詩人たちの島

You don’t know what love is
Until you’ve learned the meaning of the blues
Until you’ve loved a love you had to lose
You don’t know what love is

You don’t know how lips hurt
Until you’ve kissed and had to pay the cost
Until you’ve flipped your heart
I knew I’ve lost
You don’t know what love is

Do you know how I lost heart first
The thought of reminiscing
And how lips that taste of tears
Loose their taste for kissing

You don’t know how heart burns
For love that cannot live yet never dies
Until you faced each dawn with sleepless eyes
You don’t know what love is

You don’t know how heart burns
For love that cannot live yet never dies
Until you faced each dawn with sleepless eyes
How could you know what love is
What love is
What love is　　　（注・この詩には微妙な違いがいろいろあって確定しがたい）

土曜日、立川のHMVで、Billie Holidayの最晩年の録音CD「Lady in Satin」を買ってしまった。衆目の一致するのは、これに収録されている上記のYou don’t know what love is
がベストだということらしい。というようなことが頭のどこかに残っていたものだから。また、I’m A Fool To Want Youも入っている、すべてが、ゾクゾクする。何回もThe end of a love affairが取り直され、完璧な歌に変わってゆく様子なども収録されている。彼女のスタッフへの甘えたような声も入っている。

もう一つ、690円のDVD「Thelonious Monk Straight No Chaser」。これは「67～68年に撮影された、偉大なピアニストであり作曲家でもあるセロニアス・モンクのドキュメンタリー・フィルムを中心に据えた、ジャズ史上最も図抜けた、ユニークかつ映画的肖像である」というような宣伝文句が記されている。製作総指揮はクリント・イーストウッドである。まよわず買った。最高にすばらしい。モンクという稀有な魂と個性、それを宿した厄介で、言うことをきかぬ「肉体」、その葛藤、妻ともう一人のパノニカらしき白人女性の登場など、モンクという巨大な星をめぐる人々。それにしても、どうしてこんなに安価なのだろうか。一時間をゆうに超えるものだったのに退屈する暇はない。最高なのは彼のピアニズムをだれにも邪魔されずに恍惚として間近に見入ることができたことだった。

今日は片倉駅の傍を流れる湯殿川沿いの道を遡って歩いてみた、片倉城址の下を通過し、小比企の方へ向って川の流れとは逆に歩いてゆく。堤防の道がずっと続いているので、車に邪魔されることもなく、流れを見ながらの散策である。一時間ほど歩くと、北野街道？の方角には田んぼがひろがり、川の向こうの、みなみ野に通じる方には畑やこんもりとした緑の低い丘陵が続く。友人の画家が画題としたところは多分ここらあたりなのだろうと思ったりした。絵の中の濃い緑の波を思い出した。湯殿川も片倉あたりよりずっときれいな川になり、せせらぎの音も心地よく耳を打つ。湯殿川と呟いているうちに、湯殿がYou don’t knowになり、気分としては爽快なのに、ホリディーの歌ではなく、チエット・ベーカーのアンニュイに満ちた声で歌うYou don’t know what love isが頭の中で鳴り出した。口ずさんだりもした。支離滅裂だが、たまの休みだ、かまうものか。汗に濡れて、一時間半の散歩が終わった。歩くのはやっぱり最高です。