451585 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

詩人たちの島

詩人たちの島

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
November 8, 2006
XML
カテゴリ:essay

先日買ってきた「月光・暮坂」というタイトルの、最近亡くなった小島信夫の短編集を読んでいる。「小島信夫後期作品集」と名うたれた、講談社学芸文庫の一冊だ。

分けのわからなさと野放図なまでのいい加減さ、起承転結を完璧に無視した、おぞましいばかりの「語り」に、「ああ」と思いながらも、どこかで深く癒されている、それは深く傷つけられているのと同じことだ。

これが日常の姿だ、しつこく、そう言われているような気がする。

そうではないか。「死」を予告した手紙が文科省の大臣宛に届き、それをまともにとりあげ、各教委管轄の現場に、センチメンタルきわまりない文書(死んではいけません、わたしたちはあなたの味方です云々)が配布され、それを生徒たちに配れと命令する。いじめられているという生徒からの手紙が「文部大臣」に取り上げられたのである。最高の世の中だ。昔は、ぼくらは「文部大臣」なるものや、そういう部類のやからを「抹殺」したいと思って生きていた。でも、ぼくらの友人は逆にそいつらから抹殺された。

ここまで堕落したのか、それともここまで弱さを過激に露呈することが、生きるということの道になったのか、「いじめ」なるものを発生させ、それを支えている構造は、全く大人の社会の構造と寸分も変わらない。だから、おまえは、「学校」などを最初から信じていないのだな、そして「規範」なども、と私は、おまえのことを突然思い出して、そう言ってみたくなる。

しかし、それはおかしい、おまえはおれの授業のとき、最初からやる気がなかった、なぜ高校にいるのか、わからない。

小島信夫はただ泣くにちがいない。私も泣きたい。今日の授業では泣く寸前までいった。その理由は、授業の半分以上を、「説教」に費やしたからである。死ぬなということは死ねということと同義であり、従って、「死ね」ということは「死ぬな」ということなのである。

小島信夫を読むということは、簡単に言えば、簡単に言えるなにものも、この世にはありえないということを学ぶことにつきる。その尽きることのない「語り」の放射線を浴びること、それを通過すること。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 8, 2006 10:48:34 PM
コメント(0) | コメントを書く
[essay] カテゴリの最新記事


PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

蕃9073

蕃9073

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

船津 建@ Re:Die schlesischen Weber(シレジアの職工)(05/25) 引用されている本にはかなり重大な誤訳が…
名良橋@ Re:言挙げせぬ国(01/04) YouTubeで虎ノ門ニュースをご覧下さい 自…
http://buycialisky.com/@ Re:これでいこう(04/05) cialis vs viagra pros and conscialis so…
http://buycialisky.com/@ Re:鼓腹撃壌(12/25) cialis alcohol efectoscialis 5mg tablet…
http://buycialisky.com/@ Re:横浜遠足(04/30) what do cialis tablets docialis typeson…

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.
X