カテゴリ:インド産
2006年末の池袋戦利品。 インドの水晶クラスターです。 大きさは、底面の直径5センチほど。 形はこんもり半球形の「まんじゅう型」。 この石を買ったのには、いくつか理由があります。 まずはもちろん形。水晶クラスターは、 結晶があっち向きこち向き好き勝手に生えていて、 形が整った綺麗なものは、意外に少ないです。 しかし、この石は柱面こそ短いものの、 きれいに半球系でなかなかいい感じ。 もう一つの理由は、まずは別のお店にありました。 ブラジル産の石を扱うその店に、 今回ちょっと珍しい(らしい)石が出ていたのです。 名前は「プラシオライト」。水晶です。 一般にアメジストを加熱すると黄色く変色し、 そのようにして加工された「シトリン」が売られていることもあります。 ところが、すべてのアメジストが加熱すれば華やかな黄色になるのではなくて、 色がほとんど消えてしまったり、茶色っぽくなったり、 茶色と言うより「赤」だったり、変化の具合は産地によって違うようです。 その中に、加熱することで淡い緑色に変化するものがあり、 緑色になったものが「プラシオライト」と呼ばれます。 最近、「グリーン・アメジスト」や「プラシオライト」の名前で 透明ミントグリーンのビーズが売られていますが、 あれは、(ガラスでなければ)加熱によって緑色になった 本来のプラシオライトとちょっと違うようです。 最近多く見かけるこの緑色の水晶は、ある種のアメジストに 放射線と加熱の加工を施して色を変えているらしいのです。 加熱のみで緑色になったものがプラシオライトなので、 保斜線加工を施されているものは、厳密にはプラシオライトではないのです。 参考:http://www.gaaj-zenhokyo.co.jp/researchroom/kanbetu/2006/2006_05-01.html さて、この場合の「加熱」とは、人工的なものも含みます。 ところが、地殻変動に伴う地熱によって天然の状態で加熱され 緑色に変色しているものも、ごくまれにあるのだそうです。 今回出ていたのは、この「天然プラシオライト」だということでした。 念のために申し上げておきますと、その水晶は見た目ほとんど白。 「プラシオライト(グリーン・アメジスト)」と聞いて想像する 淡いきれいな緑色ではなくて、 言われなければ普通の水晶だと思ったしまいそうな色でした。 しかし、言われて、少し離れたところから全体を見ると、 なんとなーく緑。 緑色、とはっきり言えるような色ではないけれど 「緑がかっているかもしれない」と思える色でした。 「これをちゃんと加熱すればきれいな緑になるはずなんだけどね」 ……ということだったので、 要するに元はアメジストだったものの色が消え、 何となく緑に変色しかけの状態ということだったのでしょう。 その石は、両手どころか抱えて持たなければ行けないような大きさで、 値段ももちろんご立派だったので、とても手が出なかったので、 「ほー、これが天然プラシオライトか……」と目の保養。 さて、そのお店を離れて会場をぐるぐるしていると、 インドの石を置いているお店で、一緒にいた石好きさんが見つけました。 「ねえ、これってもしかして……」 それが写真の石です。 形は前述した通りのこんもり半球形。 一緒に置いていたのが沸石類だったので、 産地はおそらくジャルガオン州などのインド南部。 そこで出てくる水晶には、アメジストがあります。 そう考えると、こんもりして柱面が短いつくつくした結晶の形は、 アメジストでよく見かけます。 色もさっきブラジルのお店で見た天然プラシオライトに似通った、 「もしかしたら緑色」……に見えるような。 あまりにデリケードな色なので、写真には写し取れていません。 「もしかしたら」を抜いても、ととのってきれいなかわいい水晶だし、 なんとお値段500円だし。 「買っちゃえ~♪」 何食わぬ顔で(掘り出し物であっても、買うときは冷静に)買い込み、 ブラジル石のお店にとって返し、 「これって、もしかしたら」と、見ていただいてしまいました。 目で見ただけのチェックですが、 ブラジル産もインド南部産もバサルト(玄武岩)を 母岩にして結晶しているというよく似た環境下で結晶しているし、 色も形も似ているので、 もしかしたらプラシオライトかも……と言っていただきました。 宝飾品の基準ではとてもプラシオライトと言えるようなものではありませんが、 鉱物として、天然で色が緑になるものがあると言うこと、 産地、形、玄武岩という共通項。 いろいろ考えるポイントになりそうな石だということで、 これはこれで「……かもしれない」という魅力を持った石なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/01/11 11:42:26 PM
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