「豚インフルエンザ」、そのときスチュワーデスたちは・・?
豚インフルエンザの疑いのある韓国から今日午前、あそ熊本空港に定期便が到着しました。「豚インフルエンザ」を、客室乗務員の目線から眺めてみます ついに“フェーズ5”。“フェーズ6”に引きあげられるのも時間の問題かと思います・・ 世界中を飛び回っている国際線スチュワーデスは、業務をこなすだけでも、自分自身が感染の危機にさらされています。 海外渡航の自粛やツアー・フライトの予約のキャンセルが相次ぐと、旅行会社やエアラインは多大な営業利益の損失になります。実際にサニーがクルーだった時にも、鳥インフルエンザや狂牛病の問題で、一時期大変な落ち込みとなりました。 搭乗率だけの問題では終わりません 予定されていたフライトに変更が入ると、そのあとの機材繰りもやり直さなければなりません。空港の滑走路の長さと飛行機の機種も考慮します。予定されていたクルーもスケジュールが変わります。これをコントロールするのは大変なことなのです。先日お話しましたが、航空機の運行にはパイロットも客室乗務員も、機種資格が必要です。また、安全運行がエアラインの最重要課題ですから、クルーにはフライトパターンごとに最低限必要な休養時間が規定されています。何語が話せるクルーを乗せるのかも規定があります。これらを全てクリアしているクルーを、早急に手配しなくてはならないのです。運行ダイヤが乱れたり、スタンバイ・デューディになると、それこそ、自分が数時間後に地球のどこにいるのか?夏の国なのか?冬の国なのか?わからないのです・・ 今回は機内での検疫も実施しており、それほど時間のかかるものではないようですが、検査が終わるまで機内から出られないお客さまはそれだけでイライラなさって普段たまったストレスをクルーに対してぶちまけられる方も少なくないでしょう。 たいへん大きな影響を受けるのが、“機内食”です豚インフルエンザの大流行のいま「豚肉を食しても感染しない」と言われても、気分的に食べたくない方は多いです。宗教上の理由で、豚を食べない民族、牛を食べない民族、いろいろいらっしゃいます。かといって、全部ベジタリアンメニューや魚料理だけにする訳にもいかない。サニーのいたエアラインは全てのセクターでホットミールサービスでした。ロングフライトともなると、お食事は2~3回あります。このため、メニューを練り直すのがとても頭の痛いところです。(↑もちろんクルーでなく、スペシャリストが考えます)メインディッシュの数はほとんど余裕がないです。最後の方になると、チョイスがなくなってきます。そのときに、牛肉が食べられない方に牛肉のメインディッシュしか残っていないとしたら・・?実は逃げ道がありますが、モタモタしていると、その手も使えなくなります。 機内食メニューを変えるとなると、すでに印刷してあるメニューカードも作り直さなくてはなりません。間に合わない場合は、口頭でご説明します。 この他、備品の洗浄やクリーニング、機内清掃も消毒などが強化されます。 全フライトの出発前のブリーフィングでも、各種注意事項が徹底されていることでしょう。万一感染者を発見した場合の対処の仕方も指導されているはずです。空の旅の安全を守るのがお仕事とはいえ、精神的な負担は相当なものです。 海外渡航のご予定のある方は、出発時も到着時も、お時間に十分余裕をお持ち下さい。世界中を飛び回っているスチュワーデスの皆さん、豚インフルエンザに負けず、頑張って下さい一日も早く、豚インフルエンザが落ち着くよう願っています。