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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(蛾)
先日、そのシオンの花の上に枯葉のカケラの様なものが「付着」しているのに気が付いた。1辺5mm位の三角形をした焦げ茶色の平らなものである。肉眼では何だか良く分からないので、マクロレンズで覗いてみた。・・・すると、何と小さな蛾で、以前、町の奥にある家庭菜園で撮影したことのあるイヌビワハマキモドキ(Choreutis japonica)であった。ハマキモドキガ科(Choreutidae)ハマキモドキガ亜科(Choreutinae)に属す。大きさは、形を頭を頂点とする2等辺3角形と見なしたとき、頂点から底辺までが約6.5mm、翅長は約5.5mm。
上の写真で明らかな様に、触角には沢山の毛が生えている。以前撮影したイヌビワハマキモドキの触角にはこの様な毛は認められなかった。触角が発達するのは雄と決まっているから、此の個体は雄で、以前撮影したのは雌であろう。 昨年の秋、同じハマキモドキ亜科だが属の異なるゴボウハマキモドキを紹介した。属は違うが動き方は実によく似ている。ゆっくりと歩いたり体を傾けたりすることはなく、瞬間的にツッ、ツツッと移動する。体を傾けたり、何かに驚いて頭を持ち上げたりする時も同様である。
この個体を撮影する2週間程前、やはりイヌビワハマキモドキを我が家で見かけた。この時は、1枚も撮る閑無く逃げられてしまったが、ヒョッとすると、同一個体かも知れない。と云うのは、今日の写真の個体はかなり色が褪せているからである。胸部は剥げていないから、スレ(擦れ)ているのではない。色が褪せているのは、羽化後時間が経っているからではないだろうか。 勿論、同じ頃に発生した個体が来たのなら、別個体でも色は同様に褪せているだろうから、これは、まァ、非常に乱暴な憶測ではある。
ゴボウハマキモドキの時もそうであったが、吸蜜する時に逆立ちに近い格好をする。小型の蛾で口吻が余り長くない場合は、そうしないと口が蜜線に届かないのかも知れない。 マクロ撮影する場合は、殆どストロボ同期で撮影する。ストロボの光はカメラの上の方から来るから、頭が下だと顔が影に隠れてしまい、写真としては使い物にならなくなってしまうことが多い。逆立ちをする虫は結構多いが、撮る方にとっては何とも困った習性である。
保育社の「原色日本蛾類図鑑」に拠れば、イヌビワハマキモドキの「幼虫はイヌビワやホソバイヌビワの葉面にいる」と書かれている。これらの植物は「ビワ」と名が付いても、所属はバラ科ビワ属ではなく、クワ科イチジク属である。同図鑑には「イチジクには未だ見ない」とあるから、食性はかなり狭いらしい。 イヌビワやその変種であるホソバイヌビワは何れも南方系の植物で、分布は関東以西とされているが、この辺り(東京都世田谷区西部)では余り見ない。しかし、我が町には戦前から庭をその儘にしていると思われる御宅が所々にあり、その様な御宅などに自然発生的に生えていることがある。そう云う場所のイヌビワからこのイヌビワハマキモドキが発生しているのであろう。
最初の方で、「以前、町の奥にある家庭菜園で撮影したこと」があると書いた。この時の個体は非常に新鮮で色鮮やかであった。直ぐに逃げられてしまい、写真は同じ様なのが2枚しかないが、興味のある読者諸氏は此方をどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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