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詩人たちの島

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May 10, 2006
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カテゴリ:essay
ビル・フリゼールを初めてaccu radioで聴き、その妙に浮遊感があり、映像的な?ギターのサウンドに文句なく惹かれてしまった。即座に、そのアルバム(accuではオン・エア中のcdのアルバムが出る)をクリックしてしまい、アマゾンで買う羽目に陥ったのも無理からぬところである。こんなことは初めてだった。

つい最近のような気がしていたが、今日帰ったら、もうアマゾンからそのcdが送られていたのでびっくりした。アメリカからの便である。

アルバムのタイトルは”Ghost Town”

accuで聴いたとき感銘を受けた曲は”Wildwood Flower”というので、これはビルの作曲ではなくA.P.Carterとある。それを編曲したのだろう。各トラックの曲名と作曲者を書いておく。

1. Tell your Ma, Tell your Pa(Bill Frisell)
2.Ghost Town/Poem for Eva(Bill Frisell)
3.Wildwood Flower(A.P.Carter)
4.Creep(Bill)
5.Variation on a Theme(Tales from the Farside)(Bill)
6.Follow Your Heart(John Mclaughin)
7.I’m So Lonesome I Could Cry(Hank Williams)
8.What a World(Bill)
9.My Man’s Gone(Gershwin)
10.Outlaw
11.When I Fall in Love(Edward Heyman and Victor Young)
12.Big Bob
13.Winter Always Turns to Spring
14.Justice and Honor
15. Fingers Snappin’ and Toes Tappin’
16.Under a Golden Sky (何も書いていないのはBillの作曲)

以上であるが、これらの曲をどういう楽器で弾いているのかというと、以下のように書かれている。

Bill plays the following instruments on this album: Santa Cruz(Tony Rice Model), Gibson J-45, Klein M43 acoustic, Klein electric, Anderson Model 14, Fender Jaguar, Gibson Johnny Smith, Squire Precision Bass and a 6-string Banjo built by Jere canole

He used a Lexicon LKP 1, an Electro-Harmonix 16-second delay, a Fender Princeton amp, a Mesa Boogie Mark11and D’Addario strings

カントリーもロックもジャズもフュージョンもという感じだが、しかし、そのどれとも違うところが、この人の面白いところのような気がする。
軽い音だが、耳に聞こえるというよりも、感覚のすべてに触ってくるような感じがする。世界を壊すのではなく、世界があることに素直に驚くというような、大げさかもしれないが、そういう音である。

「世界を壊すのではなく、」云々は、実は今日電車の中で読んでいたサイードの”Reflections on Exile”の中の最初のエッセイ、”Labyrinth of Incarnations: The Essays of Maurice Merleau-Ponty”に関係している。Maurice Merleau-Pontyの思想をサイードはなんとウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』の言葉を引用することで的確にまとめてみせるのであるが、それは「世界がいかにあるかは、神秘ではない。神秘は、世界がただそこにあるということだ」というのである。それを世界を壊す云々と錯覚していたのだ。

音楽にも「世界がいかにあるか」を探求しようとする重厚で主題的なものと、サイード言うところのメルロ=ポンティ、ウィトゲンシュタインたちに共通する「世界の現前」そのものについての驚きの表明をささやかに寿ぐように歌うものがあるのではないだろうか?そうだとしたら、このギタリスト、Bill Frisellの音楽は明らかに後者であり、それに無意識に文句なく惹かれた私の最近の嗜好も、重厚さから逃れたがっているということであり、それだけ日々の水平的な経験をさすがに逃れがたく、愛さずにはいられないということの証左なのかもしれない、あんなに愚痴りながら、私はしかし確実に日々の生を生きているということ。それも「神秘」に属すことであろう。

ビル・フリーセル





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Last updated  May 10, 2006 10:10:18 PM
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