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両国の事務所の前の敷地の解体工事が終わったら
今度は、高層建物の計画が始まった。 墨田区の場合 「中高層の建築物」を建築する際は、 「建築計画のお知らせ」を敷地に掲示し、 「説明会を開催し、又は戸別訪問による説明を行わなければならない」 と、条例で決められている。 その説明会が先日あった。 仕事柄、こちらが説明をすることは何度かあったが、今回は、その逆。 条例では「建築主」が近隣住民に説明を行うことになっている。 通常は、「建築主」に設計事務所や、ゼネコンが助言をし「建築主」と「近隣住民」が意見を交わしていくものである。 しかし、今回は「近隣110番」なる人たちが場を取り仕切り、流暢に、穏やかに、説明会が始まった。 本来であれば「建築主」という人格と「近隣住民」が話をするはずなのに、 「建築主」側は「係長職の担当者」が1人着席しているのみであった。 この敷地は、 1.もともと元墨田区議をやった人が、永く住んでいた。 2.その土地を、「ノエル」という神奈川県のマンション業者が購入し、既存建物を解体 3.その後、今回の「ニチモ」という会社が、建物を建設。 4.建物ができたら、また別の会社に売却するとの説明だった。 つまり、近隣との地縁がある所有者から、3回の転売を繰り返し、地域と関係のない「事業主」が極めて「事業性」の高い物件を建設することになっている。 この建物が、どのような建物かというと、 ・容積率を最大限に使ったワンルームを主体としたマンション。 ・建築基準法の天空率という手法を使うことで、従前では建たなかった高さ(43.59m)の建物 ・1階は、マンションのロビーとして、共用部扱いになっており、容積対象外となっている。 などである。 この地域は、もともと忠臣蔵の吉良邸があった歴史的な地域で、今も、路地状の狭い通りを木造2階建ての建物が取り囲むような場所である。町会の活動も活発とのことで、良好なコミュニティーが残っている地域のようである。 この土地の特性を理解しない「建築主」による遠慮のない開発を許すと上記の1~4の手順を踏み「我も我も」と事業性優先の建物を建てていっていまうのではないだろうか? 近くには現在建設されている4階建ての建物があるが、空地をしっかり取り、1階には店舗を入れることで地域へのかかわりを持つような計画で建設されている。このように、まちのためになる良好な建物をたてる「建築主」がいる隣で事業最優先のたてものが許されて良いはずは無いであろう。 こうして、醜いまちが出来ていくのだな、と実感する一例である。 住民の目線で都市計画を考えなければならないと、強く感じる。 ちなみに、近隣110番の人は、自分が「建築主」の代理人と言っていたが、代理人になれるのは弁護士等の資格を持つ者で、他の職が代理人になると、弁護士法による非弁行為になるらしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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