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詩人たちの島

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November 26, 2006
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カテゴリ:essay
 

In this wrought-iron world of criss-cross cause and effect、

NabokovのLolitaの6節の二番目のセンテンスの始まりです。これを、大久保康雄訳(昭和55年・新潮文庫)は「因果関係の錯綜したこの鍛鉄のような世界で」と訳しています。鳴り物入りで文庫版化された若島正の新訳(平成18年11月1日・新潮文庫)は、「原因と結果が鉄格子のように張りめぐらされたこの世界では」と訳されています。この二つの訳はcriss-crossの解釈の違いによるもののようです。大久保訳では「錯綜」となっており、若島訳では「鉄格子のように張りめぐらされた」となっています。ここから、次のような違いが生まれます。大久保のハンバートは己のすべてに対してまだ可能的です、それに対して若島のハンバートは宿命論的に見るしかないがゆえに、不可能な地点にいます、それゆえもう傷つくこともないのです。というように、ぼくは決めてしまいましたが、実は若島訳をすべて読んではいないのです。だから、ぼくのこの想定は覆されるでしょう。もう一回大久保訳を見直してみましたら、決定的な矛盾があるような気がしました。「錯綜したこの鍛鉄」というイメージがわからないからです。

 

このあとのフレーズは、

could it be that the hidden throb I stole from them did not affect their future? です。

 

大久保訳Aとします。以下の如し。「私が彼女たちから盗みとったあの秘密のときめきが、彼女たちの未来に影響せずにすむものだろうか。」

 

若島訳B。「ニンフェットからこっそり頂戴したひそかな疼きが彼女たちの将来に影響を及ぼさないことなどあろうか?」

 

最初に「世界」の規定がありました、その「世界」は、原因と結果が、「錯綜したこの鍛鉄」のようであり、「鉄格子のように張りめぐらされ」てもいるのでした。いずれにせよ、原因と結果というカント的な理性的の範疇に、収められています、そういう理性のあとに、ハンバートの狂気が「理性的に」述べられるのです。これをどう考えるか?

 

今日考えたこと。

 

イスラエルの兵士が拉致されたから、イスラエルはパレスチナ、ガザ自治区を攻撃したのではない。テレビはいつもそういうニセの因果関係を宣伝する。イスラエルはガザ地区から撤退することをアッバス議長と今日合意した。なぜならパレスチナ政府がハマスを抑えるという約束をしたから。因果関係はいくらでも利用されるのである。おかしいではないか。すべてが終わったあとに、ハンバートはロリータとのすべてを書いた、彼は「悲しみ」から、書いたのである。因果はそこで砕けている。






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Last updated  November 26, 2006 10:53:07 PM
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