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詩人たちの島

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January 8, 2006
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カテゴリ:essay
今日はすこし寒さが緩んだようだった。それにしても最近のひどい寒さには参ってしまう。これに大雪での被害が重なっている地方のことを思うと、「寒い、寒い」と言っていられるだけまだましなのだろう。過疎地で老人たちだけの地域に大雪が降ると「人災」が起きるようになる。頻繁な雪かきが不可能になり、家がつぶされる。何人もこうして死んでいる。こういうニュースはたまらない。雪かきにいくだけのエネルギーがあれば、ボランティアとして行くのだが、と布団の中で寒さに震えながら考えたりもする。考えるだけだ。

明日は卒業生たちの成人式である。同期会が主催する集まりがある。二十歳は今でも一つの節目なのだろうか。振り返りたくないが、ぼくにも二十歳という年があった。
ポール・ニザンのように、「ぼくは二十歳だった。それが人の一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。一歩足を踏みはずせば、いっさいが若者をだめにしてしまうのだ。恋愛も思想も家族を失うことも、地位ある人々の仲間に入ることも。世の中でおのれがどんな役割を果たしているのか知るのは辛いことだ」(「アデン・アラビア」)と回顧するのが一番適切なような年齢である。つまり、「一歩足を踏みはずす」危険性とともに生きている年齢で、このことは事後的に、振り返ってしか言えないことでもある。ある二十歳はその「足を踏みはずす」ことの過激さでいつまでも輝いているように見える。ある二十歳はその輝きにあこがれながら、「世の中でのおのれの役割」を考えるようにしか生きられなかった。意識的な二十歳、無意識的な二十歳、それらを超えて「ぼくは二十歳だった。それが人の一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。」というニザンの断言は、やはり二十歳という年が、人の一生の中で一番美しい年齢であるということを逆説的に、回顧的に訴えているのである。「言わせまい」と言わなければならないほど、そこには美しいアデン・アラビアが広がっている。

この二十歳を教え子たちはどのように生きるのだろうか。それぞれの「アデン・アラビア」を生きるしかない。闘争、逃走、凍瘡、党争もあるのか?問う、僧として、投槍する、その切っ先は自らの生に他ならない。この二十歳の日々の瞬間、瞬間を輝かせてほしいと祈らずにはいられない。その持続のなかに、きみの生があるように。





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Last updated  January 9, 2006 01:15:58 AM
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