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詩人たちの島

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May 24, 2006
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カテゴリ:essay
いやあ、どうしようもなかったね。昨日は、一日中パソコンの前に座って、HI5のコミュニケーションの輪が自動的に広がってゆく様を、ということはぼくのアドレス帖(hotmailのアドレスに)に掲載されている人に、分けのわからぬ英文の招待が浸透してゆく様を、ただ見ていることしかできなかった。どういうことか、大抵は、hi5からの、だれそれがacceptしたという返信なのだが、もちろん、こういうメールに対して、それを最初から迷惑メールとして処理した人もいた。しかし、ぼくのアドレスがあるかぎり、それを快く受けた人もいた、そういう人、拒否した人にも、最大の迷惑をかけてしまった。

事の起こりがまだ、はっきり整理できないけど、最初はやはりアメリカに居住している娘がこのコミュニティのメンバーに登録されており、その際、ここがよくわからないのだが不用意にも彼女のアドレス(これもhotmailのである)が何かの操作の誤りで流出してしまった、そこから私、女房、息子に、案内が届いたが、その際の招待主は娘ではなかったが、娘と紛らわしい名であった、アドレスは娘と違っていたが、私はそれを娘の遊びかと思って受けてしまったのだ。ちなみに私の女房と、息子は、これを最初から拒否した。ということで私も何かの誤動作で(たぶん酔っていたので)、変なところをクリックしてしまい、私のhotmailのアドレス帖のすべての人に、この英文メールが届いてしまったのである。これが、今の私の推測である。

こういうテイタラクでは、ITの末端で、blogなどを書いているのも恥ずかしくなっているが、これは自分のモラルに関することなので、再度この場で、皆様に謝罪します。勘弁してください。

(はやく、この話題から逃げたいので、閑話休題といきたいのだが、行っていいのか。)

中間試験中、こういうときしか、休暇がとれないので、時間休をとって職場を早く退出する。電車の中で熟睡していて乗り過ごすところだった。寝ぼけ眼でどうにか降りると、篠突く雨。この駅はホームが高いところにあるのだが、屋根は一部しかかかっていない。最後尾に乗っていたので、屋根のあるところまで駆け足で行くのだが、びっしょり濡れてしまった。改札口を出たところにある、駅構内のマクドナルドで雨の止むのを待つ。アイスコーヒーを飲みながら、昨日からのことを考える。

考えても、自分が馬鹿だったという結論以外はありえないから、考えるのをやめる。ふと、レイモンド・カーヴァーのことを思い出した。彼なら、こういうのを、きっと面白すぎる短編、初期のカフカ的なわけのわからなさをまじえたものにまとめるだろうな、などと考える。そういうぐあいに、この事件を持っていけるのは友人たちの励ましのおかげである。水島さん、大したことないよ、というメールの内容。篠突く雨、なのだが、すこし元気が出る。早く帰って、飲みたいな、と思う。これはカーヴァーの悪い影響なのだが、煙草をやめた今、最大の快楽は飲むことに限定されている。別に喫煙を快楽と思ったことはないのだが。

実は明日はカーヴァーの誕生日である。1938年5月25日、レイモンド・クリーヴィー・カーヴァー・ジュニアはオレゴン州クラツカニーで生まれた。ぼくより十歳しか上でないわけだ。生きていたら、68歳か。老人ではないよ。

死の前に、
And what did you want?
To call myself beloved, to feel myself
beloved on the earth. (LATE FRAGMENTより)

これがカーヴァーなんだよね、結局は。この「愛されたもの」と自らを呼び、自らを感じたいがために、彼はアル中であったり、要するにいろんなことを人生でやったわけだよ、あるいはやらされたというのがいいのかもしれない、癌になりたくてなったわけではないからね、死にたくて死んだわけではないからね、でもそれらが、つまりすべての生のFRAGMENTをTo call myself beloved, to feel myself beloved on the earth.という最後に集約できる人、そういう人はやはり幸せな人と呼ぶべきではないか。ぼくはそう思うね。

「それで、君はいったい何を望んだのだろう?
それは、自らを愛されるものと呼ぶこと、自らをこの世界にあって
愛されるものと感じること」               村上春樹訳

この望みは簡単なことだろうか、それとも難しいことだろうか?

沛然たる雨、自然の変化の鮮やかさ、そしてそれは後戻りしない。





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Last updated  May 24, 2006 09:16:16 PM
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