厳格に枯れた味わいは、まるで深みある個性的ワインの味わいのようです。主人公の子供時代を「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアが演じていることも、この映画を退屈でありきたりな映画に陥る危険から解放しています。キャスティングだけで、テーマ的には平凡なストーリーもほのかな夢の舞台になります。もう一つの魔法は、やはりキャメラと編集の楽しさでしょう。ハリウッド映画の面白さでもあると思いますが、流れるような動きとテンポの良いカットのつなぎが映画に独特のアクセントを生みます。主人公がプロヴァンスの伯父の別荘のプールにはまるシーンがありますが、あの軽妙なドキドキ感とコミカルなラッセル・クロウの動きと素早いカットの繰り返しは見ごたえありました。あのシークエンスで主人公なり、恋人役なりのキャラクターをも同時に表現してしまうのですから、やはり良いです、この映画。もう一つの魔法は、音楽でしょう。よく日本のイタリアンに行くと、いかにも「適当に」ジャズやボサノバがかかっていますが、この映画のＢＧＭも紙一重でありながらも、この映画の持つセンスにぴったりの空気感を演出していました。つまり、ロンドンと言う大都会と英国人の気質、そしてプロヴァンスという田舎とプロヴァンス人の気質のコントラスとというか、違いにある心地よい摩擦を表現したような音楽ですね。とても良かったです。《送料無料》（オリジナル・サウンドトラック） プロヴァンスの贈りもの(CD)価格：2,520円（税込、送料込）プロヴァンスのトラットリアを、いえビストロですかね（＾＾；）主人公の恋人が経営していますが、あのビストロの雰囲気も良いですね。ああいうところで、働きたくなってしまいます。農夫然としたヴィニュロンの家での晩餐がありますが、彼がどこの金持ちかと思わせるほどに変身しますよね。あの辺りもフランス的な匂いがして面白いです。憧れてしまいます。そういう小さな夢を見させてくれる映画ですね。ワインオタクには、多くの銘柄も、ワインのウンチク的な部分も出てくるわけではないので不満が残るかもしれませんが、それでもあの「ブドウ畑とワインの鑑定人」の言説に疑いを持つことは容易だと思いますし、英国人の「しったかぶり」のワインコメントに吹き出すこと間違いありません。リドリー・スコットのワインへの思いが凝縮しているようにも見えます。それを前面に出すことなく、脚本の中に忍び込ませている当たりも心憎い映画だと思います。ワインは当然プロヴァンスから選びたいところですが、僕はイタリアワインを勧めております（＾＾）そして地中海のフランスであるプロヴァンスは、葡萄品種の系統で言えば、イタリアのサルデーニャ島と強い関連を持っています。楽しくてウキウキするような、飲んでいる間に幸せな気分でいっぱいに満たしてくれ、色んな人に感謝したくなるような一本なら、これでしょうか。決して重くなってはいけないところがポイントです（＾＾）【6本～送料無料】アスタンジア　2002　アルベルト　ロイAstangia　2002　Alberto Loi価格：3,969円（税込、送料別）写真がなくてすいません。サルデーニャ島の中堅的なワイナリー「アルベルト・ロイ」の傑作ワイン。プロヴァンスの葡萄でもある、グルナシュはサルデーニャにおいては「カンノナウ」という名前で主要葡萄となっています。カリニャンと呼ばれる葡萄も、サルデーニャでは「カリニャーノ」という名前でこのワインにわずかにブレンドされています。どちらもサルデーニャの固有の葡萄としてイタリアでは認識されています。深みと、顕著なスパイシーさがあります。この映画のアルバート・フィニーのように、オッ！と唸らせるひねりのある個性が感じ取れるワインです。サルデーニャの素晴らしいチーズ、「ペコリーノ・サルド」とともに（＾＾）やはり、ワインと言うのは心地よい風景の野外でのんびりやるのが一番の幸せという気がします。そういう気持ち良さを映画とワインで味わいたいものです（＾＾）

  2011/01/10

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  粟津温泉紀行

  土日を利用して、僕の両親、僕の姉とその娘、そして僕の家族の8人で石川県の粟津温泉に出かけてきました。近江八幡には、正月後の雪がまだ残っていましたので、豪雪地というイメージの石川県はどうかなと少々心配しておりましたが何のことはない、滋賀県の方がよほど雪は多く、道中、車のタイヤを心配することはほとんどありませんでした。初日は、雨とみぞれと晴れが入り混じった天気でしたので雄大な虹を見ることが出来ました。粟津温泉は、かなり寂れた印象でしたが、それだけに昭和の賑わっていたころの建物が残っている部分もあり到着してすぐに敢行したランニングの時に、地元の風景を楽しみました。温泉は、熱くもなく、ぬるくもなく、ちょうど良い具合のお湯で、快適でした。まあ個人的には、あっつあっつのお湯にだんだんと慣れていったりするのが好きなので、その点では少々不満は残りましたが（＾＾；）初めての体験でしたが、足裏マッサージもしてもらいました。かなり痛い部分があって、我慢していると、「我慢しないでください」と注意されました。別に僕はＭと言うわけではないのですが、少々痛い方が、「やってもらった感」があるじゃないですか。だからずっと痛いのを我慢してやってもらってました（＾＾；）これって、身体に悪い？二日目も、朝風呂を楽しんで、朝食バイキングをたっぷりといただいてからゆっくりとチェックアウト。地元粟津の魚介系を中心とした市場と、お菓子のテーマパーク的なところを巡って、雪の舞う北陸道を通って敦賀に入り、ここも魚市場的なテーマパークに入って海鮮丼を食べて帰宅しました。ワインは飲めませんでしたが（＾＾；）、美味しい刺身そしてプレミアムモルツで、「これ以上もこれ以下もない」温泉旅行の雰囲気を満喫しました（＾＾）小さな旅でしたが、温泉を中心にして、ゆったり気分を家族水入らずで楽しめた週末でした。

  2011/01/09

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  ウルリッヒ・ミューエの「わが教え子、ヒトラー」

  わが教え子、ヒトラー デラックス版(DVD) ◆20%OFF！価格：3,192円（税込、送料別）２００７年のスイス国籍のユダヤ人監督　　ダニー・レビの作品で、崩壊寸前のベルリンで、ヒトラー最後の演説のための指導をするユダヤ人俳優を主人公にしています。レビというのは、イタリア語では「レーヴィ」ですね。アウシュビッツから生還して小説家となり、後に自殺をした（と目される）　　プリモ・レーヴィや、映画「エボリ」の原作者であり、主人公にもなった　　カルロ・レーヴィもイタリア国籍のユダヤ人。イタリアグラッパ職人の巨匠といえば故ロマーノ・レーヴィ。かれもピエモンテのユダヤ系のイタリア人ですよね。グラッパ ロマーノ・レーヴィ《A・2》価格：44,310円（税込、送料別）さて、この映画で主人公を演じるのが　　ウルリッヒ・ミューエあの「善き人のためのソナタ」で僕が大好きになった役者です。ヒトラーを題材にしたコメディーというのは、彼の存命中に唯一彼を批判しえたチャップリンの「独裁者」がありますがそれ以外では、僕は知りません。題材が題材なのでそのコメディー・センスというのはブラック以外の何物でもないのですが、何と言いましょうか、「笑えない」というのが僕の正直な感想です。それは、人類史上まれにみる残虐行為を国民一体となって暴走させた時代を扱っているからだけでも、単純にその演出が「すべっている」からでもなく、またブラックコメディーとはそもそもそういうもの、というわけでもなく、これらすべてが相混じっているからなんだと思います。　　「微妙なブラックコメディー映画」なんじゃないでしょうか。確かに、当時のドイツ人の、主人公ユダヤ人に対する優越感と衝動的でヒステリックなまでの憎悪感、そして表面的なリスペクトと内に秘めた残酷な嫌悪感・・・この映画の中ではゲッベルスを演じたシルヴェスター・グロートによって明朗に表現されていました。一人一人のキャラクター（「ハイル・ヒトラー」の右腕を挙げたポーズでギブスをしているヒムラーには素直に笑った）や、「ドイツ人とはこういうもの」といった全体主義や官僚主義の誇張した表現も良いと思います。ただ、ヒトラーへの強烈な嘲りともとれる表現は、おそらくはイスラエルのユダヤ人の視点からすると痛快なのかもしれませんしドイツ人的な視点でいうと、「笑いにすべきじゃない」ということにもなるでしょうしけれど、僕にとってはやはり表現者のサディスティックな衝動というものを感じて、あまり気持ち的には乗れなかった、というのはあります。逆にヒトラーの幼少時の虐待経験に端を発する精神的な病や孤独感がにじみ出るようなシークエンスは、そのコミカルな演出とともに素晴らしいと思いました。おそらくは、こうした相反する、ヒトラーに対する感情の表現がこの映画の生命線になっていて、その点ではとても成功している映画だと思います。これは、監督のダニー・レーヴィがスイス人ということも無関係ではないのでしょう。主人公と同様に、ヒトラーに対する強烈な殺意や憎悪嘲りの感情と同時に、ヒトラーの個人的な、特に幼少時の父親からの虐待に発する精神的な病等に対する同情や憐憫も表現しているからです。その素直な複雑な感情を、原作とは異なって、ユダヤ人に設定をした主人公を通して表現しているところが、複雑で面白いところでもあります。ラストはコメディーではなく、トラジェディーで終わるわけですが史実とは違っていても、現実と真実を表現するためにはこうでなければならなかったのです。でもコメディーと言うのは難しいですね。「笑い」というのはそれでけですでにそこに冷徹な客観視が存在しているので、表現者のインテリジェンスが出ます。重厚に、まじめにやる方が、この種の題材となると余程楽なような気がしますが、それに果敢に挑んだスイス人監督に拍手を送りたいと思います。テーマ的な重さと作風としての軽さ・・・この矛盾する極めて映画的な雰囲気を、どんなワインで合わすべきか（＾＾；）イタリア半島の、「地中海のイタリア」のワインを選ぶべきか。それとも、厳格にして厳密なワインができやすい「アルプスのイタリア」のワインを選ぶべきか。ここは、この映画がスイスの映画監督の作品ですので、シンプルにスイス国境近くのワインを選んでみます。ワインは重すぎずに、独特の軽妙感のある、それでいて、決して軽さだけではないワイン・・・。“スフルサート”ヴァルテッリーナ[2002]／ニーノ・ネグリ価格：4,410円（税込、送料別）ヴァルテッリーナは、ミラノを州都とするロンバルディアの最北ソンドリオ県のＤＯＣで、現在このスフルサットという陰干し葡萄を使用したスフルサット・ディ・ヴァルテッリーナとノーマルよりもアルコール度の高いスペリオーレのヴァージョンがＤＯＣＧに昇格しています。葡萄はキャヴェンナスカという品種ですが、実はあのバローロ、バルバレスコの葡萄「ネッビオーロ」の現地名です。アルプスの麓ですから、やはり陰干しにしてレーズン状態にしてからの葡萄を使用した方が、糖度が上がって、その分アルコールがしっかりしてきて、寒さの際立つ地方には重宝したという歴史的、気候的な経緯があったんでしょうね。ランゲ地方（アルバ、バローロ、バルバレスコなど）のネッビオーロとはやはり別物と言う感じがします。酸とタンニンが比較的しなやかなんですけど（あくまでランゲのネッビオーロに比べて）、それでいて深みと迫力も欠きません。おそらくはピエモンテのランゲ地方のワインを知っている人が飲むととても面白い体験になると思いますが、知らない人が飲んでもワインとしての質はピカイチですから、良いと思います。パルミジャーノ・レッジャーノならナイスな相性を楽しめますし、僕の好みでいえば、ブラやラスケーラなどの中間的な熟成タイプのチーズと合わせたくなるワインです。要するに本質的に上質のワインです。あまり自分でアレンジを加える料理よりも、現地で食べられているそのまんまのチーズでシンプルにやりたくなるワイン。この映画の監督のスイスに最も近いイタリアでできるワインです！

