インド人・わかどり裁判を受ける
とうとう、わかどりが裁判を受ける日がやってきた。なんでわかどりが裁判を受けなければならなくなったかの詳細はこちらに書いてある。とにかく、今日は裁判の日だった。朝9時にダウンタウンにある裁判所に来いとの通知があったのでわかどりは一度研究室に寄った後、おもむろにバスに乗ってダウンタウンに向かったのだ。あまりにも不安だったので、今日は強力な助っ人を頼んだ。わかどり日記に初登場のスピーディーさんだ。(写真は何度かすでに紹介していたと思うが・・・)スピーディーさんは、アセンズに長~いこと住んでいるドイツ系アメリカ人さんである。彼は、若い頃に俳優を目指し、今でも英語教師のかたわらで演劇活動をしている。スピーディーさんは、半年ほど前にピート君の英語のプライベートレッスンの先生をしていたので、その関係でタイ人コミュニティーとのつながりがあるのだ。わかどりがピート邸に呼ばれたときによく食事を一緒にしていたので最近会う機会が多かったのだ。わかどりは、アセンズで生活を始めてもう1年半以上経つのでかなり土地勘も出てきたし、大抵のことは一人で出来ると思っていたが、裁判を受けるとなると初めての経験である。そもそも、裁判所がどこにあるのかわからないし、裁判所に行ったところで、そこで何をしたらいいのかも良くわからなかったのだ。それで、この前一緒に食事をしたときにちょこっと相談をしたら、『午前中は予定が開いているから、付いて行ってあげるよ。』と、頼んでもいないのに、わかどりの手助けを申し出てくれたのだ。と、言うわけで、わかどりは朝8時半にダウンタウンのスターバックスでスピーディーさんと待ち合わせて裁判所に向かった。アセンズ歴が長いだけあり、少しも迷うことなくスピーディーさんは裁判所に向かっていった。裁判所に着くと、入り口の手荷物チェックで人の列が出来ていた。多分サンクスギビングの連休明けだから人がたくさん来ているのだろう、と言われた。手荷物検査が終わると、待合室に向かった。待合室には、何十人も裁判を受ける人が座っていた。しばらくすると、偉そうなおばさんが出てきて真ん中の一段高いところに割ると、、手続きや権利についての説明を長々とし始めた。20分ほど話を聞いた後、部屋にいる人の名前が順番に呼ばれた。アルファベット順だった成果、わかどり(W)はほとんど最後に名前を呼ばれた。そして、裁判所の廊下に改めて列になって並ばされたのだが、そこに別のおばさんが出てきて、『罪状をおとなしく認めて、お金を払えば裁判は無しよ。』と言った。『おとなしくお金を払う人はいますか?』とおばさんが尋ねると、列のほとんどの人が手を上げていた。しかし、わかどりは異議がたくさんあったので、スピーディーさんに、『ちょっとがんばって割引してもらってよ』と頼むと、スピーディーさんはおばさんに話しをしに言った。結局、話を聞いてきてもらった結果、お金をおとなしく払わないと、夕方まで待たされた挙句に別の日の裁判の予約をもらってまた来なきゃいけないということがわかった。わかどりもスピーディーさんも午後は予定が満載であった。仕方がないのでおとなしく罰金を払うことにした。罰金を払う列に並ぶと、隣のおっちゃんがわかどりの違反切符を見て、『お前は日本から来たトリかい?』と言うので、『そうだ』と答えて、切符をもらったいきさつを話すと、『それはひどい話だ。』とわかどりの憤りに共感してくれた。で、そのおっちゃんが何をしたかというと、左折禁止のところで左折したら捕まってしまったというのだ。それなら当然なのだが、そこでは左折禁止の看板が茂った木ですっかり隠れてしまっており、そこが左折禁止だと言うことを知る由がなかったのだそうだ。彼の場合も、異議がたくさんあったが結局、支払う罰金の額と拘束される時間をはかりにかけた結果罰金をおとなしく払うことにしたのだそうだ。長い列の最後にわかどりの順番が来たのでカウンターに行くと、『VISA card, MASTER card, CheckがOKです。』と書いてあった。便利なものだなと思いつつ、『ひょっとして予算不足のため、じゃんじゃん人を捕まえているんじゃなかろうか・・・?』と思ってしまった。てきぱきと罰金を受け取る窓口のおばさん。そして、わかどりは釈放された。わかどりは、なんだかとっても疲れた。朝の2時間ほどで一日の体力を使い果たしてしまった気がした。スピーディーさんと建物の外まで一緒に歩くと、『まあ、気を落とすな』と肩をぽんっ、とたたかれてしまった。とにかく、わかどりの長い長い裁判生活はこれで終止符を打つことになった。地に足をつけて生きよう。ぺたりと。