カテゴリ:essay
朝、美しい10月の空が広がっていた。日光も申し分なかった。
9年前に高校を卒業した二人の教え子の結婚式に出席した。二人とも、私のクラス、こういうケースは初めてだった。イギリス流に言えば、マナーハウスというのか、そういう風に建てられた閑静な家(これは、もちろん結婚式とその披露宴のために作られたものだが)で、挙式のためのチャペルが二階にあり、そこで聖書をもとにした式が英語で行われた(司祭というか、牧師というのか、彼は日本人ではなかった)。簡素で、よかった。そのあとの披露宴もよかった。同窓会のようになったが、二人の成長ぶりを私は堪能した。 披露宴で、挨拶をするようにと言われていたので、なにを喋ろうかと昨晩考えたが、思いつかず(こういうことも私は大の苦手である)そのまま寝てしまった。今朝、書斎に指しこむ光のなかで、ふと思いついてEmily Dickinsonの岩波文庫の詩集を開いてみた。そこに’Wild Nights―Wild Nights!’という詩があった。
ああ、これを読むだけでいいと思い、挨拶に代えて読んだのだった。でも、こうして書き写していると、これは祝婚歌にふさわしかったのかという疑問が湧いてきたが、これからの二人の時間もふくめて、そのなかにはあるだろう孤独のときに、互いを呼び求める歌としても読めるのではないかと、今思って、自らを慰めている。 でも、すべては久しぶりの美しい秋の空のもとで、楽しく屈託なく進み、そういうことに普段はいつも、ひねくれた感情が起きがちな私も、今日だけは若い人たちの笑いと涙を信じて疑わなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 7, 2007 08:36:49 PM
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