  2011/01/08

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  アン・リーの「グリーン・デスティニー」

  【25%OFF】[DVD] グリーン・デスティニー コレクターズ・エディション価格：1,486円（税込、送料別）2000年の中国、香港、台湾、アメリカの合作映画で「ブロークバック・マウンテン」のアン・リーが手がけた作品です。「緑色の運命」とでも訳せましょうか。これは映画中重要な役割を演じる剣の名前ですが、中国語では「青冥剣」。中国でも緑色のものを「青」というのでしょうか。日本人もその影響かにあるのでしょうか。たとえば、信号の青。あれって、イタリア語ならsemaforo verde・・・・つまり緑信号ですわね。英語は？野菜や草も我々は「青い」と言いますし、若さの同義語も「青い」。これヨーロッパ系ですと全部「緑」ですよね？色の近くも人や文化でそれぞれですし、微妙な感覚なずれは面白い・・・。でも、映画とはまるで関係のない話でした（＾＾；）単純な人間でスイマセン。ワイヤーアクションの走りとなった映画ですから、アクションシーンは単純に非常に楽しめました。また中国太鼓といいましょうか、和太鼓のような小気味の良いリズムとともにアクションシーンがスタートする瞬間は鳥肌ものでしたし、そのセットとキャメラの動きは感嘆に値します。夜の北京の屋根屋根を自由自在に飛び回って、格闘するシーンも圧巻でした。数あるアクションシーンの中でも、やはり竹林の中での決闘シーンは本当に美しかった。竹の持つアジア的で繊細で透き通るようなイメージと激しくも美しい決闘のシークエンスは出色でした。またあの「ブロークバック・マウンテン」でも特徴的でしたがアン・リー監督のラブシーンの演出の特徴も面白いと思いました。「柔らかくしなやか」の対極にあるでしょ？「ブロークバック」は男同士の愛情物語ですから、そういう演出になったのかと思いましたが、この映画の男女の絡みもなかなかにワイルドなんですね。肌や肉じゃなくて、骨がぶつかり合うような愛撫です。もちろん、ソフトな部分も持ちつつも、中国の大自然（実際にはどこで撮影したのでしょう）をバックにした若者二人の恋愛は「激しくぶつかり合う決闘の続編」のような風情でした。でも最後に違和感を持ってしまいました。ラストシーンで、チャン・ツィイーが恋人と最後に結ばれながらも、身を投げてしまいますよね（すいません、完全ネタばれで）。自殺がいけないと言っているんじゃないんです（＾＾；）あの霧というよりは天空の雲に覆われた橋からの投身自殺はとても美しい。しかもチャン・ツィイーの自殺なら「なんたる悲恋！」とまるでオペラのワンシーンのような抒情的シーンとして称賛しても良いくらいです。でもそこで、僕は「なんで？」と思ってしまった。自殺しなければならない理由はあったでしょうし、映画的にもまとまって「決まり！」とでも言いたいところなんでしょうけど。繰り返しますが、僕は自殺がいけないと言う観点から違和感を持ったんじゃないんです。やりたい人はどうぞ、と軽々しくは言いませんが、仕方ないですよね、と思う方です。おそらくは、彼女自身がそれまで映画の中で放っていたヴァイタリティーというか、みなぎっていた過剰なまでの力が東洋的な美意識に封じ込まれてしまったような気がしたのでした。それは洗練の極みということなのかもしれませんが、美しくまとめ過ぎたような印象を持ってしまったのです。アカデミー賞も受賞していますし、アメリカ人受けする東洋美を持った映画、ということなんでしょうかが。切腹もそうですが、滅びの美学と言いましょうか、そういうのに自己満足する世界観、美意識というのが、僕には良く分からん、というのが正直なところです。美しく自分を殺すことは、美しく自分を生かすことにつながるという理屈なんでしょうが、そういうことができずに、ボロボロになっても、生き続けている「ブロークバック・マウンテン」の主人公のような生き様に哀愁や憐憫を感じますね、僕は。「平成ポンポコ」「借りぐらしのアリエッティ」しかり・・・。キリスト教の影響も相当に大きいと思いますが。でも、位置づけとしては、「見事なアクションシーンを持った中国の壮大なオペラ」と言えましょうか。自らの心情云々よりこのドラマに乗っかって、ゆったりと楽しめば良い映画なのかもしれません。グリーンな、これ以上ないというような透明感を持ちながらも激しくぶつかり合う人間と人間の美しさ。そんな映画に合わせるワインなら、やはり洗練された、深みのある白ワインに僕なら行きつきます。ツアニ：ヴィーニュ　コッリオ　ビアンコ　[2005]価格：2,280円（税込、送料別）ツアニ：コッリオ　ビアンコ　[2005]価格：3,540円（税込、送料別）イタリアの東北部フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア。スロヴァニア国境近くでできるワインです。上のヴィーニェ（よく「ヴィーニュ」と記されていますが、イタリア語なので、そのまんま「ヴィーニェ」と読みます）はシンプルにステンレスタンクのみで醸造したわいん。黒ラベルの「ツアーニ」はフレンチオークで熟成させたインターナショナルなスタイルのワインです。当然ながら、オーク熟成の「ツアーニ」の方が果実味が凝縮して旨味、深みともにしっかりしていますからこの映画には合うと思いますが、「ヴィーニェ」の若々しいフルーティーさが満載された味わいも捨てがたい。できればパルミジャーノ・レッジャーノ、あるいはリコッタとかフレッシュなチーズとともに味わうと、この映画の静かな余韻をさらに彩ってくれると思います。【25%OFF】[Blu-ray] グリーン・デスティニー価格：3,735円（税込、送料別）

