カテゴリ:essay
今年の4月13日は、Samuel Beckettの生誕百年で、ダブリンなどでは様々な催しが行われたらしい。現在も芝居などは特別に演じられているのかもしれない。1989年に彼は亡くなった。ぼくは学生時代に彼の令名だけを聴いて、まともに読んだことはなかった。「ゴドーを待ちながら」の作者程度の知識から全然進歩してないのだが、なぜか読みたくなって、去年だったか国立に行ったとき、谷川書店の主人にベケットはありませんかと訊いたことがあった。一昨日まで戯曲全集、白水社?の一つがあったが、売れちゃってない、そういえば最近ベケットの本は古書市でもあんまり見ないという話だった。
英語圏も話は同じようで、ベケットの本といえば非常に薄い寄せ集めのコレクションのようなものしかなかったらしい。グローヴプレスという出版社が出している多数のベケットのシリーズも一冊が50ページから60ページぐらいのもので、「チーズのスライスのような厚さがベケットの縮小と抑制の厳しい芸術の容器としてふさわしい」などという見方さえあったらしいが、今回彼のCentenaryの記念のeditionとしてグローヴ社は2千ページ以上にも及ぶ厚い本を出版した。多分全4冊で数えてだろうが、それにしてもこの巻々の解説者がすばらしい。巻1は小説の1で総合的な編集がポール・オースター、巻2は小説の2で解説がサルマン・ラシュディ、巻3はドラマでエドワード・オルビー、巻4は詩と短編、それに批評で、解説はJ.M.Coetzee。 アマゾンで第4巻を申し込んでみようかと考えたが、やめた。 ベケットの鷹のような鋭い顔をながめていると、なんか心が休まるような感じがする。変か。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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