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詩人たちの島

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August 10, 2006
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カテゴリ:essay
書かなければいけない詩があって、その数行を書いたのだが、いやに理屈っぽい。気分転換したくて、谷川俊太郎詩集(ハルキ文庫)を読み出したらやめられなくなってしまった。

先日、八木重吉の記念館を訪ねたが、その重吉の短い有名な詩の引用から始まる谷川の詩があった。

間違い


わたしのまちがいだった
わたしのまちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる

そう八木重吉は書いた(その息遣いが聞こえる)
そんなにも深く自分の間違いが
腑に落ちたことが私にあったか

草に座れないから
まわりはコンクリートしかないから
私は自分の間違いを知ることができない
たったひとつでも間違いに気づいたら
すべてがいちどきに瓦解しかねない
椅子に座ってぼんやりそう思う

私の間違いじゃないあなたの間違いだ
あなたの間違いじゃない彼らの間違いだ
みんなが間違っていれば誰も気づかない

草に座れぬまま私は死ぬのだ
間違ったまま私は死ぬのだ
間違いを探しあぐねて        
               (谷川俊太郎『日々の地図』より)

完璧すぎる。八木重吉の詩がかわいそうになるほど。と思うが、読み返してみると、この詩は浅いというような思いが湧いてくる。そこで重吉の絶唱が立ち上がるとも言える。その両方に思いを致して創ったのなら、谷川はやはり天才であろう。

ちょっと、ずるいかもしれないが、谷川の詩を贈ることで「がんばってこいよ」という私の気持にかえよう。「明日」イギリスはバーミンガム大に留学のために飛び立つ、私の教え子、後藤拓也のために、谷川俊太郎の「明日」という詩を。その一部を。

明日


…(略)

ひとつの小さな願いがあるといい
明日を想って
夜の間に支度する心のときめき
もう耳に聞く風のささやきや川のせせらぎ

ひとつの小さな夢があるといい
明日のために
くらやみから湧いてくる未知の力が
私たちをまばゆい朝へと開いてくれる

だが明日は明日のままでは
いつまでもひとつの幻
明日は今日になってこそ
生きることができる

ひとつのたしかな今日があるといい
明日に向って
歩き慣れた細道が地平へと続き
この今日のうちにすでに明日はひそんでいる
         (谷川俊太郎『魂のいちばんおいしいところ』より)

きみには幼稚すぎる詩かもしれないけど、「初心」や「心ざし」というものは、こういう感情に存し、そこから、湧き出してくる以外はないと思う。来年のさらなる成長を期待しています。(物騒なニュースなどが生憎伝えられて、心配しているが、心配してもしようがない。きみの生きる力の強さを信じ、幸運を祈っている)。





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Last updated  August 10, 2006 11:48:15 PM
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