  2011/01/07

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• 息子のチャーハン

  小学校の冬休みの宿題の中には「家で料理をする」というのがあります。で、その宿題の進め方を書いた資料を見て、息子といっしょに進めた料理について感じたことを書きます。その課題には、たとえば韓国の「チヂミ」、アイヌの「オハウ」などがあったのですが、息子が選んだのはチャーハン。僕ならもっと違ったものを作ったと思うけど、普段父親の作る美味しいチャーハンに慣れていると、自分でも作ってみたい！と、なるんでしょう。って、自分で言うな・・・。レシピを見て、レタスを細かく切って、最初から他の野菜たちとしっかりと炒めてしまうことや、「うまみ調味料」が加えられるのを見て、僕はイラつくわけです（＾＾；）これ、本当にちゃんとしたレシピなの？と。またそのレシピを読みながら　「本気で食育するつもりなら、チャーハンの文化的な　　背景とか、またレタスや化学調味料を使うことの　　意味についても触れるべきちゃうのかあ？」とか　　「こんな適当なレシピで、何が教育やねん！」と、じわじわと怒りがこみ上げて来て、同時に、野菜を細かく切る段階から、面倒臭い表情まるだしの息子にもイライラしてしまって、自分でもよろしくないな、と思って、余計な感情を抜いて、とにかく「息子の宿題の手助けをしよう」という意識にシフトするよう努力しました（＾＾；）そうすると、見えて来たことがあります。この宿題は、食育などの目的でやらせているのではないな、と。つまりは、日常生活の中で、お母さん（またはお父さん）が如何に苦労して、というか、色々なプロセスを経て、一つの料理を完成させているか、それさえ感じてくれれば良い、ということなんじゃないか、と言うことです。まあ、それにしても、塩、胡椒や油の量、または火力に至るまで、何の説明も書いてないんですわ（＾＾；）それで、特に油の量で、少し多めに入れてしまって、またまだ息子はフライパンを器用に煽ったりできないので、どうしても一部分のご飯に熱がかかってしまい、出来上がりは、ふっくらとした部分とかなり強烈にパリパリで、相当に我慢強く咀嚼しなければならないチャーハンになってしまいました（＾＾；）でもね、やはり息子が作ってくれた（冬休み最後の日の昼に二人分つくってくれた）チャーハンですからね。情が伝わったこともあるのか、いえ、決してそれだけじゃなくこのご飯のパリパリ具合が僕には美味しかったんですよ。顎に力を入れないといけないぐらいの部分もありましたけど、それだけにご飯の香りも凝縮していましたし。固めのご飯って、基本的に好きなんです。家では、妻が柔らかいのが好きなので、柔らかく炊きますけど（＾＾；）「どう？」と、いつも自分の料理、外食の料理にかかわらず、批評している父親に少々警戒するように、遠慮気味に尋ねてくる息子。「ご飯、パリパリで固とうなってしまってるけど　美味しいやん。お父さん、この固さ好きやわ。」というと、「僕もそう思う！！」とニッコリ！！ささやかな、それでいて和やかで心地よい雰囲気の昼ご飯を終えて、息子はそのレポート作りに取り掛かっておりました。

  2011/01/06

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  ロン・ハワードの「ビューティフル・マインド」

  【25%OFF】[DVD] ビューティフル・マインド価格：1,969円（税込、送料別）ロン・ハワードの２００１年の作品。実在の数学者ジョン・ナッシュの半生を追ったストーリー。統合失調症によって幻覚を見、家族をも殺めかねない危険な領域までさまよう主人公をラッセル・クロウが好演しています。実際のジョン・ナッシュの写真を見なくとも、ラッセル・クロウのマッチョな体系は、超エリート学者の体つきではありません（＾＾；）なので、時折、ベッドなどで彼が見せる隆々とした上腕が、ストーリーのシリアスさを少々奪っているような感じがしたのですが、それは極々細部に過ぎないでしょうしラッセル・クロウが演じているのだから、これはラッセル・クロウの映画、と了解してその現実感とのずれを楽しむぐらいじゃないといけない。監督のロン・ハワードは、ご存知「アメリカン・グラフィティ」で華奢でハンサムな青年を演じていた人だけど、それ以降の監督作品群を見ていると、良い意味で、最もハリウッド的な監督の一人という気がしています。「スプラッシュ」のラストシーンの楽天性。「バックドラフト」の葬儀シーンの繊細な雨の演出。彼の作品群の中で今でも強く印象に残っているシークエンスです。本作品をはじめとして、原作や現実と違うとの批判が多々あるようですが「だって。映画なんだもん！」と気にとめない軽妙さを感じます。どの作品も重すぎずにキャメラの動きや編集で見せるエンターテイナー。僕の好きな、諜報員役のエド・ハリスですが、黒装束のスパイなんて本当に現実的じゃない気がするのですがそういうプッと噴出させるような感覚も、ロン・ハワードは実は確信的にやっているのだと思います。僕の意識する範囲ですと、あらゆるテーマの作品を見事に映画化してしまうリドリー・スコットと双壁です。今でこそ、それほど驚くべき映像ではないかもしれませんが天才の誉れ高くとも、論文を一本も書けず、他者を貶し、虚勢を張っていただけのジョン・ナッシュが、論文を初めて仕上げていく、小雪が舞うところから、季節が移っていく時間の流れを、ワンシーンで見せてしまうところには思わずうっとりしました。その直前の、友人チャールズが机を学寮の部屋の窓から突き落とすシーンの緊張感とともに、感動的な場面なのですが、ここが良く描かれているからこそ、後半部分の彼が精神を病んでいると判明してからのサスペンスが見事に活きていました。その後半部分・・・今まで彼の情緒を支え、また男のプライドを最高潮にくすぶってきた仕事のすべてが幻覚と分かってからの３人は本当に怖かったですね。だからラスト近くで、変人扱いされた彼に近づいていく学生とのやり取りも「また幻覚か」とドキドキするわけですが妻の視線を通じて、初めて幻覚じゃないと分かる。あのシークエンスは、ドラマ的にも、映画的にも非常に美しかったと思います。「ブロークバック・マウンテン」でも触れましたが、性のアブノーマルと精神のアブノーマルの問題は、人間社会を考える上で、最も重要なポイントだと思います。ノーマルさの中にこそあるアブノーマルだってありうるわけですし、その時代の社会システムとともに人間は取捨選択して行く以外ないわけですが、映画がその点で市民に投げかける役割は果てしなく大きいと確信しますしそういうテーマに挑みながらも、映画としてのエンターテイメント構築していこうとするロン・ハワードの気概に拍手喝さいしたいと思います。なんらかの共同体にコミットするためには、どうしても自分自身だけの力量では無理で、その精神的支えになっていた他者すべてが幻覚だった、という恐怖。大仰なことは抜きにしてもそのサスペンスで楽しめる良質の映画だと思いました。最後に、ジェニファー・コネリー扮する妻に好意を告げる時に、星を使って、ある模様を描いて「落とす」わけですがあのイメージはイケてなかった（＾＾；）逆にあの不器用な映像が数学者の恋愛的な不器用さを示しているのかもしれませんが、超エリート同士の愛のやり取りにしては、ぶっきらぼうすぎるように思えたのです。たとえ、彼の暗号解読の才能の一片を示す部分でもあったとしても、です。ワインにつなげてみましょう。醸造家は、数学者のような視線で、ブドウ畑と対峙しているのだと思います。数学が数の哲学であるとするならば、その醸造にはその普遍的な個性が常に付きまとって来るでしょう。イタリアにおける醸造家、醸造コンサルタントの権威は数多く存在しますが、その醸造家の個性を確実にワインに刻印する醸造家と言えば、彼に行きつくのではないでしょうか。好意的にいえば、彼の作品は最大公約数のワインファンを魅了しますが、少々皮肉っぽく言えば、土地の個性よりも自らのスタイルが優先する味わいを作ってしまう・・・。　カルロ・フェッリーニです。僕は彼のワインに魅了されなかったことはありません。土地の個性を強烈に盛り込みながらも、その強烈さゆえにその要素の密集さが、没個性、と一部から批判される。それでも、ワインファンからワインをあまり知らない人まで「美味しい！」と驚かせる力を必ず秘めさせる。つまり上質の「ハリウッド映画」なんですよ。どのワインも間違いなく美味しいワイン、そしてイタリア中をコンサルして回る彼の作品の中でも、この映画のシリアスさに相当するのは温暖性よりも冷涼さが際立つ地方のこのワインです！サンファビアーノ・カルチナイア　キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ　[2006]　赤価格：3,990円（税込、送料別）厳格にして優雅。深みと楽しさを余すところなく表現したような上質のキャンティ・クラッシコです！！この映画の余韻に浸るには良いバランスだと思います（＾＾；）【25%OFF】[DVD] ビューティフル・マインド

