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テーマ:お勧めの本(7406)
カテゴリ:好きな本について
「狐笛のかなた」 上橋菜穂子著 一言で言うと、少女と霊狐の孤独で、けなげな愛のお話。 野間児童文芸賞受賞作品。 小夜は12歳。人の心が聞こえる(聞き耳)の力を亡き術師の母から受け継いでいた。 ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の(あわい)に棲む霊狐・野火だった。 野火は、術師に命を握られ、狐笛で使役されているがその事に違和感を感じている。 また、隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸。 それぞれに、違う立場に立ちながらも、それぞれに孤独なかれらが結んだ絆を中心に物語りは進んでいく。 土地と水をめぐる隣国の争い。 敵対する領主に仕え、争いに力を貸す術者たち。 術者に縛られて使い魔として使役される、霊狐たち。 読み始めると、日本の風景(野山)が、グーン目前に広がってドンドン引き込まれてしまいます。 狐・呪い・深い森・暗い場所・消えていく命・死の影すら、ひょっとしたら子供の頃身近にあったからこんなにも、懐かしく感じるのかしらと…。 人間は自然の中の一欠けらの存在でしかないのに、不遜にもいつしかそれを忘れてしまっていることに気づかされる。 普遍的な小さな温もりを感じること、愛おしく思える幸せ、儚くも美しく、本当に大切なものは何かを感じさせてくれる素敵な物語でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年11月09日 21時09分12秒
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