カテゴリ:インド産
インドはヒマチャルプラデッシュ州、クル渓谷(またはパルバティ渓谷)の マニカラン村からやってきた(と言われている)触像水晶です。 今となっては「アイスクリスタル」と言った方が通りがいいでしょうね。 私は、一番最初、まだアイスクリスタルの名前が出ていない頃に、 思えば破格値で大きめ結晶を手に入れましたが、 以後は、価格の高騰と、溶けている表情に魅せられたこともあって、 小さめ結晶を収集中。 写真の石は、一番長いところで2.5センチほどの「指でつまむサイズ」の小さな石です。 Webショップでは、なかなか小さな石を見かけないので、 これもミネラルショーで捜すメリットの一つかもしれません。 さて、この石、どこが、私の「変な石レーダー」に引っかかったかといいますと、 まずはその形。 上の写真は、思いがけずきれいに撮れたので思わず載せてしまいましたが、 この石の「変なところ」を写し取っているとは言えません。 フォローのために、全体写真を一枚。 石を真横から見てみました。 上下がとんがった「そろばんの玉型」に見えませんか? 上のとんがり部分が最初の写真に写した部分、右側の余分な部分は柱面の一部です。 アイス・クリスタルで結晶の形を残しているものは、 錐面の先端が平らに削ったようになっているのが特徴的で、 (錐面がそっくりなくなって柱面だけのものも多い) 錐面(とんがり部分)をきれいに残しているものは、 最近見かけるようになったばかりで、全体としては少ないように思われます。 ましてや、両方がとんがったDTは、まず皆無。 ではこれがその珍しいアイスクリスタルのDTか……? 残念ながら違います。 この石、上下がとんがっていてもDT(両錐)ではありません。 このとんがりは、水晶本来の結晶面ではないからです。 では、どういうことかというと、 「溶けてとんがっている」水晶なのです。 最初の写真と2番目の写真の上側のとんがりは、 一応、水晶本来の先端です。6つあるはずの結晶面のうち、 一つと半分がかろうじて残り、残りは溶けてとんがっています。 下側のとんがりに至っては、完全に溶けて、結晶面は見あたりません。 石の下側から撮ってみました。 結晶面ではないことがおわかりいただけるかと思います。 溶けて尖ったと言うべきか、とんがり状に溶け残ったと言うべきかは微妙ですが、 この下側のとんがりが、謎。 上のとんがりは、かつての錐面が溶け出てきたと考えれば、 納得できないこともないですが、 下側もとんがるとなれば、どうしてそうなるのかが全くわかりません。 別の石では、上部のとんがりが二山、三山になっているものもあり、 かつての錐面が溶け出てきたと言い切れないものもあります。 どうしてこうなったのかわからないものかと、 石イベントの時に、顔見知りの石屋さん(鉱物にくわしい外国の方)に見ていただいたら、 「水晶ではこんな形にはならない。フローライトではないか」と 言われてしまいました。 あわただしい中ではなく、じっくり見ていただけば 水晶であることはすぐにおわかりいただけたかと思うのですが、 鉱物にくわしい方でも「これは変だ」とおっしゃる、 変な水晶であることだけは確かなようです。 水晶は、どうやってこんな形に結晶したんだ! ……と首をひねるものも多いですが、 なんと、 どうして、溶けてこんな風になるんだ!? ……と、溶けても首をひねる、謎多き石でもあるのです。 そのうち、きれいに溶けてそろばん型になったのが出てこないかなあ……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/04/12 11:35:20 PM
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