  2011/01/05

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  周防正行の「それでもボクはやってない」

  それでもボクはやってない スペシャル・エディション(DVD) ◆20%OFF！価格：5,040円（税込、送料別）２００７年公開の日本映画。「shall we ダンス？」の周防監督が１１年ぶりにメガホンを取った作品です。おおよその粗筋というのは、もうどなたも分かっていると思いますが「痴漢冤罪」についての映画ですね。それと、警察による「人質司法」と呼ばれる、完全に軟禁、拉致状態で容疑者を追いこんでいくシステムと、日本の刑事裁判に対する批判が作品に込められています。演出とキャメラ、そして俳優の演技がどれも丁寧で一級品ですね。特に主演の加瀬亮のポーカーフェイス的な表情の中に渦巻いている希望や絶望をわずかな筋肉の弛緩と緊張で表現している演技力、演出の妙、そして的確なキャメラに感心しました。演技陣では、僕の中では、裁判官役の二人が良かった。最初に登場する正名僕蔵（まさなぼくぞう）。あまりに地味な感じの風貌なので、本物の裁判官でも連れて来たのかと思いました。演技力というよりは存在感の素晴らしさ。裁判官二人目の小日向文世は、まさに演技力の人。エリート中のエリートで、プライドが高く、それでいて人間らしい人生経験に欠けているので、本質的に自分に自信がない・・・そう信じるに足りる典型的な裁判官をそのまんまに演じてて、僕はジリジリしながら見ていました。こういう真に迫る演技をすると俳優は危ないです。本当に実生活で観客に殺されかねないですから（＾＾；）小日向はそういう憎々しさを静かに演じていました。作品の中で、なるほど！と初めて知ったのですが、裁判において裁判官が「無罪」の判決を出すということは、それを立証しようとする警察、検察に楯突くこと、すなわち「国家権力に反する行為」と捉えられるんですね。だから、裁判官とはいえ人間ですから、昇進したければ国家に楯突かない方が安全です。また、弁護士の方も、９９，９％有罪になる裁判ですからやっつけ仕事をしてもどうせ有罪、万が一無罪を勝ち取ればヒーローになる。一方、検察側というのは、特に弱者としての女性が被害者となるわけですから、社会的にも支持されやすい。どう考えても、痴漢裁判の容疑者が、無罪を勝ち取ることなど無理だと言う事が納得行きます。そういう人権社会のブラックホール的な部分を周防監督は見事にあぶり出していくわけですけど、途中、何度か「人権ビデオ」を見せられているような錯覚に陥ったのも確かです。今回は、「shall we ダンス？]のようなコミカルなタッチが活きないテーマですから、ユーモアが少ないんですね。それでも、周防映画の常連である徳井優（♪勉強しまっせ、引越しのサカイ～♪）や、オカマで留置場の生活指南をする本田博太郎は良い味だしてるんですけど。　「十二人の怒れる男」のような、ストイックなスタイルで、裁判所からキャメラが一歩も外に出ない緊張感みなぎる映画もありますが、この映画のキャメラは、無罪を勝ち取るための弁護側の懸命の努力を描写するために自由に外を動き回っています。とはいえ、都会での出来事。人々のラッシュ時の行き交いや雑然とした、それでいて何の変哲もない雑居ビルのような建築物が出てくるだけで、パッとしたものを描写するわけでもない。ファーストシーンも、大都会をやや見下ろすビルの上から俯瞰して撮っています。本当に東京の何気ない日常をひたすらアングルに収めている印象です。それがこの映画の特徴であり、全体をある種のトーンに持っていくための大切なポイントでもあると思うのですが幾分退屈だったことも否めません。特徴ある表現としては、特に警視庁での取り調べのシーンでビルの外からの強烈な光を浴びた室内の、その取調官の顔、身体全体が、逆光で黒くつぶれてしまっているところがあります。これは、人間性の欠如ともうしましょうか、周防監督自身が忌み嫌う、杜撰な捜査と根拠のみで主人公を起訴してしまう恐ろしい人物への「マーキング」なのかとも思います。本当に露骨に黒くつぶれてましたもん。そういう意味では、静かな視線を浴びせているようで、実は燃えたぎるような反骨精神で、国家権力、あるいは現代社会を痛烈に批判、糾弾しようとするこの監督のモチヴェーションは明らかなのですが、だからこそそれがこの映画の命取りになっている、という気にもなるのです。「分かりやすさ」というのと同義語かもしれませんが「二元論」ということです。つまりは、善か悪かを決めつけている点ですね。アメリカ式の正義というのと一緒です。もちろん、単純にこの映画がそういう「短絡」に陥っているとも思えません。今回は準主役級だった弁護人役の役所広司に、権力側の人間の心象への理解というものをちゃんと語らせていますから。役所広司の役どころは重要ですよね。彼の全身の人間的信頼性がラストから映画が終わったあとへの「希望」へと繋がって行く気がします。現実を物語り、人々に啓蒙する・・・そういう視点ならこの映画は大成功を収めていますし、敢えて二元論的な観点から脚本を練ったことによるエンターテイメント性も良いと思います。否定的な社会、または、人間性の暗部を扱っていながらもたとえばイーストウッド映画の面白さとか、そういうのには全く及ばない感じはどこから来るのだろうと思います。とっても良くできた映画だと思うのに。おそらくは、どうしても欠くことのできなかった「啓蒙性」がやや白々しい印象を与えてしまったこと。そして日本人が持ちえなくなってしまった官能性の決定的な欠如というものが表出してしまったことに起因していると思います。日本人なんだから仕方ないじゃん、とも思わないでもないですがユーモアが少なく、セクシーさが足りなかったら、それだけで映画って、下らんものになってしまいません？と否定的なことを考えているとワインと合わせにくくなります（＾＾；）ネガティブな事は排除して、ここでキーポイントにしたいのは「都会の日常性」という点です。イタリアでは、都会と言えば、ミラノかローマ、あるいはナポリというイメージですが、東京と並べるならミラノしかないでしょう。ミラノ人＝ミラネーゼ達のデイリーワインは、昨今のモードからするとインターナショナルなワインになるのかもしれませんが、僕が滞在した時にトラットリアなどで味わったのは地元ロンバルディア州のバルベーラでした。その何の変哲のなさが、滅茶苦茶美味しくて、安価なマグナムボトルをわざわざ航空便で持ち帰ったこともあります。ソムリエの勉強をする前のことだったので本当はどれほどのものだったかは？？？ですが、帰国後イタリアンのレストラン関係の人がうまい！！と言ってくれたことは覚えています（＾＾；）そういう感じで選んでみます。つまり、ミラノ近郊のワインで、素朴でかつ酒質的にも優れたもの。こういう優れモノがありますがいかがでしょう？オルトレポ・パヴェーゼ モンテ・ブォーノ[2006]　バルバカルロ価格：3,759円（税込、送料別）バルベーラはブレンドされていませんが、マイナー品種のオンパレードです（＾＾；）生産地区はミラノのあるロンバルディア州の南部。エミリア・ロマーニャ州の北西部と、ピエモンテ州の南東部の交わる場所。　オルトレポ・パヴェーゼＤＯＣアウタリ[2004]カンティーナ・ディ・カステッジョ（赤ワイン）価格：2,478円（税込、送料別）バルベーラ種でぐっと現代的に作ったワインならこれ！複雑味と果実味の凝縮感が素晴らしい！！

