ホスピ学会 ~九博のホスピタリティ編~
長いこと放っていた記事の続きです過去のホスピ学会記事は、左コラムカテゴリーの「あおぞら研究所」にあります6/9(土)に大宰府にて開かれた、日本ホスピタリティ・マネジメント学会、九州支部の発表会、第3報告の九州国立博物館についてご紹介します。報告者は、九州国立博物館交流事業監修・アドバイザーで、(株)地域振興研究所 代表取締役の須川一幸先生です。サニーが司会を担当。テーマ:「九州国立博物館のホスピタリティ ~博物館のイメージを変えた市民応援団の取組み~」九州国立博物館(以下「九博」)は、約1年半前に開館しました。年間来館者目標数 30万人 (当初半年は17万人目標を上方修正)開館1年後の来館者実数 220万5,741人 (H18/10/15)H19/5/31現在の来館者数 336万3,360人日平均は平日約5千人、土日祝日が約1万5千人なんと、初年度で来館者数は当初の目標を7倍以上も上回る実績を誇っています。[九博のコンセプト]☆公式HPより 『「日本文化の形成を、アジア的観点から捉える」という、独自のコンセプトに基づき、 展示を行うのみならず、文化財を守り、調査する博物館科学の現場としての、 重要な役割を担います。また、多彩な教育普及事業を準備し、何度いらしても 楽しい博物館を目指し続けます。』☆館長談話より ・学校より面白く、教科書よりわかりやすい博物館、面白くなければ博物館ではない ・誰からも五感で楽しまれ、市民と共生し、市民の目線を大切にした博物館 ・市民社会との一体化、ボランティアがひとつの大きな特徴だということが 社会的にも理解してもらえるような活動の場にしていく「むずかしいを わかりやすく おもしろく」するために小学4~5年生にわかってもらえる解説にする=子どもたちから高齢者層まで理解してもらえる 展示は、常設展もいつ来ても飽きないよう、月に30~50点は陳列換えを行い、常時800~900点 を展示。これに年4~5回の特別展が加わります。展示室内では、ただ見るだけでなく、実際に触ったり匂いをかいだりしていいものもあります(明記してあります)。まさに“体験型”の博物館です。オープニングから現在まで、さまざまなイベントを開催。ミュージアム・コンサート、寄席、お正月あそびイベント(ボランティアによる)、着物を着て博物館へ行こう!これは、着物を着て来た一般市民が、外国人観光客から記念撮影にひっぱりだこだったそうです九博はとても広いエントランスホールやミュージアムホール、展示会場を持っています。そういうところをなるべく100%使って、色々な形で来館者に楽しんでもらいたいとのこと。こういった活動を支えているのが市民の皆さんです。約300名のボランティアが入館者を迎えてくれます。館内ガイドのみならず、手話通訳、夏休みの子どもを対象としたワークショップの企画・運営、展示室の環境チェックなど、博物館運営へのボランティアの関与は、前例がないほど深いそうです。つい2週間ほど前には、市民が九博の花壇に花を植え、また毎月2回、継続的に"ピッカ美化隊"による清掃活動も行われています。このような努力の成果が、驚異的来館者数となって表れているのでしょう。“博物館”といえば、学校や研修旅行での視察、あるいは中高年層の来館が多いところですが、九博は若いカップルも目立ち、デートスポットともなっているそうです。先生によると、福岡の深夜番組では、「九博の一押しスポット!」なるデート向きの場所を特集していたりもするそうです(ちょっと暗めで人の少ない場所等、だそうです!)2回訪れましたが、ご家族連れも多かったです。先生のお話はとても興味深く、中身もぎっしりでここには書ききれないのですが、市民みんなで来館者をおもてなしされているということがよく伝わってきました。また、九博側も、市民と一体となることに非常に積極的。一般社会と照らし合わせて考えました。意見を出せ出せといいながら、実際には「それはどうだから、こうだから」と何でも否定して実践に移さない会社、行政。「いや、それは面白い!やってみよう!」と積極的に取り組む会社、行政。九博の場合は、明らかに後者ですね。東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館に次いで開館した最も新しい国立博物館。地方都市のよさを前面に打ち出して、ますます魅力のある博物館となることを願います