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2006年05月05日
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カテゴリ:家族と家庭
ちょっと思うことあって、アメリカに住む長兄に電話しました。

兄貴の住みかに電話したら、兄嫁が出て、
「仕事でニューヨークに行ってるの、昼頃だから電話していいよ」

妙な気分で、兄のところへ電話したら、
「別に時間なんてご飯食べる目安だから・・・」

話す時間は取れるか?と尋ねたところ、
「ディナーに招待されただけだから時間は十分大丈夫」
って、あいつ、いったい何やってるのだろう?とちょっと不安。

兄に、日本はGW中で、旦那も休み取れたので、実家に帰ってきてること、実家の庭にテント張って昨夜はそこに娘と旦那と父の三人で寝たことなど近況報告をした上で。

一昨年の10月、母の腎臓が悪化し、入院治療を勧められた時、兄はどう思ったか聞いてみました。あの時、母は、子供4人に対し、同じ内容のメールを同時に配信したのです。

「掛かりつけのK先生から、腎臓の悪化を告げられ、総合病院の腎臓専門のドクターを紹介され、紹介状を持って受診してきました。総合病院では、1ヶ月前後の入院治療を勧められましたし、人工透析も視野に入れた治療が必要と言われました。但し、貴方達も知ってるように、お父さんは家の事も全く出来ない人ですし、とてもじゃないけど自分で煮炊きして食べれる人じゃありません。だから、入院は断るつもりですが、万が一、ボケてもいないお父さんでも預かってくれるところか、家政婦さんを頼めれば、その時は入院も検討します。一応、今月の近況報告です。」

母は近況報告と称したメールを、子供四人に対し、よく同時配信してました。

このメールが届いた翌日、私は1歳半の娘を連れて、実家へ行ったのですが、母から
「乳飲み子いて、旦那の仕事も不規則で、どうやって自分の家庭と実家と両立できるの?あんたには無理」

と即、断られました。料理も下手で家事も要領悪い私がいてもあまり役立つことはなかったのでしょうが・・・・

あの時、母は、誰に帰ってきて欲しい、とは、一言も言わなかったのですが、姉の帰省を望んでたとは後々になってから思いました。

そのことで、兄貴に、あの時、帰らなきゃって思うことがなかったか聞いてみました。

すると、兄貴は
「迷った、本気で迷った。頑張って社長になるのでもなし、いっそ帰って、一箇所に腰を落ち着けて暮らすほうが子供達の為にもなるかとも思った、でも経済的な事、収入面のこと、それ考えるとやっぱり迷った、帰らなければいけない、誰でもないオフクロだよって思う自分と、嫁さんと子供のこと考えろよ、お前一人が子供じゃないだろって思う自分と、頑張ってもっと出世の道進めよ、って思う3人の自分が自分の中で戦ってるんだよ。自分を作ってくれた家族か、自分が作り上げた家庭か、それとも自分の社会的立場か、迷って迷ってる間に、姉ちゃんが転勤希望出したから、私、実家に帰って実家から通うから、人事課の課長が同期だし、大学時代から何かと面倒見てきたから、早急に辞令出せって言ってるからって連絡が入ってね、その瞬間、本当に申し訳なかったけど、ホッとする自分がいたのも正直なところなんだよ。だけど、その後で、はたと思った、どこに通うんだって。実家のある県には、グループ内の関連企業はあっても、直接の支社は無いのだし、
一番近い支社まで、高速道を走って1時間半~2時間。確認したら、そうだって言うだろ、次に思ったことは、申し訳ない、妹が結婚もせずに頑張ってきた妹が、そこまで決断してる時に、長男であって、長子である男の俺は、結局、自分の保身ばかり考えてた、その自分の保身を隠すように、子供や嫁さんのことを前面に押し出して・・・情けない男だと思ったよ。一生涯、姉ちゃんには頭上がらないと思ったね」

兄貴にとっては姉は妹の立場なのだが、兄貴も親もどうしてか、姉には、「ネエチャン」と言うのである。


私「そのこと、姉ちゃんに話したことあるの?」

兄「話したよ、うちの嫁さんもさ、私が長男の嫁なのに・・・って気にしてたからね、本当に申し訳ないって言ったらさ、兄貴に帰ってこられて、先々、あの時・・・って言われたら嫌だし、兄貴はきっと、帰らなかった後悔より、帰った後悔のほうが強いような気がする、でも自分は、帰らなかった後悔のほうが帰った後悔より強いと判断したから帰ってきたから、グタグタ気にする必要なし、ウルサイ!!!って怒られちゃったよ」

私「なんか姉ちゃんらしいね」

兄「決断できる人なんだよね。昔、親父のほうのジイサンに一度言われたんだよ、あいつは、どの息子よりもどの孫息子より強い孫娘だ、あれは軍鶏だ、いや、あの娘は鶏どころじゃない、鷹だ、あれが男に生まれてたらこの家、全てをあの子に譲るのになって、まだ、姉ちゃんが小学校上がった頃かな。その頃から違ったのだろうね」

私「なんか姉ちゃん一人になんでも押し付けてるような気がするんだけど、時々そう思うだけで、何にもしてやれなくてね、チビに振り回されてるものだから。」

兄「うちの嫁さんも同じこと言ってる、自分だけでも帰国して・・・て言うけど、子供達のこともあってね、とどのつまり、親見代って事で月々、姉ちゃんの口座に仕送りしてるんだけど、金で済むことじゃないのは判ってるのだけど・・・ただ思うのは、先々、姉ちゃんに何かあったら、その時は、今度こそ自分が看病してやるんだって思ってるのだけどね」

私「兄貴、姉ちゃんより長生きするつもりなの?」

兄「さぁそれはね、ただ、出来る限りの事はしてあげたいし、向こうからだと電話しにくいかなって思って、チョクチョク電話もいれるし、頻繁にメールも送るようにしてるし、最近じゃ子供達も時々メール送ってるみたいだし、会社にも定年前10年ぐらいは国内勤務にさせてくれって頼んでるけど、どうなるか判らないし、国内勤務でも近場とは限らないし、ただ、確実に言えるのは、自分を創ってくれた家族を思う気持ちと、自分が作った家庭を天秤にかけるのではなく、どちらも常に心に留め置いてるって事は自信持って言えるんだよ」


その後、兄と子供達のことなど話して電話を切りました。長男だからって帰ってきたところで、たぶん、姉と両親のような暮らしが兄一家に出来たか?と言うと、それはNOだったと思うんです。母の体調を考慮した食事内容にすれば、若い世代には、厳しいものがあるでしょうし、また、嫁と姑というのは、うちの姑みたいなのは、別としても、どうしても他人同士ですから、どこかぶつかるものもあると思うし・・・

兄と最後に話したのは、幸せの形は人それぞれ違うけど、自分が幸せでいる影で誰かが何らかの負担をしていることを忘れてはいけない、またその人が不幸だと思うことがあれば、その不孝の淵から救われるように最善の努力をしなければいけない。それを忘れてしまっては、本当に幸せにはなれないのだろうと。

そして、能天気・単細胞の私が思ったことは、国際電話代を姉になんと説明するか・・・私は今夜は実家泊まりだった・・・





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最終更新日  2006年05月06日 01時57分56秒
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