  2011/01/04

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  カール・マルコヴィクスの「ヒトラーの贋札」

  ヒトラーの贋札(DVD) ◆20%OFF！価格：3,192円（税込、送料別）「個性派俳優」という言葉をよく聞きますが、このオーストリア人俳優、　カール・マルコヴィクスも、文字通りそのタイプ。彼の顔、醸し出す表情、全体の風貌そして静的で陰鬱、それでいて内に秘めた人間性の深みと広さ、強さ、そして愛憎は、「すごい個性！」と驚嘆させずにはおれません。映画は、ナチス政権崩壊前の史上最大の紙幣贋造作戦　「ベルンハルト作戦」に利用されたユダヤ人技師のグループの軌跡を扱っていますが、カール・マルコヴィクスは、紙幣偽造の責任者であり元々はナチスに逮捕された贋造のプロ。まあ、博打にも、女にも、めっぽう強い！まあ非常に男くさい役柄です。とても複雑な気分になったのは、ポンドの贋造に成功したチームが、ドルの贋造の段階で、共産主義者の仲間ブルガーの思想的な独断で、贋造が成功せず、主導するナチスの少佐に　「成功しなければ、一人ずつ銃殺して行く」と脅されて、グループに不和が巻き起こる場面です。イデオロギーに取りつかれて、仲間も、もちろん自分も含まれているわけですが、銃殺されても、ナチスにはこれ以上絶対に協力できない、というブルガーに僕は非常に悪意というか違和感を持ちました。結果的に彼の遅延行為が、ドル贋造を送らせて、ナチス崩壊を早めたともいえますし、考え方によっては、贋造をスピーディーに進めていたら、歴史は大きく反転していたかもしれない、という仮説も成り立つでしょう。映画もブルガーを決して好意的に描いているわけではありません。「仲間を犠牲にしかねない最悪な奴」というレッテルを張られています（といっても主人公を含めて二人しかそのことは知らないのですが）。でも、あの極限の状態の中で、自分自身を支えたり、あるいは支えきれなくなって自暴自棄に陥ったり、文字通り病気で立ち上がれなくなったりするユダヤ人収容者の最後の最後に残るものというのは、やはり人間としての生き方、考え方だったのだ、と思い至ると、ブルガーを責めることは決してできないのですが。というか、ユダヤ人捕虜のありとあらゆるリアクションをこの幸福な平和の世の中にいる我々が何を批評できるのだろうという気持ちにもなります。ある意味傲慢であり、ある意味贅沢で、幸せすぎるのです。それでも、称賛に値するのは主人公ソロヴィッチの「どんなことがあっても仲間を売るな。売った奴は俺が　殺す！」という確たる信念と、ある意味、ナチスに協力してでも、仲間は守り切るという強い意志です。この騒動の中で反目し合ったブルガーに彼が吐く言葉がとても心に残っています。　「今日の銃殺よりも、明日のガス室を俺は選ぶ。」強烈な言葉だと思いません？いつ殺されてもおかしくない状態を生きた人間にしか発せない言葉です。この映画のスタイルで特徴的だったのは、ブレとボケを効果的に使った手持ちキャメラが全編に駆使されていることでしょう。まさに臨場感。僕たち自身が収容所にいて、彼らの体験を目の当たりにしているような効果があります。それでも僕は、固定されているキャメラが好きです。もし動くならヴィットリオ・ストラーロ、宮川一夫のようにちゃんとレールに乗せるなり、クレーンに乗せてほしかった（＾＾；）作品の規模からいって、もちろん手持ちは非常に効果的だとは思いますが、ちょっと多用しすぎという気がしました。あのブレというのが、どうも僕は好きじゃないんです。ブレなんて自分の撮ったビデオでも見れちゃうじゃないですか。単純に好き嫌いの問題ですけど。なんか「いきってる」感じがするんですよ。気の衒いを感じる。自然じゃない感じがある・・・。ともあれ、ステファン・ルトヴィツキー監督の脚本と演出は素晴らしかったと思います。特に完全に閉ざされた贋造室の外で起こる収容所の恐怖感を、実際の映像を見せるのではなく音に耳を傾ける捕虜たちを写すことで、我々に想像させ、緊張感を増幅させるやり方は秀逸でした。収容者一人一人のキャラクターもとてもしっかりと描けていて、引き込まれました。唯一、主人公と女性との関わりの描写が弱かったように思いますが、テーマ的に深入りしすぎるとセンチメンタルに陥る危険性もありますから、良かったのかもしれません。が、やはり「性」は人間の根幹的なところでもありますし、映画の大いなるエモーションのひとつですから、見終えた後に「何か足りない」と思ってしまったのも正直なところです。それも影響してか、あるいはテーマ的な重さからか、どうもワインセレクションにエンジンがかかりません（＾＾；）ナチスドイツ時代のユダヤ人収容所を描いた映画を見て、その後にワインで余韻に浸るという行為がどうしても僕の意志にブレーキをかけるのでしょう。それでも、敢えて選んでみましょう。ヤーコポ・ポリ　サルパ・バリック・ディ　ポリ　700mlイタリア　グラッパ価格：4,032円（税込、送料別）テーマは重いものですが、やはり良い映画を観た、という充実感はお酒とともに増幅したいもの。ならば、良質のグラッパはいかが？非連続方式で丁寧に蒸留されたグラッパを、バリックで４年間熟成させた、ふくよかさと優雅さを兼ね備えた、イタリアはヴェネト州の優良生産者ポーリの作品です。「グラッパは反則やで！」と言われるなら、敢えて、これです！！“スフルサート”ヴァルテッリーナ[2002]／ニーノ・ネグリ価格：4,410円（税込、送料別）超冷涼な地域で出来るネッビオーロを、陰干しして素晴らしいワインに仕上げています。バローロでもバルバレスコでもない、それでいて厳格さがしっかりと残った、アルコール度もしっかりとしたワインです。大変コストパフォーマンスの高い、ミラノの北、スイス国境近くで出来る、「アルプスの麓のイタリア」の傑作ワインです。決して、しんみりすることなく、映画を楽しんで飲みたいものです、テーマに押しつぶされることなく。

  2011/01/03

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  フランコ・ゼッフィレッリの「ブラザー・サン・シスター・ムーン」

  　ブラザー・サン シスター・ムーン/グラハム・フォークナーDVD/洋画ドラマ価格：1,350円（税込、送料別）アッシジのサン・フランチェスコを題材にしたイタリアとイギリス合作の映画です。暗く、その闇の世界に溶け込んでいきそうな映像で、映画をひどく硬質で近寄りがたいものにしてしまったリリアーナ・カヴァーニ監督、ミッキー・ローク主演の「フランチェスコ」に比べると、アッシジのフランチェスコの持つ、和やかな愛の世界がこの作品にはにじみ出ていて、ホッとしました。監督はフランコ・ゼッフィレッリ。彼はヴィスコンティの助監督をしていた人なので、セットや衣装などへの拘りが尋常ではないですね。僕をまず魅了したのは、この映画の衣装でした。フランチェスコなどの修道士のボロ着ひとつとっても、とても精緻であるばかりでなく、デザインとしての豊かさも持っている見事さがありました。法王やその取り巻きの司教たち、はたまた市民の衣装の色と線の饗宴が、中世の薄暗い世界を描く中で、ヴァリエーションに飛んだ光を放っています。また十字軍遠征時の甲冑もすごかった。観たことのないユニークな甲冑でしたが、観ていて面白かった。そしてセットなら、圧巻だったのがラストシーン。法王庁での謁見で使われる教会なのですが、これシチリアの大聖堂の雰囲気が充満していました。金ぴかのモザイクに巨大なキリストが手を広げて、内陣奥に聳えています。どこの教会かな・・・と良く見てみるのですが、明らかに僕が観たことのない独特の大階段が法王の玉座ともいえる場所に続いています。僕が知らないだけなのかもしれませんが、あれだけのモザイクがある教会で、内陣に大階段がデザインされたものは存在しない、と思った時、これはまさしくセットじゃないかと。ならば、飛んでもないセットを作ったことになります。おそらく実写の部分とセットの部分を巧妙につなげているのでは、という気がしているのですが、資料が少なくてよく分かりません。いずれにしましても、衣装とセットという、オペラ的な世界で魅力を発揮している映画です。魅力あるといえば、キャスティングも良かった。特にキアラ（クララ）役の女優が瑞々しくて清楚で可愛い。フランチェスコの役者も純情で、ある意味放蕩息子だったボンボンがそのまま人々を虜にする聖人フランチェスコになっていく感じに好感が持てました。教皇イノケンティウス3世を演じたアレック・ギネスも良かった。小汚い隠者ともいえるフランチェスコの足に接吻をするドラマチックなラストシーンがありますが、「教皇は有能な役者なんだよ。これで貧者たちが黙る」という司教の一人のつぶやきが、イノケンティウス3世のキャラクターをよく表しています。イタリア語でinnocenzioというからには「純情で無垢」でなければならないのですが、まるで正反対ですよね。でも、それこそが法王庁の面目躍如たるものです。もうひとつ、この映画を素晴らしいものにしているのは映画のロケ撮影をアッシジなどのウンブリアの中世都市で行わずに、トスカーナのサン・ジミニャーノで敢行していることです。これは中世の摩天楼ともいえる街ですが、いわゆる一般的な石畳のイタリア中世都市を使わず、摩天楼の都市を使ったことで、映像に躍動感と、個性、そしてストーリーに厚みを加えることに成功しました。映画のストーリー、つまりは商人である父の世界に反発する部分とのかかわりからも、あの塔の街を使ったのは大正解と言わなければなりません。「なあんだ、アッシジじゃなくてサン・ジミニャーノ　じゃん！」などと憤る人は、映画を好きな人ならいないはずです。キャメラもとても良かった。かなり俳優のアップが多用されていますが、バックの石畳や雨の風景などと俳優の顔が映し出される時の美しさは、傑出していました。この辺りも、リリアーナ・カヴァーニの「フランチェスコ」の映像美とは交わらないような気がします。また、この映画を、とても見やすく面白いものにしているものの一つに音楽を加えることもできます。ドノヴァンが担当していますが、僕はこの人のことは知らなかった。現役時代のビートルズがコラボした数少ないアーティストらしいですが、このフォークソングと聖グレゴリオ讃歌をミックスしたような歌を修道士たちがずっと歌っているんですね。それが、またとても心地良いんです。製作された年代からも、またフランチェスコを囲む実際の修道士たちいた時代背景からも、初期のフランチェスコ会とは現代の「ヒッピー」であったことに容易に想像が行きつくわけですが、そういう部分をこの歌の数々でほのめかしている、とも言えると思います。「何も所有しなければ、自由になれる」映画の中で喜びに満ちあふれて説教をするフランチェスコの表情が、一瞬だけ僕の琴線に触れました。衣装とセット、キャスティングとロケーションの素晴らしさでこの映画が積み重ねて来たものが、最後に感動を与えてくれたのだと思います。イタリア人の持つ感性の中に、フランチェスコを崇める精神というものがあると思います。やはり、フランチェスコを知ることはイタリアを知ることにもなると思います。ワインですか。前回の「フランチェスコ」の時には、アッシジ周辺の見事な重厚なワインをご紹介しましたが、今回は、サン・ジミニャーノをアッシジに見立てていましので、サン・ジミニャーノのワインをご紹介しようと思ったのですが、映画にイメージにどうも合わない。それで、若々しさと美しさに溢れた海側のトスカーナから選んで見ました。これなら素晴らしい相性になるでしょう！ボルゲリ　ロッソ　2006 レ・マッキオーレ05P14Jan11価格：2,972円（税込、送料別）これは海側の陽性のトスカーナの代表的ゾーン「ボルゲリ」の有名ワイナリーのベースとなる作品です。サンジョヴェーゼだけじゃなく、フランスブドウ、特にカベルネ・フランが多いことが特徴。深みと果実味、あと酸味と香りにアクセントが付くんです！レ・マッキオーレ社のワインはバカ高いワインばかりなので「もっとリーズナブルに、それでいて我々の地域のワインを多くの人に知ってもらうため」というコンセプトのもとに作られています。トスカーナと言えば、どうしても内陸の丘陵地に目が行くところですが、ワインの世界では海側と内陸が共存することによってより見事なヴァリエーションを獲得しているのがトスカーナワインの魅力です。「ブラザー・サン・シスター・ムーン」のうっとりするような衣装とセットとともにご堪能ください！

