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詩人たちの島

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December 28, 2006
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カテゴリ:書評
休みになったのだが、風邪でダウンという最悪の状態。「鼓腹撃壌」などと書いたバチだろうか。

なんとか身辺の整理でもと考えて、机の周りを片付けた。書かなければいけないのがあるから、正月まで持ち越すと大変なことになると思い、必死になっているのだが、私の頭がいうことを利かない。

今日の朝日の「声」欄に、都知事の「倣岸」不遜さを批判した投書が載っていた。いろんな人たちが、やっとというべきか、事の異常さに気づき始めたようだ。「裸の王様」の姿が客観的に暴かれようとしている。亡き「弟」関係や「文学」関係の威光をオーラのようにちらつかせて、人気をあつめて、結局は「倣岸」な権力を振るってきたということ。それにしても定例の記者会見での発言(放言)は品位を疑うほどのものだったが、脅えているとしか見えない「記者」たちは、それをたしなめることもできなかったわけだ。東京での五輪開催など、だれが望んでいるのだろうか?

「論座」新年号。フリーターを名のる赤木智弘という1975年生まれの人の、―「丸山真男」をひっぱたきたい―というタイトルのエッセイを今日読んだ。複雑な思いにとらわれる。格差社会と言われる現代の底にある世代間の貧富の差に目を向け、赤木などのバブルがはじけたころに社会に出ざるを得なかった世代と、それまでの「経済成長」期の世代の格差が固定化されていて、自分たちの貧しさが半永久的に強いられているという認識を基本としてのべていく。「経済成長」期の世代はそれなりに、持ち家ももつことができ、消費生活を享受してきた、ワーキングプアという特集をNHKでやったらしいが、そこでの主役はこの人たちであり、自分たちのような若年層のフリーターやニートではない、前者たちの「再雇用」などは議論されるが、自分たちの現状は放置されているだけだ。

――「就職して働けばいいではないか」と、世間は言うが、その足がかりはいったいどこにあるのか。大学を卒業したらそのまま正社員になることが「真っ当な人の道」であるかのように言われる現代社会では、まともな就職先は新卒のエントリーシートしか受け付けてくれない。ハローワークの求人は派遣の工員や、使い捨ての営業職など、安定した職業とはほど遠いものばかりだ。安倍政権は「再チャレンジ」などと言うが、我々が欲しいのは安定した職であって、チャレンジなどというギャンブルの機会ではない。(中略)バブル崩壊以降に社会に出ざるを得なかった私たち世代(ポストバブル世代)の多くは、これからも屈辱を味わいながら生きていくことになるだろう。一方、経済成長著しい時代に生きた世代(経済成長世代)の多くは、我々にバブルの後始末を押しつけ、これからもぬくぬくと生きていくのだろう。なるほど、これが「平和な社会」か、と嫌みのひとつも言いたくなってくる。――

「いざなぎ」景気をこえたという景気の拡大などだれも実感としては持っていない。しかも「就職」はバブルのころのように売り手市場だという。赤木の結論は、このぬるま湯のような「平和」、こいつが貧富を固定化する元凶であるなら、「戦争」によって、貧富の格差や、その格差自体を流動化させたくもなるというものだ。貧しい若者たちやネットウヨクたちにあるのは、戦争への「待望」ではないかというのだ。戦争末期、思想犯としての逮捕歴のある丸山真男は召集され、陸軍二等兵として平壌に送られ、そこで中学にも進んでいない一等兵に執拗にイジメ抜かれたという。

――丸山は「陸軍は海軍に比べて擬似デモクラティックだった」として、兵士の階級のみが序列を決めていたと述べているが、それは我々が暮らしている現状も同様ではないか。社会に出た時期が人間の序列を決める擬似デモクラティックな社会の中で、一方的にイジメ抜かれる私たちにとっての戦争とは、現状をひっくり返して、「丸山真男」の横っ面をひっぱたける立場にたてるかもしれないという、まさに希望の光なのだ。――

これが留保をつけながらも、赤木の現状に対する結論である。

私は読んでいて、1930年代の日本の歴史を思い出した。満州事変からはじまる15年戦争の始まりの社会の雰囲気と赤木の捉えた現状は酷似している。帝国主義時代の日本でも、このようにどこにも自らのアイデンティティを持てない、いやそれらを奪われた一団の「意識」の集合と軍部のそれが重なった結果、あの泥沼へ様々なルサンチマンがそのはけ口を求めて流れ込んでいったのではないか。アーレントの定義するような群衆(モッブ)とその「意識」の再出現。たしかに流動化や平均化をもたらす最短の道は「戦争」に如くものはない。しかし、現代では、そこに駆り出されるものは、丸山真男などではなく、極端に階層化され、格差化された最底辺のフリーターたちであることも確かだ。それでも現状を押し付けられるよりはまだましだとしても、自らをひっぱたくしかないのかもしれない。

もっと考えなければならないけど……。

私は丸山にもまして、石原を「ひっぱたきたい」だけだ。





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Last updated  December 28, 2006 09:38:15 PM
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