カテゴリ:インド産
インドのクル渓谷の範囲内(パルバティ渓谷の範囲内?)から、
アイスクリスタルの名前で知られる触像水晶が出ます。 表面が鉄分でほんのりピンクのものがあり、 柱面や結晶の先端が溶けています。 中には溶けすぎて、水晶だかなんだかわからなくなってしまったものもあります。 この溶けすぎた欠片状のものの中には、 なぜか層状になっているものがあります。 写真のように明確に層状になっていなくても、無秩序に溶けたようでいて、 そういわれれば何となく層状……に見えるものがあるのです。 さて、ここで問題です。 この「層状」の向きは、元の結晶に対して縦だったのでしょうか。 それとも横だったのでしょうか。 私は、最初の写真のようすから、何となく「横だろう」と思っていました。 ……が。 この写真の石をよくご覧ください。わかりにくいですが、 写真の上下は結晶の上下とだいたい同じ方向です。 わずかに面が残っていて、結晶の方向がわかりました。 そしてこの水晶の最大の見所は、 みごとに層状、縦方向! そうです。アイスクリスタルは、なんと縦方向に層状に溶けるのです。 「えッ、た、縦!?」 と、びっくりして他の結晶で確認してみましたが、 層状に溶けているもので、結晶の向きが確認できるものは、 縦が多いようでした。 中には、錐面のとんがりがかなりきれいに残っているのに、 結晶の根本から縦方向への浸食が始まっているものもありました。 中には、錐面が溶け残っていると思ったら、 溶けたところが元の水晶のようなとんがり形状になっているものもあり、 すべてが層状に溶けるとは限らないようですが、 同じ産地でことごとく溶けていて、 しかも溶け方にはパターンが複数あり、層状に溶けるものはなんと「縦」! なんておもしろい水晶なんだ! この産地の水晶は「▽」が見られることでも知られていますが、 もう、「▽」よりも溶け方そのものがおもしろい! さて、水晶がとけたことで現れる「▽」ですが、 すべての水晶に「▽」が出るわけではないそうです。 格子欠陥、私がおおざっぱに理解してみたところでは、 水晶が結晶していく際、「SiO2(二酸化珪素)」という成分が 規則正しく幹合わさっていくわけですが(これが結晶するということ)、 ときどきうまく組み合わさらない「ボタンの掛け違い」のようなものがおこり、 それが、溶けたときに溶け方の特徴となって現れるらしいのです。 つまり、きれいな結晶だったときにはわからない、 結晶の「癖」が溶けて初めて暴かれる、とでもいいましょうか。 この理解が正しいとしたら、 マニカラン産の水晶は、ものすごく癖ありの水晶ではないでしょうか。 よッ、このくせ者!(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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