  2011/01/02

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  新年の幕開けは遅摘みのモスカートとシチリアのアーモンド菓子で！

  　2011年　あけまして、おめでとうございます。本年もこのブログ、ならびにヴィーテ・イタリアのワインイベントを何卒よろしくお願い申し上げます。現場でワインのサービスを司るソムリエとしてのキャリアを終えて、今のように一人でセミナーやイベントを企画する仕事を始めてから、なんと、12年目に突入します。長い間、積み上げて来たものの最たる宝物は、あなたそのものです。こうして、この文章を読むに至ってくださったあなたにまず感謝したいです。自分自身の成果としては、これは、後悔と自己不信の連続であったような気もします。やはり、毎年「形として」何かを残すことを目標にしつつ、毎年やり遂げてこられなかったことは、これからの自分を考える中でとても重要な印になってくると思います。とにかく自分自身で敷いたレールは確かに存在しているんです。それをしっかり自分で踏みしめていくかです。自信を持って、イケイケ気分で前進したいと思います！！さて、新年ですが、実家に戻って、両親と姉家族と、勤務で不在の妻を除いた僕の家族で、おせちや高知県の押し寿司、はたまたタコ焼きを焼いてパーティーしました。高知の押し寿司と言うのは、姉の旦那の父方の田舎で鯖寿司も、いなり寿司も、非常に繊細で、ゆずの香りがほのかに香って、味わい深いものでした。初めての体験でした。お腹ぱんぱんになった後は、シチリアのアーモンド菓子とピエモンテのヴェンデンミア・ダルディーヴァのモスカートで楽しみました。Apianaeアピアナーエ（イタリア・白・甘口・500ml）価格：2,490円（税込、送料別）実はこの上のワインは中南部モリーゼのモスカート。僕が飲んだのは、ピエモンテはアスティ県カネッリのモスカート。そう、あのアグリトゥリズモ「ルペストゥル」のジョルジョ・チリオのワインです。マーケットには出ていません。アーモンド菓子　pasta di mandorle もショップには置いていませんね。ほのかな酸化香がマスカット系の十分に熟れたレーズン香とともに、アーモンドの香りとなって、鼻腔を戯れます。酸味はすでに非常に穏やか。まったりとした舌触りと後口に長く尾を引くレーズンやアーモンドの香りが本当に素敵です。それに対して、パスタ・ディ・マンドルレは、もう容赦のない甘みです（＾＾；）さすがはシチリアのお菓子です。アーモンドと同時にピスタッキオの香りも感じます。ややリキュール系のニュアンスもあります。外皮にまぶされた粉砂糖と相まって、本当に甘い！でも、昨今は「甘さ控えめ」という意味の分からない味わいが多いので、精神的にすっきりした、ある種の清涼感を僕は感じます。スウィーツとかドルチェとか「甘いもん」と名乗るならこれぐらい甘くしてみい！と言いたい。ホンマに「甘いもん」のお手本のようなお菓子です（＾＾；）繊細さに走りすぎると、究極のテーマがボケてくる。そんなお菓子が多すぎるので、返って、このシチリア菓子の魅力は壮大に輝いています！しかし・・・、相性に関しては、僕は失敗したと思いました。これだけ甘いお菓子に対するには、それこそべたべたに甘い南部のデザートワインを合わせるべきでした。ジョルジョ・チリオのモスカートは、非常に繊細でボディも中ぐらいからやや大きめのものですので、お菓子の甘みに凌駕されてしまいました。年の初めにこういう相性を楽しんだこともありますので、今年の僕のイベントのテーマの重要な一つとしてデザートワインとドルチェを挙げておきたいと思います。これって、予算的にしんどいんですよね（＾＾；）このジョルジョのワインだって、基本非売品ですが、ハーフで5000円しても全くおかしくない！！ワインの希少性、神秘性を考えると全く高いことはないと思うのですが、その辺りはこう言ったワインに親しんでいらっしゃる人しか、しっくりこない部分だと思います。ということは、デザートワインとデザートの相性の楽しさをもっともっと分かってもらう、そういう努力も必要であるし、その価値は十分にある！という気持ちで臨んでいきたいと思います。マルサラ・スペリオーレ・セッコ　2002　フローリオ価格：1,980円（税込、送料別）食事の後に、ゆっくりやる！この時間の流れ、2011は極めましょう！

  2011/01/01

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  ヒース・レジャーの「ブロックバック・マウンテン」

  友情と愛情の交わるところ・・・性が絡むと、それが如何に純粋で美しく、健気な思いでも、それを感じる人たち、もちろん本人も含めた様々な人たちの感情を揺さぶらず、不協和音を起こさないではすまない。この映画の面白さは、その人間感情の不協和音を二人の男の半生をじっくり追うことによって、見つめています。そして、そのブラックホールとも言える人間社会の矛盾に入り込んでしまった男たちを冷徹な目で見つめながらも、心からの憐憫と優しさで追い続けているように思いました。ブロークバック・マウンテン(DVD) ◆20%OFF！価格：1,440円（税込、送料別）中国では上映されなかった作品ですね。まあホモ映画であることは確かですけど。でも、性を越えた純愛物語という表現でも良いくらいに二人の男の感情は切実であり、喜びと苦しみに満ちあふれています。ワイオミングの山の風景が圧倒的に美しいです。そしてそこに動く、馬に乗った二人の絵が非常に綺麗です。何やら宿命めいたものがこの辺りに表現されているように思います。あの美しい風景、逆にいえば過酷な自然がない限りは美しくありえないわけで、過酷な自然と労働を通じて芽生えた感情は、都会とは極端に正反対の世界の中で起こったことだけに「自然の理」と言う以外にないよう思えるのです。でも、人間社会においては、決してノーマルに受け入れられないタブーの関係になってしまう。それにしても、昨日触れた「踊れトスカーナ！」的な世界とは次元が違いますな。今でこそ、ホモもレズも市民権を得たように見える、かつてのタブー的な世界も、イタリアに入れば、あっけらかんと日常生活の中にある。しかし、これは公然ということではないところがミソですわね。「公然と」社会の中で認めようとするのは北欧やアメリカなどのアングロサクソン系の社会です。一方「公然と」ではないけれど何気なく溶け込んでいるのが南欧的、カトリック的な世界。そこには厳然としたカトリックのタブーの掟が存在しています。タブーは外されていません。北欧アングロサクソン系はタブーを外してしまっています。人間性、つまり自分たち自身ををどうとらえるかの選択の違いは面白いですね。ラストシーンで、片方に逝かれてしまった男（ヒース・レジャー）が、離婚した妻との間にできた娘の結婚を祝福して、結婚式に出席する約束をするシーンがありますが、そこからラストシーンのクローゼットを開ける所で、僕は泣きました。誰かと繋がっているという思い=愛情が、その人の人間性、社会性を何とかギリギリのところで支えている。その人との関係性こそが自分の人生を狂わせたものであるにもかかわらず。心に沁み入る良い映画でした。ヒース・レジャーの演技も出色。アン・ハサウェイが出ているのですが、イメージが非常に都会的なイメージですし、両親とも全然似ていないので最初とても違和感があったのですが、彼女の持ち味の明るさが男を支えていく、というか、支えてしまって行くという部分が見えてきて、それも面白かったです。キャスティングも見事な映画でした。ワイオミングの素晴らしい山々が印象的でしたので、イタリア映画と合わせるのなら、やはりアルプスの麓のワインが良いです。映画のスタイルは、決して難解ではなく、非常に素直でそれでいて深く、細かく二人の男の愛情とそれに苛む人間たちを映画いていますから、深みのある美しいワインが良いです。アルプスのワインと言えば、やはりアルト・アディジェのワインですね。赤よりもやはり白の方が優位にある生産州ですが映画の深みから言って、やはりしっかりとした赤ワインが良いです。ハリウッド映画だけに土着ブドウ品種に拘る必要はない（＾＾；）ならば、これはいかがでしょうか。ソーヴィニヨン・ラフォア[2007]/コルテレンツィオ価格：4,935円（税込、送料別）イタリアで屈指のカベルネ・ソーヴィニョンですね。果実の凝縮感は尋常じゃないですし、それでいて、酸とタンニンの強さ、洗練度も並はずれています。ボルドー的な陽性なワインではなく、まさしくこの映画に相応しいしんみりとしたそれでいて重厚なタイプのワインです。2007はヴィンテージ的にまだまだ若いです。手ごろなヴィンテージもありました！コルテレンツィオ　カベルネ・ソーヴィニヨン　ラフォア　[2001]年イタリア　トレンティーノ・...価格：8,190円（税込、送料別）そこに出てくる風景、雄大な山々をイメージして探して観ると、やはり見事なワインに辿り着きました！

