都立中高一貫校入試(検査)の総括-その3
実は明日から東京へ出張で、週末まで実家にいる可能性があるため、今夜で本シリーズを出来るだけ書き進めようと思います。先ずは、今回の適性検査における定量的な把握から参りましょう。尚、手間の問題で、統計データからは「九段」を省略しました。3.2006年一般枠適性検査の状況学校名男女別募集数応募者書類通過受検者棄権者合格者入学者(2/10)繰上者白鴎男703603603342670660女745415415212074735小石川男779618287478177730女799468197774279758桜修館男80641506488188077性別不明女8090353051515806914両国男60608480459216054性別不明女6068748047010605214(1)応募状況「白鴎」と「桜修館」の男子を除き倍率は10~12倍であり、女子は三校とも11.5倍付近に集中しました。男子は「桜修館」・「両国」・「小石川」で、8倍・10倍・12倍という具合に等間隔で並びました。やはり、「小石川」が一番人気だったようです。(2)書類審査白鴎は昨年の「足切り」が多数だったことから、全員通過としました。男子は上限に達していませんでしたが、女子は上限(400名)を超えたので、本来は141名が不合格でした。一方、一番厳しい「足切り」は「桜修館」の女子でした。4割強のお子さんが不合格となり、某掲示板では喧々諤々の議論が巻き起こりました。募集要項では、「小学校からの『報告書』を点数化して選抜する」ということでしたが、「オール3」のお子さんでも通らなかった例が結構あり、選抜基準への不満が出ていたようです。真偽の程は分かりませんが、「報告書」の中での生活態度や、「志願理由書」の記載内容が明暗を分けた可能性が考えられます。これは飽くまでも僕の個人的考えですが、来年からは書類選考が緩和されるのではないでしょうか。その理由は、(a)学校側もどの程度応募者が集まるか予測が難しく、数を絞らざるを得なかった。私学の実績からも、競争倍率は毎年殆ど変わらないため、今年のデータが有力な目安になり得る。(b)学校間で書類選考通過率に差が大きく、女子の場合「桜修館」と「小石川」では30%もの開きがある。こういう場合は、緩やかな方向に統一されるのが常である。(c)今年は実質的に初年度であり、受検者側も手探り状態だったので、駄目元で受けた例もあったと思われるが、現実は厳しいため受検者はむしろ減ることも考えられる。従って、(a)とも関連するが、今年以上に受検者が増えることは考え難く、全員通過させても適性検査は可能であり、受検者側の不満も解消出来る。因みに、「小石川」の今年の適性検査の受検者は1524名であり、「桜修館」の応募者1544名と大差ないのです。場所がなければ、近隣で事前に確保することは十分可能です。(3)適性検査の棄権者数と棄権率各校の「棄権者数」と「棄権率(%)」は、白鴎:男(26, 7.2%) 女(20, 3.7%)、小石川:男(81, 9.8%) 女(42, 5.1%)、桜修館:男(18, 3.6%) 女(15, 2.8%)、両国:男(21, 4.4%) 女(10, 2.1%) という結果になりました。人数と割合において「小石川」の男子が断然多いですね。後述しますが、棄権者数が他校並みであれば、合格者の顔ぶれが多少変わったかも知れません。また、数は少ないものの、書類審査が非常に厳しかった「桜修館」の女子でも棄権者がおり、釈然としないものがあります。とはいえ、これも「個人の自由」ですから、非難することは出来ませんが。(4)合格発表と入学辞退者・辞退率入学辞退者を勘案して、各校とも1割程度の水増し合格を予想する向きもありましたが、合格発表は募集定員ピッタリでした。ここから入学辞退者を差し引いたのが、表中の「入学者(2/10)」であり、上記同様に各校の「入学辞退者」と「辞退率」は、白鴎:男(4, 5.7%) 女(1, 1.4%)、小石川:男(4, 5.2%) 女(4, 5.1%)、桜修館:男(3, 3.8%) 女(11, 13.8%)、両国:男(6, 10.0%) 女(8, 13.3%) という結果になりました。「桜修館」と「両国」の女子が辞退率13%台であり、「両国」は男子も10%と高率でした。まあ、入学辞退の場合は繰上げ合格者が出るので救われますが、これだけの高倍率だった訳ですから、心情的には蹴って欲しくないですね。また、「小石川」の場合は意外と辞退者が少なかったですが、思うに棄権者は国立中学との併願が多く、同日入試の筑駒、筑波大付属、学芸大付属等を受験したのではないでしょうか。彼・彼女等が国立に受かったかどうか分かりませんが、結果として辞退者が少ないという結果に繋がったような気がします。(5)繰上げ合格者当該人数は、各校の「入学辞退者数の男女合計」とイコールですが、内訳は吃驚かも知れません。というのは、「白鴎」と「小石川」の繰上げ合格者は全員女性なのです。そして、「桜修館」と「両国」は男女の内訳を発表していないのですが、全員女性という可能性が考えられるのです。両校共に繰上げ合格者が14名おりますが、全員女性では学校側も困惑してしまったのかも知れません。昨年の「白鴎」の例にもありますが、都立の場合、ボーダーラインは女性の方が高いらしく、成り行きでは何処でも女性上位となり、「男子の肩身が狭い都立中高一貫校」という伝統が生れそうです。雌雄を決する必要がありそうです。