やまとなでしこの格闘技デビュー記

会話のようなスパーリング。
彼との一戦は、まさしく「対話」でした。



その男性とは、今日が初めての組手でした。

まだこの秋に入門してみえたばかりで、
大柄な体格に、白帯を巻いた４７歳の男性です。

物腰は至って柔和。
丁寧な会話の運び方から、
実直で誠実な方なのだということがよく伝わってきます。

でも、ひとたびお稽古が始まると、
鋭い眼光と、
迫力満点の気合。
無駄がなく、キレのある動き。
そして、独特の呼吸法
に、素人とは圧倒的に異なるオーラを感じるのです。

なぜならその男性は、
フルコンタクトの他流派で、２段の腕前だからです。



そしてその組手は、思いやりに満ちています。

攻撃も防御もボロボロでヨロヨロ、
手も足もバラバラに動いている私に対して、
スパーリングをしながら、ずっと、
絶え間なく励ましの声をかけ続けてくださるその男性。


「ほらほら、ここが空いてるよ」
「こっち側に回り込めば隙があるよ」
「この蹴りを捌けば反撃のきっかけが掴めるよ」

まるでそんなアドバイスが聞こえて来そうなほど、
攻撃ポイントへと、私をうまく誘導してくださるのです。

言葉ではなく、体の動きで！！



恐らくこの道場に入門される前は、
たくさんの後輩・生徒さんを指導してみえたのでしょう。
それでもまた新たに、
別の流派の門をくぐり、更なる自己研鑽に励まれるお姿。

まさに、
マスター a master：師匠、名人　
と密かに呼ばせていただきたい、素晴らしい人生の先輩です。



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