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南ドイツ 小さな谷の旋律

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November 25, 2011
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カテゴリ:Saenger/innen
近くの街でフィリップ・ジャルスキーのコンサートがあったダブルハート

演奏されたのはヘンデルのオペラ曲集。


コンサートの前にまずは短い解説。

クラッシックのコンサートの前座として、演奏される作品の説明、作曲家の人物像、生きた時代背景、演奏家の紹介等を行う解説が入る。

この日はオットが時間通りに仕事から帰って来たので、この解説から聴くことができた。


まずは、カストラートが18世紀の社会でどんな位置づけだったのかから始まって、作曲家ヘンデルの生きた時代、イタリア旅行やロンドン時代の音楽活動などについての説明や、そしてもちろんフィリップ・ジャルスキーの簡単な紹介だった。

カストラートとは、去勢した男性ソプラノのことで、男性ホルモンの分泌を強制的に抑えたせいで、変声前の声質を維持させた歌手のことだということは知っていた。

彼らの体は男性並みに、女性よりも大きく成長するために、胸腔が大きくて肺活量もすごく多かったらしい。

だから、とても長いコロラトゥーアのフレーズを軽やかに歌い上げることができたのだという話を聞いて、やっぱり体の作りがモノを言うのだなあと、ちょっとため息。

筋肉は鍛えることが出来ても、生まれ持った体格は変えられないものね。

ヘンデルのオペラアリアは、イタリア旅行の後にイタリアから呼び寄せたカストラート歌手に歌わせるために書かれていて、現代の女性歌手でそれを完全な形で再現する事は不可能だと認識されていると聞いて、ますますため息。

この日のコンサートは、そのコロラトゥーア満載の曲を、カウンターテノールのフィリップ・ジャルスキーさんの歌で限りなく当時の演奏に近い形で演奏しましょうという趣旨だった。


ヴェルディが作品ありき曲ありきで、それを演奏する能力を歌手に求めたのに対して、ヘンデルはまず歌わせる歌手が居て、その歌手のために曲を書いたというのも面白い。

ヘンデルはロンドンで劇場のオペラ芸術監督のような役職についていて、劇場の運営に対する責任を担っていた。

だから、オペラ公演を成功させるために実力あるオペラ歌手をイタリアから呼び寄せ、その歌手のために曲を書いて歌わせたという話だった。



コンサートは、もう本当に素晴らしかった号泣

他の言葉が見つからない。


高音域でもppからfまで自由自在に操り、

温かくて丸くて柔らかい、心にしみいるような声で、表情もものすごく豊か。

dolor、dolorと歌い上げた曲は、身悶えするほど切なかった。

高音でも美しいpは、天に上っていくような余韻を残した。

女声ソプラノでは出せない色だよな~ほえー

嫌でも身体機能の差を感じさせられる。


今回は奮発して6列目の席を確保したので、歌っている時の表情も、体の動きもよく見えた。

長いコロラトゥーアのフレーズを軽やかに歌い上げる姿をこんな距離で観察することができて、本当に感動的。

体の動きを見ていて気付いたことといえば、高音域のロングトーンやコロラトゥーアで、シャツのボタンがはち切れそうになるくらいにお腹がグッと押し広げられること。

細身の体に黒いシャツを着ていて、歌っていない時には前にも普通に余裕があるんだけど、
高音域に入るとお腹がズボンに乗ってるように見えるほどあっかんべー、お腹がぐっと膨らんでシャツがパツパツになっていたほえー

君は一流の音楽会で一体何を見とるのか、と、笑われそうだけどうっしっし

低音域では逆にお腹をグッと絞っていた。


私は、高音域では特にお腹を絞って歌ってるはず。

これがホンモノの歌手の支え方なんだろうか。

ちょっと真似してみようっと音符


会場は、コンサートハウスの大ホールだったので、もしかしてマイク使うんだろうかと少し心配してたんだけど、やっぱりマイク無しの演奏だったオーケー

一人の声であの大きさの会場で聴かせるってすごい。

二階席や後ろの席でどのくらい聴こえたのか、興味がわく。

でもやっぱり前の方でしっかり聴けて良かったダブルハート


あっという間にプログラム上の曲が終わり、手が痛くなるまで拍手した。


会場全体で鳴り止まない拍手で、何度も何度もステージに呼び戻される。

すると、ジャルスキーさんが自らドイツ語きらきらでアンコール曲の紹介をした目がハート

2曲目に演奏した曲は、またまたテンポの速いコロラトゥーア満載の曲。

歌とファゴットのコロラトゥーアの共演がとにかく素晴らしかった。

アンコールでこんな本気で大変そうな曲を演奏してくれるなんて

演奏が終わった後の、ファゴット奏者のドヤ顔もまた印象的でウィンク

さすがに3度目は観客も期待していなかったので、演奏を始めようとした時は、「おおおおおおびっくりと、驚嘆と感激の声が上がった。

アンコール最後の曲は、ヘンデルのオンブラ マイ フどきどきハート

透き通るような柔らかいpで歌が始まった時、あまりの美しさに涙が出そうになった。



オットもえらく感激していた。

元はといえば先にフィリップ・ジャルスキーの歌声に魅せられたのはオットの方だったっけ。

ジャルスキーさん、よくドイツでも歌ってるから、来年もまたコンサートに行こうねウィンク

一年に一回くらい、贅沢してもいいよねスマイル






日本でのコンサートみたいに、サイン会してくれたらCDその場で買っちゃうのになあ。






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最終更新日  December 2, 2011 04:46:44 AM
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