久しぶりに
久しぶりに、ジャズピアノの生演奏を聴いた。 プロの演奏家の方なのだが、友人の高校時代の同級生で、臨時のホームパーティーに呼ばれたような心地よさだった。六本木のジャズクラブが会場で、聴衆は10人(なんて贅沢なコンサートだろう!)。午後7時半から11時半の間に、休憩を挟んで4回、演奏してくれた。リクエストも募ってくれて、「私のお気に入り」をお願いした。思わず、京都に行きたくなってしまった。 この方は、東大の工学部を卒業した変り種で、専攻は原子力工学だったという。「どういうきっかけで、音楽の道に本格的に進むことを決意したのですか」と質問したところ「数学や物理の美しさと、音楽の美しさは重なる部分が多分にある。物理に近づいてかえって、音楽が忘れられなくなった」と教えてくれた。 こういう、既存の学問の分野を超えた話を聴くと、わくわくする。学問の分野がこれほど細分化されたのは、おそらく、19世紀に入ってからではないか。どんな学問も、人間の頭脳が生み出している以上、学際の部分に、驚くほど濃密で、意外なひらめきが存在するのだと思う。レオナルド・ダ・ヴィンチの多彩な才能も、彼にとっては必然だったのかもしれない。 今日はピアノソロだったのだが、その方は、ピアノ、チェロ、ベースでトリオを組んでいるという。この組み合わせだと、どの楽器もメロディーを奏でられるので、持ち回りが非常にうまくいくのだそうだ。「こんなこと言ったらおかしいのかもしれないけれど、実はテナーサックスの音色があまり好きではないんです。トリオ全体の音調を全て決めてしまうような気がして」と打ち明けてくれた。何となく、かすみ草を思い出した。どんな花束を作っても、かすみ草を入れてしまうと、感じががらりと変わってしまう。かすみ草自体はそれほど強烈な花では決して、無いのだけれど。 今日の歩数は7,750歩だった。5時間近くも、椅子に腰掛けて、ピアノ演奏に聴き惚れていたのだから、当たり前かもしれない。明日は休日出勤しなければ。今日の分も働こう。