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詩人たちの島

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August 20, 2006
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カテゴリ:essay
Maureen Dowdが16日付けのコラムで面白いことを書いていた。ブッシュ氏はCrawfordというところで夏期休暇中なのだが、その時に読む本のリストというものがあって、それも公開されるらしい。アメリカの大統領は大変だな。大統領のpress secretary(報道担当官)のTony Snowという男から聞いた、その読書予定本のリストのなかに、なんとまあ、カミュの『異邦人』があったというのだ。そしてSnow氏によれば、彼と大統領は「フランス実存主義、カミュとサルトルのオリジンについての短い会話」などを交わしたというので、たぶんMaureen自身だろうが、テキサスが「左岸」であることを想像しにくいので、いろいろ突っ込んだけど、報道官は「Confidential conversation」だといって、この政府の「文学に対する透明度の欠如を示した」などと、Maureenは書いている。

ところで、誇るべき反知性派の大統領の手の中に一体全体どうして『異邦人』が入ることになったのか?この質問には報道官のSnow氏は「わからない」と答え、そして彼自身も「25年前に読んだ」と告白している。『異邦人』は、いやカミュはbeach readingにふさわしい作家ではない。

―― 世界に道徳を押し付けようとして混沌を創造した男(ブッシュ)、人間の道徳秩序の永遠にわたるフラストレーションについて書いた男(カミュ)。人生観としての不条理の大敵・サタン(The archenemy)であるブッシュを、不条理の使徒(apostle)であるカミュに焚きつけたのは何か?何回生まれても一夫一婦主義(monogamist)であるブッシュを、好色な無神論者のカミュにスパークさせたものは何か?カミュはイデオロギーによってひき起こされる盲目性を憎んだ、そしてブッシュ氏はイデオロギーに溺れている。カミュは明晰さを称える、一方大統領は己が見たいものをただ見続けるだけだ。――

というような対比は痛烈なブッシュ批判にもおのずからなっていて面白い。カミュの「不条理」の世界を、アメリカ、ブッシュにとっての、イラクの内戦、アルカイダの転移と策略、ヒズボラ、イラン、シリアの結託、チャベスのカストロ化、北朝鮮の核などと関連させていき、以上のことがアメリカ、ブッシュにとっての「不条理である」というのがMaureenの論旨である。

次期大統領は「シジフォスの神話」を読むべきだ、ともMaureenは書く。イラクでの戦い以上にシジフォス的なものが国家の企てとして今まであったのか、と問いかけている。この言はよくわかる。

こういう先例があるということを肝に銘じて、この国の次期の首相などはヤバイことには手を出さないことだ。そして、彼らは何を夏に読んだのだろうか?





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Last updated  August 20, 2006 11:51:31 PM
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