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詩人たちの島

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November 8, 2006
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カテゴリ:essay

先日買ってきた「月光・暮坂」というタイトルの、最近亡くなった小島信夫の短編集を読んでいる。「小島信夫後期作品集」と名うたれた、講談社学芸文庫の一冊だ。

分けのわからなさと野放図なまでのいい加減さ、起承転結を完璧に無視した、おぞましいばかりの「語り」に、「ああ」と思いながらも、どこかで深く癒されている、それは深く傷つけられているのと同じことだ。

これが日常の姿だ、しつこく、そう言われているような気がする。

そうではないか。「死」を予告した手紙が文科省の大臣宛に届き、それをまともにとりあげ、各教委管轄の現場に、センチメンタルきわまりない文書(死んではいけません、わたしたちはあなたの味方です云々)が配布され、それを生徒たちに配れと命令する。いじめられているという生徒からの手紙が「文部大臣」に取り上げられたのである。最高の世の中だ。昔は、ぼくらは「文部大臣」なるものや、そういう部類のやからを「抹殺」したいと思って生きていた。でも、ぼくらの友人は逆にそいつらから抹殺された。

ここまで堕落したのか、それともここまで弱さを過激に露呈することが、生きるということの道になったのか、「いじめ」なるものを発生させ、それを支えている構造は、全く大人の社会の構造と寸分も変わらない。だから、おまえは、「学校」などを最初から信じていないのだな、そして「規範」なども、と私は、おまえのことを突然思い出して、そう言ってみたくなる。

しかし、それはおかしい、おまえはおれの授業のとき、最初からやる気がなかった、なぜ高校にいるのか、わからない。

小島信夫はただ泣くにちがいない。私も泣きたい。今日の授業では泣く寸前までいった。その理由は、授業の半分以上を、「説教」に費やしたからである。死ぬなということは死ねということと同義であり、従って、「死ね」ということは「死ぬな」ということなのである。

小島信夫を読むということは、簡単に言えば、簡単に言えるなにものも、この世にはありえないということを学ぶことにつきる。その尽きることのない「語り」の放射線を浴びること、それを通過すること。







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Last updated  November 8, 2006 10:48:34 PM
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