カテゴリ:ネパール産
今日は冬至。
だんだんと短くなってきた日が、この日を境に再び勢いを盛り返す節目の日。 2005年にはうっかりしていて冬至の翌日にガネーシュ・ヒマールの真っ黒水晶を、 2006年にはブラジル・リオ・ブランデ・ド・スルの真っ白でとけているらしい タービッド・クォーツを取り上げました。 池袋直後で興奮さめやらぬ時期の、冬至という意味ありげな日なので、 どうしても、何か「これ」という、特別な石を取り上げたくなるのです。 ……というわけで、2007年の冬至は。 黒(2005)……白(2006)……ときたので、今度は黒で(笑)。 やるぞ池袋戦利品。 池袋ショーで買った、一番の高額商品。 ネーシュ・ヒマールの「黒」再び! ガネーシュ・ヒマール産水晶を扱っている店はいくつかありましたが、 その中の一つで、妙に「黒い」石を扱っているところがありました。 緑泥ぎっしり、黒に見える緑ではなく、 「どんな色」と言われれば「透明」の範疇に入ってしまうのですが、 薄墨色……というか、普通の無色透明石と比較すると「黒い」。 「なんか、迫力のある透明だな」 ……と思って見ていたところ、その棚の中にいました、黒の親玉。 お店の人は、この黒の原因が何かわからないとっしゃっていましたが、 私は、おそらく例の「黒クローライト」ではないかと思っています。 漆黒というよりは、黒に近いつや消しグレイ。 鈍く光を反射する、荒々しい岸壁のような表情。 これは……このタイプは、初めて見ます。 2005年に紹介した「漆黒ガネーシュ」は、とんがり型の黒でした。 対して今回のはカテドラル・タイプの、ガネーシュ産で分類するならずんぐり型。 これまで、緑泥の内包がほぼ見られないと思っていたタイプの結晶であると思われます。 そこで、黒。 もしかしたら、また新たな場所からの産出があったのかもしれません。 今後、新たな石が見られるようになるのも嬉しいですが、 それよりも、ぢすきなヒマラヤ水晶、その中でもガネーシュヒマール、 ワイルドな表情で、しかも黒。 逃せません。 さて、この黒が内包物による色であることは、 ある角度から見ると、そのようすがファントムとなって見えていることでも明らかです。 ファントムの層までは写りませんでしたが、 ベースは透明水晶で、途中から黒が内包物として含まれていることがわかります。 つまり、この水晶は半分は不透明黒で、半分は透明なのです。 くるりと裏返して透明な方から見ると、表情が変わります。 ちょっと順番が前後しましたが、この石の高さは10.5センチ、幅6.5センチ、厚みは4センチ、 やや平べったく、両端下部が破断面と剥離面であるため、 根本が細く、上に行くに従って大きくふくらむ、奇妙な形をしています。 ただし、写真の前面に写っている、襞をたたんだように複雑に凸凹している面 は、 破断面ではなくて、れっきとした結晶面です。 この部分から透明な層を透かして見える黒は、とても不思議な感じに見えます。 光の奥の黒、光を内包した黒。 光と闇、というとよけいなイメージをかきたてそうなのであえて「黒」と言いますが、 光(透明)と黒という一見相反する要素が、 不思議なバランスでひとつになっているのです。 一陽来復、陰が極まって再び陽が帰ってくる日。 私のイメージでは、この石はまさしく「冬至」の石であるように思われます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|