  2010/12/31

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  レオナルド・ピエラッチョーニの「踊れトスカーナ！」

  なんちゅうタイトルをつけんねん！！と思わず苦笑してしまいますね（＾＾；）インド映画じゃあるまいし・・・。【25%OFF】[DVD] 踊れトスカーナ!（期間限定）価格：1,126円（税込、送料別）1996年のイタリア映画。日本公開は2006年。こういう典型的イタリアど庶民コメディーが、さしたる斬新さや現代社会を突く刺激と言うものを持たずして、製作から10年もして日本で公開されると言う事をとても不思議に思います（＾＾；）とはいえ、本国イタリアではイタリアアカデミー賞ともいえるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞＝Davide di Donatelloを総なめにしたような映画です。それにしても、このセックスのあっけらかんとした陽性な、このトスカーナの田舎町を覆い尽くしている能天気な開放性とは何たるか、と思いますね。トスカーナは政治的には、かつては、ボローニャのように真っ赤っかではないにしてもかなり濃いピンク色の土地柄ですわね。父親が左翼で、3人の子供にレヴァンテ（東、陽が昇る、という意味）、セルヴァッジャ（野生の、という意味）、そしてリーベロ（自由、という意味）という、まあ聖人さんの名前をつけるのが伝統であるコテコテのカトリックの国においては非常にラディカルな名前をつけていますね。「明日への希望」という思いを込めたのでしょうか、そのレヴァンテは会計士になって、人生はすべて数字で片づけることができるという思いで、地元店舗経理の数字に追われる毎日。非常にこの辺りは皮肉が利いています。「天真爛漫」という思いを込めたのでしょうか、長女に至っては、決して美人とは言えない、ショートヘアのレズビアン。セルヴァッジャ、野性的で自然に根差すとレズビアンになる？「自由に生きる」という思いを込めたであろう、次男のリーベロはこれは先天的な知的障害とまでは言えないのでしょうがトスカーナの丘陵地にある人里離れた家で、父親の農業の手伝いをして絵が趣味というよりは「神は存在するか？」とか「神は存在した！「その証拠を掴んだ！」などという文言を書いた絵を描いたり、家族からは離れて一人暮らしする祖父から買ったという棺に入ってお茶を飲んだりと、死への思索に取りつかれたような人・・・。そして革命家であったはずの父親はすっかりと老いてて夜中のいびきで子供たちに迷惑をかけたり、なぜかいびきをすると携帯電話の電波がキャッチできたりする、という、意味の分からないエピソードが挟まれたりします。映画は、この奇妙な家族と、近隣の街の友人らの何気ないそれでいてセックスの話題に満ちた日常生活の中にスペインのフラメンコ舞踊団が舞い込んでくるのをきっかけに、新たなセックスというか恋愛のエピソードを生んでいきます（＾＾；）それにしても同性愛や浮気についてのカトリック的な反感というものがこの映画の中では駆逐されていて、実にコミカルにそれでいて寛容に扱われています。「だって、色恋沙汰やん、しゃーないやん」という感じでしょうか。それでもカトリックの教会で結婚式は挙げるわけですし、まあ誰にも迷惑かかってなかったらチャンチャンでいいやん？それよりも、フラメンコに象徴されるような性の法悦と申しましょうか、快楽、喜びを優先させましょうや！そんなメッセージなのでしょうか（＾＾；）イタリア人と言うのは、カトリック教徒でありながら、中北部には本当に左翼系の人が多いですから、左翼リベラルの典型的な喜劇です。たとえば、性の法悦こそが、社会を変革するエネルギーになりうる、というようなメッセージを持っている映画に【25%OFF】[DVD] 肉体の悪魔価格：3,780円（税込、送料別）この映画がありますが、シリアスで精神分析的で、コミカルな要素は微塵もありません。表裏一体となりながらも、同じテーマで穏健的なコミックで表現するのか、重苦しく、それでいてラディカルな形でアートとして世間に提示するのか・・・・表現の形はいくつもあれ、イタリア人と性というものが非常に日常的に陽にも陰にも結びついていることが分かります。原題の「イル・チクローネ」というのは、台風の事ですね。非常に分かりやすいです。フラメンコのグループが台風となってトスカーナの牧歌的な日常に刺激を与えるのです。「大らか」で可愛い小品ですね。主人公レヴァンテの自称元恋人を演じるトスカ・ダクイーノの性遍歴を回想した時の演技は見ものです。大笑いしました。あれは日本の女優にはできんでしょ。そう言えば、あのロベルト・ベニーニも典型的なトスカーナの喜劇俳優ですよね。「ナイト・オン・ザ・プラネット」で演じたタクシー運転手との共通性はイタリア性なのでしょうか、それともトスカーナ性と言った方が良いのでしょうか。90分の短めの映画。トスカーナの美しい丘陵風景と古い街並みそしてイタリア人の日常がストーリーの中で面白く表現されていますので、気軽に楽しめます。ワインと合わすのは、結構簡単でしょう？飲み心地の良い、軽快感のある赤ワインで、楽しめる映画ですよ。トスカーナの典型ならサンジョヴェーゼは当たり前ですが、そこを１００％にするのか、マイナー葡萄を混ぜた伝統的な感じが良いのか、あるいは国際品種を混ぜた新しいスタイルのワインが良いか、という選択になると、やはり真ん中を選びます。この映画には、トスカーナ以外の何物も共生していないからです。それでいて、登場人物から、イデオロギー的な世界まで色々と散りばめられています。すなわち、「伝統スタイル」それでいて「軽快で飲み心地の良いワイン」。ならば、これです！！大特価出ました！【6本～送料無料】キャンティクラシコ2008サン ジュスト ア レンテンナノ価格：2,499円（税込、送料別）ちょっと、シリアスなイメージでしょうかね。でもレンテンナーノのキャンティを頂くと言うことは、そのまま「トスカーナ性を飲む」と言えるような素晴らしいキャンティですし、普遍的な美しさを持ったワインなので、その意味ではこの映画には重すぎるかもしれない（＾＾；）あまり、葡萄品種に拘らずに、飲み心地重視でいいなあと思えるワインがありました。これです！！ヴィティッチオ　キャンティ・クラッシコ　[2007] 赤価格：2,079円（税込、送料別）デイリーワインとしても、気軽に友達の家に持っていく感じでもＯＫ。間違いなく軽快で飲み心地と飲みごたえもある、良質のワインです！！ああ、最後に。映画の中で、声の出演だけしかないレヴァンテのお祖父さんがいますよね。あの声の主は、またしても　マリオ・モニチェッリ！「トスカーナの休日」でダイアン・レインに、最後の最後に挨拶を送る老人であり、イタリアを代表する喜劇映画監督です。なので、この映画は細部が面白い！最後の「オーレ！！」・・・最高でしたね。

