カテゴリ:essay
「人をからかうような何ともいえない遊び心が、人を愉しませ驚かせる言葉の力への限りない喜びがあふれていた。私にはずっと疑問だった。私たちはいつこのような言葉の特性を、詩で人をからかい、人生などたいしたものではないと感じさせる力をなくしたのだろう」。イランの英文学者アーザル・ナフィーシーの『テヘランでロリータを読む』のこの言葉を引用して、加藤典洋は次のように書く(06年9月26日・朝日新聞夕刊・文芸時評)
-- そう、その通り。この「人生などたいしたものではないと感じさせる力」こそ、小説の力、生きることの勇気のもとである。--
加藤さんは、こう述べて、以下、その基準に該当する文芸作品を紹介してゆくのだが、そこは省略するとして、ぼくはひさしぶりに、こういうすてきな言葉に出会い、さすがこういう言葉を引用できる加藤典洋という人のことを考えた。
そう、その通り。「人生などたいしたものではない」と、ぼくも言ってみたいし、いつか言うだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 27, 2006 09:58:40 PM
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