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詩人たちの島

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August 19, 2006
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カテゴリ:essay
「汝は一つの死体をかかえている小さな魂にすぎない」

これはパウンドのCantosでピサ詩篇と称されるもののひとつ77篇にある言葉。マルクス・アウレリウス『瞑想録』からのパウンドの引用である。こういう言葉に突き当たってしまうと、そこからなかなか読めなくなってしまって、いろいろ考えさせられることになる。膨大な引用の織物である、この詩篇は、歴史と現在、パウンド個人の思いと論語などの四書や、ギリシア古典、なかんずくホメロスの『オデユッセイア』、またダンテの『神曲』などの一節との自在な対比によって終わることのないダイアローグを展開してゆく。その背景の膨大さに目が眩んでしまうのだが、そこに迷ってもしようがないので、私は、上記のような印象的な言葉を捜すのを楽しみにして読むだけである。自分の浅学さにもかかわらず、Cantosに触れるのは面白いし楽しいし、何かのきっかけをあたえられる。

夏ももう終わりだ、「一つの死体」をかかえて、「己と世界に対するさんたんたる配慮」に寧日無き「小さな魂」よ、今年の夏ももう終わりだ。

「己と世界に対するさんたんたる配慮」という言葉は橋川文三の『詩について』という文章のもの。これは瀬尾さんの『戦争詩論』(平凡社)からの孫引き。瀬尾氏の本の文脈抜きで、橋川のこの言葉をもっと引用すれば、

「…文学や詩というものこそ、まさに人間の己と世界に対するさんたんたる配慮の果実ではないだろうか。」





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Last updated  August 19, 2006 08:17:45 PM
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