カテゴリ:ネパール産
久しぶりに、ガネーシュ・ヒマール産ヒマラヤ水晶。 このところ、黒っぽい付着物によって薄墨色に見えるものや、 透明カテドラル/エレスチャル系、 表面虎縞系(虎縞と言いたいような凸凹がある)、 触像ものなど、いろいろ新たなタイプが続々登場しているので、 買える買えないにかかわらず、要監視。 逆に、従来の「ああ、ガネーシュ・ヒマールっぽい」といいたい ずんぐり系や、深い色合いの緑泥入りが少ない、 または「おっ!?」と思えるものが少なくなった(←見慣れたせい?)ような気がします。 今回の石は、以前に手に入れた「ガネーシュっぽい深緑系緑泥入り」 2~3センチくらいの長さのDT(両錐)がアクロバティックにくっついています。 水晶の形の名前に「ブリッジ」というのがあります。 たいていは水晶に別の小さな水晶が刺さったもの (KURO的わがまま規定を適用すれば、刺さっている内部が見えるもの) のことだそうですが、 お世話になっている石屋さんが言うには、 二つの結晶を橋渡しするように結晶したもの だというのです。 前者は「石のない部と外部を橋渡し」と考えて自分を納得させていますが、 後者の方が見た目にも「ブリッジ」。 「けっこう少ないんだよ」ともおっしゃっていましたが、 写真のガネーシュ・ヒマールは、見事に「見た目ブリッジ」な形状です。 そして……今回は水晶についての新たな「推測」をば。 写真の石は、結晶の先端には緑泥が内包されていません。 緑泥部分と緑泥なし部分は、複数の結晶にまたがって一定ラインで分かれています。 こういう石はよく見かけるのですが、いったいどうやって結晶したものか。 水晶の結晶している間に緑泥が不着し続けたなら、 緑泥のあり/なしの境目はファントムのようになりそうなものです。 しかし、ファントムではない。 疑問に思っていたら、おもしろい話を聞きました。 ガネーシュ・ヒマール産の水晶ではないのですが、 小さなDT(両錐)結晶が集まったクラスターがあり、 ぐるりと見てみても、どこにも母岩との接触痕がありませんでした。 「どうやって結晶したのかねえ」と首をひねっていたら、 石屋さん曰く、 「ゲル状の中で結晶したんじゃないかな」 えーと。 一般的に水晶(石英)は高温高圧の熱水の中で結晶すると考えられています。 熱水と聞いて、自動的に「超高温の温泉」を想像していました。 たぶん、いろいろな鉱物がとけこんだり、 もしかしたら別の鉱物の結晶が漂ったりしているかもしれませんが、 感触としてはサラサラした熱水、混ざっていても泥水程度、という感じです。 それが、ゲル状? 「それは……どろどろゼリー状の中で結晶してるってことですか?」 「そうそう、そんな感じ」 そんなことがあるんでしょうか……いや、地中深くの高温高圧の環境下(たぶん)で 水晶が結晶していくようすを、直に観察した人などいないのですから、 ないとは言い切れない。 それよりもどろどろゼリーの中で……という状態があり得るのなら、 ふわふわたなびいたルチルやぴらぴらバイオタイト(黒雲母)が水晶の中に、 そのままの状態で内包されているわけも、なんだか納得できそうです。 「熱水」がさらさら温泉状と考えるから、たなびきルチルが徐々に 水晶に飲み込まれていくようすが想像できないのであって、 「熱水」がどろどろゼリーなら、細い細いルチルは、 たなびいていてもそのゼリーにしっかり支えられていたでしょう。 それに、周りがゼリーくらいに固まっていた(?)なら、 水晶も意外に早く大きく成長したかもしれません。 そこで、さらに考えました。 題して「緑泥あんかけ説」! 写真の水晶が成長した環境が、どろどろゼリー状熱水だったとしましょう。 地下の熱水には、たくさんの鉱物がとけこんでいます。 最終的に緑泥が内包されていたのですから、もちろん緑泥があったはずです。 緑泥は、水晶よりも早く熱水から析出し、もろもろふわふわかき玉状になって どろどろゼリーの中をだだよいます。 それでも、固形となったわけですから、長い間には沈殿して、 晶洞の底の方に、どろどろのあんかけ状の緑泥の層(固まっていない)を 作ったのではないでしょうか。 その緑泥あんかけの中で水晶が成長を始めます。 あたりはどろどろ緑泥いっぱい。同然水晶の中にも緑泥が取り込まれます。 どろどろなので、アクロバティックに結晶も可能(たぶん)。 さらに水晶は成長を続け……緑泥あんかけ層を突破! すると、水晶の中には緑泥が含まれなくなります。 そう考えると緑泥あり/なしの境めが一定ラインで揃っている、 しかもファントムになっていない理由がすんなり説明できると思うんですが。 しかし……どろどろゼリーだの、緑泥あんかけだの、 どうにも鉱物の説明じゃありませんねえ……この推測(汗)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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