山海屋本舗

柔道に限った話ではないが、今回のパリオリンピックではやたらと判定に対する批判が出ているな。

　数値で記録が出る水泳とかはそうでもないんだろうけど、審判の判断による競技ではやたらと「不可解な判定が．．．」を連発しているぞ。

　特に柔道はいまだに引きずっているな。

　まあ、これについては何度も書いているのだが、そもそも判定が主観的なものだからな。

　だから、それを客観的なものにするために試行錯誤が繰り返されてきてはいるが、「なんでそれが１本になるの？」という明確な基準がない。

　「技あり」と「１本」の境界線がどこにあるのかという話になったら誰がこれを明確に説明できるだろう？

　そして、もっと曖昧なのが「指導」だ。

　「指導」は３回で反則負けとなるのだが、勝敗を決するポイントとなるだけに、大きな意味を持つ。

　が、何が「指導」なのか明確に説明できる人がいるだろうか？

　だから「不可解な判定」が繰り返されるわけ。

　剣道をオリンピック競技にしない理由は多分にここにある。

　剣道界では世界的に普及はさせたいけど、今の形を変えてまで普及させる気はないってことだ。

　まあ、もう一つの理由は隣の国にあるがな。

　こいつらが変に口を挟んできて変なチャンバラ競技に変えてしまいかねないからなあ。

　だから、剣道の在り方はそれでいいと思うのだが、柔道は世界に普及させる方向に走ったわけだ。

　その結果が今の状態。

　結局、ルールを好き勝手に変えられて、JUDOなんて違う名前になってしまっている。

　昔は判定があったので、消極的な行為は判定の際に考慮されていたが、今は「指導」というポイントに変わり、勝敗を決するものになってしまった。

　結果、今回の大会ではやたらと反則負けが多かったと思う。

　まあ、そうは言いながら、今回の批判の半分は日本人にも責任がある。

　選手はスポーツとしてのJUDOをやっているわけで、勝つためにいろいろな工夫をして試合に臨んでいる。

　が、日本人はそのときの都合に合わせてスポーツだと言ったり武道だと言ったりする。

　オリンピックなど、競技会で行われているのはすでにスポーツとしてのJUDOと思った方がいい。

　だから試合に勝ったらガッツポーズもするし、負けたら鼻水たらして号泣もする。

　武道ではありえない行為だ。

　というか、むしろエンターテイメントと化しているのかもしれないな。

　試合が終わって畳から降りるときに座礼をするなんておかしいでしょ。

　道場でもそんなことしないよ。

　もう言い切ってしまうけどね。

　どこの試合でも終わったあとに座礼して下がる人、いないよ。

　それを「日本の武道精神」とか訳の分からんこと言って持ち上げるって気持ち悪いよ。

　試合の後は立礼で畳を下りればよし、敬意を示したいなら立礼で最敬礼でもすればよかろう。

　変なイメージを植え付けるんじゃないと、ここは言いたい。

　こんなことやってるから日本のJUDOは世界から置いて行かれるんだと思うぞ。

　柔道をやりたいなら、こういった競技会からは引くことだ。

　加納治五郎がどこを目指したのかは分からんが、もしかしたら今のJUDOもありだと思ってたかもしれんしな。

　武道もいずれ形が変わるもの。

　古武道なんて言って、なんとか流がというのも、当初の形を守っているかと言われるとはなはだ疑問が残る。

　だって、当初の形を誰も知らないだろう？

　エッセンスは残されているかもしれんが、形そのものが残っていたとしたら奇跡だと思うぞ。

　まあ、こんなこと書くと、その筋の人たちから批判されるから、この辺でやめとこう。

　ともかく、柔道に関しては、もはやJUDOになっているという認識が必要なのだと思う。

　本当に目まぐるしくルールも変わっているけど、まだ見たら「これは柔道をやっているな」と分かるから、もうそれでいいんじゃないか？

　柔道は日本の武道として、それはそれでやればいいんじゃないの？