  2010/12/30

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  ルドガー・ハウアーの「ヴェネツィア・コード」

  【23%OFF！】ヴェネツィア・コード(DVD)価格：3,880円（税込、送料別）敢えて監督の名前も主演の名前も出さずに助演の俳優の名前、ルドガー・ハウアでタイトルを出しました。監督も主役も誰も知らんでしょ？2004年の製作と言うことは映画「ダヴィンチ・コード」よりも前に製作されていますよね。原題が「テンペスタ」です（＾＾；）おそらく映画「ダ・ヴィンチ・コード」のヒットに乗じて輸入された類の作品じゃないでしょうか。もちろん、舞台はヴェネツィアですし、作品のテーマというのはかのアカデミア美術館内の最高傑作とも言われるジョルジョーネの「テンペスタ」が本物か贋作かを巡る、殺人事件を発端としたドラマなのですが・・・。その絵画が制作された時の史実やジョルジョーネの人間性、あるいは贋作、本物を巡る美術館の在り方、またその美術に関与する人間の個性などが、ドラマチックに演出、表現されていれば、扱う舞台からその小道具やモチーフに至るまで、全世界の人々を魅了するべき作品になっていてもおかしくないわけですが、まあとんでもない凡作に終わっています。たとえば「テンペスタ」の神秘性というのは美術史上最高峰の謎ですわね。その辺りの掘り下げが二人＝主人公のアメリカ人美術鑑定人（スコット・ウイリアムス）とアカデミア美術館長（ルドガー・ハウア）の何気ない会話だけで済まされている。確かに、着き詰め過ぎるとややこしい部分ではありますがここに歴史の深みというものがにじみ出るというものです。ジョルジョーネ出なければならなかった訳、「テンペスタ」でなければならなかった訳、その描きが浅い。残念。また、謎の贋作製作者としてマルコム・マクダウェルが登場しています。キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」の役者ですわね。最近ですと「ココ・シャネル」で良い味出していたイギリス俳優で、この作品でも、美術館館長の娘と付き合っているセクシーで重みのあるヨーロッパ男を演じていますが、何かこうグッと来ないです。やはり、ヴェネツィアに滞在するアーティストとしての深みのあるセリフがなかったためでしょうか。その感性や技量の冴えが脚本にも演出にも見られなかった・・・。ルドガー・ハウアは、かの「ブレードランナー」でのアクション物の悪役としての役柄と「聖なる酔っ払いの伝説」でみせたシリアスなドラマでの渋い役どころを演じ分けられる素晴らしい俳優ですが、今回もその存在感は良いんですね。スクリーンに映える顔ですわ。ともあれ、世界の冠たるヴェネツィアのアカデミア美術館の館長らしいセリフに欠けますね。ある意味、二大俳優を使った良い作品になれる可能性を秘めた作品だっただけに、脚本の練りのなさは、杜撰の域を出ません。後半からラストに至っての展開は、ちょっと無理があると言うかついていけなかった・・・。美しいヴェネツィアの風景を冬の雨の風景で塗りつくした感のある全体の雰囲気作りは、なかなか面白いと思ったのですが・・・。「テンペスタ」の世界をもっと掘り下げるか、サスペンスとしての殺しのシーンをもっと面白くスピーディーに演出していくか・・・どちらともとれない煮え切らない作品になってしまってます。【23%OFF！】ヴェネツィア・コード(DVD)価格：3,880円（税込、送料別）ヴェネツィアの街並みと言うのは、他のイタリアの都市国家に比べたら遥かに陽性な雰囲気を持っていますが、その歴史や政体の在り方などを知ると、それに反比例するような、良くも悪くも人間性の暗さみたいなものも絢爛と出ている街です。中世の人工島ですから、当然ながら内陸の半島側でしかワインは作られていませんでしたが、何といっても東方貿易でヨーロッパ有数の富を築き上げた国家ですから、ギリシャからのワインの輸入、そして葡萄の樹の輸入もしています。その代表的なワインと、今日の映画「ヴェネツィア・コード」を合わせてみましょうか（＾＾；）マルヴァジア・イストリアーナ[2005]　ニコリーニ価格：5,229円（税込、送料別）素朴な果実味と、マルヴァジアらしい甘みと苦みの共存。その味わいでこの値段には僕は納得行きませんが、その希少性からすると、仕方がない気もします。ともあれ、ミネラルに富んだ、素晴らしいワインであることは確か。そして、何よりもアドリア海のイストリア半島にヴェネツィアの東方貿易によって植樹されたマルヴァジア＝マルヴァジア・イストリアーナ１００％のワインです！

  2010/12/29

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  ジョン・Ｇ・アヴィルドセンの「ロッキー５　最後のドラマ」

  シリーズ第五作、1990年の作品。第一作のジョン・Ｇ・アヴィルドセンが再びメガホンを取っています。【25%OFF】[DVD] ロッキー5 DTSエディション（初回生産限定）価格：2,243円（税込、送料別）第一作はまさに自分自身との戦い。第二作では経済的豊かさとタイトル獲得のための戦い。第三作ではアポロとの友情とタイトルへの再挑戦。第四作では冷戦をベースとしたソ連ボクサーへのアポロの仇討。だんだんと「ロッキー」第一作で見せたシンプルなロッキーの闘争に陳腐さが増してきて、この第五作でシリーズ完結になる予定で制作された映画です。テーマは、「引退したロッキーと、その弟子を巡る因縁の対決を軸にした家族ドラマ」とでもいいましょうか・・・。そう、今作品ではスタローンの実の息子がロッキーの息子役として出演してて、彼とロッキーとのやり取りと、新しい弟子とのやり取りがパラレルに進んでいく格好になっています。ロッキーは当然ながら自分の夢を託せる弟子にどんどんと肩入れして行きますが、小学校でいじめを受ける息子には「チームメイト」とうわべだけの言葉で対して、息子はロッキーから離れていきます。同時に勝ち続ける弟子にも裏切られ、彼は守銭奴プロモーターの下に去っていきます。この辺りまでの展開は、まだ観れるんです。特に息子とのやり取りなどは、子供を持つ親にとっては親身になって観てしまう部分ですし、息子とロッキーの間を取り持つ妻エイドリアンの姿も健気で感心してしまいます。経済的には最高地点から庶民の生活に戻されて、ある意味「失意のどん底に落ちる」ロッキーなのですが、師匠が残してくれたボクシングジムを再興させて、自らを経済的に支えていきます。財産を失うきっかけを作ったのは、いつもうだつの上がらない義兄のポーリーなのですが、やはり肉親には甘いイタリア系家族ですね、全く変わらない対応を取って、今回もずっと一緒にいます（＾＾；）この辺も、ロッキーらしさがあっていいと思います。やはりイタリア系なんですね。そう言えば、弟子との船出の日にイタリア系の神父のアパートを訪れて、窓越しに祝福を受けるシーンもあります。イタリア語で祝福を受けるのですが、この辺りも良い味が出てた。全体を通して「ドラマ性」では、何ら斬新さも意外さもシャープさもないのですが、じっくりと静かに見せるドラマとしては悪くない・・・なんて思っていたら、ラストのストリートファイティングのシーンで、ドヒャーっとずっこけてしまいました。最後に、悪役のプロモーターに買われた弟子と路上で殴り合いのケンカを果たすわけですが、　「これって、笑うとこ？」と自問しなければならないほどに、それまでのストーリー性が滅茶苦茶になっていて、「つきあってられんなあ」という気になってしまいました。でも、もちろん当の本人としてはド真剣なんでしょうね。ある意味、「男の意地」を見せるためには、リングでは無理となると路上しかなかったのかもしれない・・・。ストーリーの全体の滅茶苦茶さというか、支離滅裂さというかすべてにおいてイケイケで最後まで言ってしまう映画ですが、ラストシーンで、息子と、ロッキーのシンボル的な場所になっているフィラデルフィア博物館の階段を上っていく良いシーンがありました。ロッキー像の前で息子に「形見」」を渡しながらロッキーが　「生まれてきてくれてありがとう！」と言うんです。「これは使える！」と思いました（＾＾；）と言うわけで、映画全体としてはやや弛緩して、ドラマ性としても整っていない印象の映画ですが、随所、特に家族との関わりを描く場面の中には、素晴らしいシーンがあった映画だと思います。ロッキーの一途さとか真剣さが本当に伝わってきたのはやはり「息子への思い」という部分で、実の息子を使った部分だけは僕の胸にはとても響きました。スタローンの意識も、何をどう処理していいか分からない中でその切り口だけは腰を落ち着けて臨んだ印象があります。エンドタイトルで、パート１から今作品までの数シーンを白黒映像で静かに見せるわけですが、これで観客は「”ロッキー”も終わったな・・・」と思いながら観たに違いないのですが、これが最後ではなかったんですねえ（＾＾；）「ロッキー５」とワインを合わせるのはなかなかに難しいですね（＾＾；）家族愛という点で探せば、そのような家族経営のワイナリーは沢山ありますし、が・・・。この映画の「ノリ」をワインで表現するのはどうなんでしょう。出来そこないのワインを勧めるわけにも行きません（＾＾；）でも、「ロッキー」そのものの実直で何物も恐れずにファイトし続けるキャラクターをイメージすると、それらしいワインが浮かんできます。アルタヴィラ[2007]/フィリアート価格：1,554円（税込、送料別）ネロ・ダーヴォラとカベルネ・ソーヴィニョンを半分ずつブレンドしたワインですね。アルタヴィッラというのは、中世のシチリアからアラブ人を追放してキリスト教徒の覇権を復活させたノルマン人の出身地、北欧の家系「オートヴィル家」のイタリア語読みです。塩野七生の「十字軍物語」で登場する、第一次十字軍遠征の主力になるプーリアのボエモンド公は、南部イタリアを征服したロベルト・イル・グイスカルドの長男！弟が初代シチリア王ルッジェーロ一世！！【送料無料】十字軍物語（1）価格：2,625円（税込、送料別）そういう歴史を垣間見る点でも、面白いネーミングを持ったワインですね。シチリア土着のネロ・ダーヴォラと国際葡萄であるカベルネをブレンドして、フレンチオークで実に新しいスタイルでまとめ上げたワインですから、典型的なハリウッド映画を楽しむためのワインとしては最高だと思います。スタローンもシチリア系イタリア人の末裔ですしね。【25%OFF】[DVD] ロッキー5 DTSエディション（初回生産限定）価格：2,243円（税込、送料別）

  2010/12/28

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