今日は溜まっている蝶の幼虫(クロアゲハ、ルリタテハ)を出すつもりだったのだが、朝10時頃、変な蝶を見付けたのでそれを優先することにした。
今、昨年掲載した「北米原産シオンの1種(紫花)」が咲き始めている。まだ、秋が深くならないせいか訪れる虫の種類や数は余り多くはないが、今日其処に変な蝶が留まって居るのを見付けた。最初は、裏面に波模様があるので、季節柄ウラナミシジミではないかと思った。しかし、それにしてはかなり小さい。更に、後翅裏面に黒斑がある。これはヒョッとして、今年東京にも現れたと言うあの南方の蝶ではないか? ・・・調べてみると、やはりその通り、クロマダラソテツシジミ(Chilades pandava)であった。
クロマダラソテツシジミ.拡大するとそうでもないが
遠目にはウラナミシジミを思わせる
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(2009/09/25)
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このクロマダラソテツシジミは本来東南アジアの蝶で、学研の「日本産蝶類標準図鑑」に拠ると、日本では1992~3年に沖縄県南部で初めて発生し、与那国島でも2001年に発生したとのこと。その後のことは良く分からないのだが、沖縄で散発的に発生するだけで、最近までは迷蝶扱いであったらしい。それが一昨年から九州や関西に現れ、今年は遂に東京に現れた。
クロマダラソテツシジミの後翅
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(2009/09/25)
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この「東京で現れた」と言う話は、実は、先日(9月22日)一寸野虫氏が「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」に一連の生態写真を掲載されたので初めて知ったのである。氏の記事によると、神奈川県では報告がないが、他に静岡、千葉の両県でも確認されているとのこと。
そこで一寸調べてみると、9月9日にNHK(日本薄謝協会)の朝のニュースで、クロマダラソテツシジミの発生が品川区と港区で確認されたと報道されたのが、一般向けとしては最初のニュースらしい。何分にも、こちとらはTVを全く見ないと言う仙人の如き生活をしているので、この手の話には全く弱いのである。
クロマダラソテツシジミの横顔
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(2009/09/25)
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世田谷区でも既に報告があり、東京では現在相当広い範囲に拡がっているらしい。しかし、先の一寸野虫氏の記事によると、関西では今年発生が見られないので、越冬出来なかったのではないかとのこと。所謂温暖化の影響で東京まで北上してきたのではないと考えられる。沖縄などから運ばれたソテツの株に付いて来た可能性もあるが、ソテツがそれ程沢山東京に入荷しているのだろうか。・・・或いは、やはり放蝶か?
クロマダラソテツシジミの顔.触角が印象的
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(2009/09/25)
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このクロマダラソテツシジミ、大型の
ヤマトシジミ程度の大きさで、翅表の写真は撮れなかったが、雄のヤマトシジミに比較的似ている(雄は藍色で黒色の細い縁取り、雌ではこの縁取りが拡がって翅の2/3近くを占める)。また、飛び方もヤマトシジミにかなり近く、
ウラナミシジミの様な激しい飛び方ではない。この季節、ヤマトシジミは何処にでも沢山飛び交っている。東京やその近郊在住の読者諸氏は、雄のヤマトシジミらしき蝶を見かけられたら、御注意あれ!!