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詩人たちの島

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May 15, 2006
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カテゴリ:essay
 

「強い人間は、自分の愛をあらゆる場所に広げた。完璧な人間は、自分の愛を消滅させるのである」というフーゴーの言葉は含蓄がある。修行僧の禁欲的な意見ということになるのかもしれないが、「自分の愛を消滅させる」ことのできる主体こそがエグザイルである。すなわち、すべてを初めて見るかのごとく新鮮に見るためには、同じことだが変化しようもないと見えるものの底にある変化をとらえるためには、自らの慣習的な見方が死ななければならない。アドルノのいうごとく「家でくつろぐことは悪である」。

 そういう覚悟で、サイードは生きたのだと思う。

 サイードの次のような言葉、

―いま述べたことは、救いようがなく酷薄な世界観をいだくための処方、ならびにそれにともなって、あらゆる精神の熱狂なり精神の浮揚を冷笑する永遠の気難しさを身につけるための処方と思われるかもしれない。しかし必ずしもそうではない。確かにエグザイルの喜びを語るのは、なんとも妙なことに思えるかもしれないが、いくつかのエグザイル状況については語るべき肯定的な面もある。「全世界」を外国として見ることで、独創性あふれるヴィジョンができあがるだろう

 ほとんどの人間は原則として、ひとつの文化、ひとつの環境、ひとつの故郷しか意識していない。エグザイルは少なくともふたつのものを意識する。そしてこのビジョンの複数性から生まれるのが、同時存在という次元に対する意識―音楽から用語を借りるなら―対位法的意識なのだ。――

学びたいものとして書きつけておく。


すずらんよ

 





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Last updated  May 15, 2006 09:16:37 PM
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