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カテゴリ:日記
先ごろ日本で出版された、 中国の才媛、ティエン・ユエンの『双生水奔』の日本語版・『水の彼方』を 翻訳家の泉京鹿さんからじきじきに頂戴した。 『水の彼方』(著:田原、訳:泉京鹿) ティエン・ユエンがどのくらいに才能あふれるアーティストなのかは、 すでに周囲のみなさんのブログでご紹介済みなので、 そちらを参照くださいませ。 ■じゃんすさん ■しゃおりんさん ■みどりさん タイトルにあるように“水”というのがふさわしく、 文体は瑞々しく透明なガラス細工の結合体のような小説で、 その緻密でリリカルな表現が 1冊の小説の最後まで貫き通されていたのに感服したし、 同時に彼女の育った川の街・武漢の湿度や水辺のにおいが 容易に想像できる表現力もみごとだった。 主人公が描く想像の世界と現実の間を行ったり来たりし、 どちらがどちらか区別がつかないストーリーは 得てして退廃とか不健全とかそんなにおいがするはずなのに、 彼女の文章にはなぜかそれがなくて、 ただただ無垢で純粋な雰囲気が漂うのがかなり不思議な感覚だ。 ただ、正直言うと、読み始めてしばらくその文体に慣れるまでは 収まりの悪い自分と向き合う時間が必要だったような。 まだ私が彼女と同じくらいの年齢だったら、 諸手を挙げて彼女の才能に拍手したのだろうけれど、 すでにこの年齢になって余りに緻密で壊れやすいものを手にすると、 その扱いに躊躇してしまうようである。 どうも体の中はすでに水草が生えるに澄んだ水ではなく、 泥で濁っているのかも。 なぜかふと、スイスの生チョコレートの味わい深さを分かっていない人に、 いきなりスナック菓子のようにそのチョコレートを食べられてしまった 過去の記憶が蘇りました。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.07.28 12:27:04
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