カテゴリ:ニューヨーク通信(湯浅ましほ)
水島先生、
仕事に追われた三月でした。オフィスの向いのガラス張りの高層ビルに映る空に、日が昇り、日が沈み、夜が更け、また、夜が明けるのを知る日々でした。この土曜日は六週間ぶりの休日でした。まだ春の浅い街に出て、深く息をすると、冷たい空気が肺の隅々まで沁みて、息をすることを改めて思い出したような気がしました。久し振りにメトロポリタン美術館へ行って、古代エジプトの展示物の間をゆっくりと歩きました。巨大な石像や壁画、豪華な金の細工物.... でも私が足を止めたのは、3500年前に、赤ん坊のまま亡くなった王子の納まる質素な木のお棺でした。お棺の前には、黒く乾いた蓮の蕾が五本展示されていました。この古い花束は、小さな王子の胸の上に載せられていたのだそうです。3500年前にこの王子を哀しく愛した人を想いました。 今週の週末は暖かくなるそうです。ロースクールの時の友達が、カリフォルニアから訪ねて来てくれます。仕事は忙しいのですが、一向に苦痛でないのを不思議に思います。 ましほ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 30, 2006 07:55:45 PM
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